Mistletoe孫泰蔵に聞く、2016年総括と2017年展望「コミュニティ型スタートアップ」「防災テック」

2016.12.16 08:00

SENSORSメンバーおよび今年SENSORSが取材したトップランナーに聞く『2016年総括、2017年展望』。 第七弾はMistletoe孫泰蔵氏にインタビュー。

テクノロジー&エンターテインメント業界のトップランナー達が時代をどのようにとらえ、未来に向かうのか?『2016年総括、2017年展望』シリーズ第七弾は、起業家、投資家視点で未来を占うべくMistletoe孫泰蔵氏に伺う。

SENSORS『2016年総括、2017年展望』シリーズ
【第一弾】チームラボ猪子寿之「体験型アートの可能性」
【第二弾】NewsPicks佐々木紀彦「日本3.0」「境界線を超えられる人の価値」
【第三弾】ライゾマ真鍋大度「リオ五輪」「人工知能×クリエイティブ」
【第四弾】PARTY中村洋基「スタートアップ×クリエイティブ」
【第五弾】ジェイ・コウガミ「21世紀のデジタル音楽ビジネス」
【第六弾】LINE谷口マサト「バズるコンテンツの方程式」
【第七弾】Mistletoe孫泰蔵「コミュニティ型スタートアップ」「防災テック」
【第八弾】バスキュール朴正義「データ×エンターテインメント」
【第九弾】コルク佐渡島庸平「"言語の壁"を超える熱狂」
【第十弾】落合陽一「幽体の向こうへ」
(※当シリーズは各位に固定質問+1に答えてもらうメールベースの取材である)

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Mistletoe孫泰蔵氏に2016年について、来年の展望を伺った。

--2016年、一番印象に残った出来事、プロジェクトを教えてください。

孫:
Collective Impact Studio "Mistletoe(ミスルトウ)"を本格始動させたことです。

Mistletoe株式会社は、人類が近い未来に直面する課題をイノベーションの力により解決しようという、 大きな志をもったプロフェッショナル集団で、2013年に創業しました。 主な活動は、出資・研究開発・スタートアップとの共同創業・エコシステムの構築など、多岐にわたります。 最大の特徴としては、「ORCHESTRATION」のコンセプトです。 さまざまな奏者で構成されるオーケストラが素晴らしい効果を生むように、スタートアップ同士が集まる場を作ることで、新しい発見や科学反応が起きます。
結果、一社で取り組むよりも、はるかに大きなインパクトを与えることができると信じており、Mistletoeではこの「ORCHESTRATION」をスタートアップやさまざまな志を同じくする仲間と展開していくことで、世界にたくさんのムーブメントを作っていきたいと考えています。

--2017年、注目すべき人、テクノロジー領域、サービス・ビジネスを教えてください。

孫:
オーシャンクリーンアップ』という高校生が海を綺麗にするために立ち上げた組織があり大きなムーブメントを起こしていますが、このようなソーシャルグッド型、コミュニティ型のスタートアップに注目しています。 多くの人たちの共感を呼ぶスタートアップが台頭してきているのを感じていますし、応援したいです。
また、シェアリングエコノミーにも注目しています。物や人のスキルなども含め、あらゆるものがシェアされていくことが本格化すると思います。

--孫泰蔵さんから見る世界中のスタートアップを取り巻く環境の変化を教えてください。

孫:
カリスマ起業家によるスタートアップが世界を凌駕する、という型から、コミュニティ型スタートアップが活躍する環境がととのってきていると感じています。

--今手がけているプロジェクトについて教えてください。

孫:
今年は色々なプロジェクトを立ち上げましたし、現在も進行中なのですが、その中からひとつご紹介したいと思います。
東日本大震災や熊本震災の際には自身でも支援活動をしてきたのですが、そこで感じたのが、防災とテクノロジーが現在あまり融合できていないこと。テクノロジーを防災にあまり活かせてないというか。 そこで、『防災テック』というテクノロジーを防災に取り入れた活動を推進しようと、まずは福岡を中心にプロジェクトを進めているところです。 そこからさらに生まれたのが、防災都市構想「Popup Commons(ポップアップ・コモンズ)」というものです。これは、避難所や避難生活をつらく苦しいものではなく、少しでも明るいものにしたいという思いから生まれたもので、避難所のイメージを覆すような"Pop"なイメージの建物や施設を普段から使えるような形で用意して、それを災害時には避難所として活用しようと考えています。

防災をリデザインするということをやってみたいなと思っています。

--最後に、「2017年の抱負」を教えてください。

孫:
自分の働き方や暮らし方を変えるべく本格的にLIFE SHIFTしようと思います。 具体的には、一箇所に定住せず旅をしながらシゴトをするというスタイルをやりたいなと。
社員にもどこででも働けるような環境を提供したいと思っています。

--孫泰蔵さん、ありがとうございました!

孫泰蔵氏は起業家、投資家でもあるがデザイナーでもあるだろう。複雑化し、不透明な時代に新しい価値観、概念をインストールさせていく手腕はビジネスマンと呼ぶよりは、ビジョンをもったストーリーテラーであり未来を創造するデザイナー、と呼びたくなる。あるいはインパクトを生み出すアーティストであるかもしれない。 
あらゆるものがシェアされ、コミュニティ型スタートアップが台頭していく時代。孫泰蔵氏の言葉を聞いていると今までの価値観がガラリと変わっていくことを感じる。トップダウンではなく、コミュニティベースでものごとの判断が進む時代に大切になるのは「命令をする人、受ける人」よりも「仲間を尊重し、チーム・コミュニティで活動できる人」になっていく。そして、自分が所属できるコミュニティは自分で選べる時代でもあるのだ。さあ、2017年に向けてどのコミュニティに所属しようか?いまから考えはじめたい。

次回はバスキュール朴正義氏の『2016年総括、2017年展望』をお届けする。

■SENSORS『2016年総括、2017年展望』シリーズ
【第一弾】チームラボ猪子寿之「体験型アートの可能性」
【第二弾】NewsPicks佐々木紀彦「日本3.0」「境界線を超えられる人の価値」
【第三弾】ライゾマ真鍋大度「リオ五輪」「人工知能×クリエイティブ」
【第四弾】PARTY中村洋基「スタートアップ×クリエイティブ」
【第五弾】ジェイ・コウガミ「21世紀のデジタル音楽ビジネス」
【第六弾】LINE谷口マサト「バズるコンテンツの方程式」
【第七弾】Mistletoe孫泰蔵「コミュニティ型スタートアップ」「防災テック」
【第八弾】バスキュール朴正義「データ×エンターテインメント」
【第九弾】コルク佐渡島庸平「"言語の壁"を超える熱狂」
【第十弾】落合陽一「幽体の向こうへ」

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ライター:西村真里子

SENSORS.jp 編集長 国際基督教大学(ICU)卒。エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後外資系企業のフィールドマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブ会社のプロデューサーを経て2014年株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×デザイン×マーケティングを強みにプロデュース業や編集、ベンチャー向けのメンターを行う。Mistletoe株式会社フェロー。

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