「あなたはもっとかわいくなれる」4人の男子大学生がおくるメイクアップアプリ「MAKEY」

2015.05.19 13:00

去年10月に、株式会社MoobによってリリースされたメイクアップSNSアプリ、「MAKEY(メイキー)」。「自分の顔にあったメイク探し」をコンセプトに、ユーザーがメイクプロセスを閲覧・共有できるSNSを開発した当時大学生だった4人。「あの子に使ってもらえるサービスを作りたい」と集結した彼らの出会いや、サービス開発の背景に迫った。

【左から】深津佳智氏、中村秀樹氏、実川大海氏、齋藤一輝氏

まるで長年一緒に事業をやってきているような落ち着きと、どこか柔らかく、和気あいあいとした雰囲気を醸し出す4人。しかし、そんな彼らが出会ったのはたった1年前、SNSや就職活動、イベントなど偶然の出会いがきっかけだった。その4人が、たった1ヶ月で「男4人でメイクサービスをやってやろう」と決意したという。
アプリの大コンセプトは、「自分に合うメイクの発見」。コンテンツの軸は、「自分のメイクプロセスの発信・発見・記録」だ。ユーザー参加型のCGMとなっており、登録したユーザーは自分のメイクプロセスに「猫目メイク」や「外国人風」などタイトルをつけ、アップする。これによって、投稿シーンでは、自分のメイクの記録としても、また一つのハウツーとしての発信ツールとしても利用出来る。一方閲覧シーンにおいては、ユーザーの目や口の形に合わせて、パーソナルにメイクプロセスを検索できる仕組みがあり、より自分らしいメイク探しを楽しめる。
今まで雑誌やWeb上で学んでいた、その時々の流行メイクをステレオタイプとして真似るのではなく、「女の子が女の子のかわいいを作り、応援していく」、実にインタラクティブなSNSだ。

Webサイトトップ。注目されているメイクプロセスや、人気コスメなどが一覧でわかる。

■男子中学生ながらに抱いたハリウッドセレブへの憧れがサービスに

--「男子学生が開発するメイクサービス」というフレーズに、誰もが圧倒されると思うのですが、何がきっかけでメイクというドメインにされたのですか。

中村:
以前から、『Gossips』のような海外セレブ誌はもともと好きであのようなキラキラ感に憧れていた部分と、どこか野心みたいなものがあって。
実川:
初めて聞いた...。(笑)
中村:
大学に入って、就活も始まると、ビジネス的な観点で私生活をみるようになったんです。そんななかで、Gossipsも御多分に洩れず、バイアスの影響をうけていた一つで、そういえばファッションや食のドメインには、ノウハウ蓄積型の確立したCGMが存在するのに、メイクなどの美容関連にはないなと思ったのがきっかけです。
実川:
その時就活中にたまたま中村と出会って。そこで意気投合して、二人でメイクのサービスやろうってなったんです。
中村:
その後、開発メンバー主にエンジニアを募るために、Facebook上で声掛けをしたら、唯一即日で齋藤がジョインしてくれて。でその直後に ベンチャーの登竜門でもあるIVSというイベントで、たまたま深津と席が隣になって、「一緒にやらないか」と声をかけました。(笑)それから1ヶ月程で、今のメンバーで本格的に開発にはいりました。

■「何が作りたい」より「この四人で何かしたい」

--初対面の4人で、1ヶ月後には始動、お題は女子向けメイクサービス。どこかとてつもないパッションを感じるのですが・・・。男性の方とは縁遠い「メイク」をサービスにするモチベーションはどこから?

実川:
僕は中村と二人で「やってやろうぜ」と決めた、この熱い決意ですね。(笑)
齋藤:
たしかに正直メイクには全く興味無かったですね。(笑)ただ中村と実川に誘われた時に、この二人は自分に無いものを持っていると思って。一緒に一つイイサービスを作って、成長したいなと感じましたね。
深津:
僕もこのメンバーでやれることがモチベーションですね。自分はエンジニアで、一人でアプリを作ろうとすれば作れるんですけど、サービスって開発が全てではないじゃないですか。それを考えた時に、この4人なら良いサービスをどんどん大きくしていけるんじゃないかと思って。

■女子の「リアルボイス」を男子が抽象化する

「メイクとコスメの違いって何?」から始まった彼らのサービス開発。日々大学で飛び込み調査をし、サービスをリーン的にどんどん改善していったそうです。

--メイクってファッションよりも流行色が強く、流動性の 色濃い部分があると思うのですが。どういった調査を通して、女子の潜在的なニーズを発掘されていったんですか?

中村:
最初はメイクとコスメの違いすら分からなかったんです。でもこれが逆に有利に働いたと思っていて。だからこそ、「消費者の生の声」に耳を傾け、それを自分達なりに抽象化させて、コンテンツ内容に反映していきました。
中村:
その中で、女子の「自分に合うメイクが知りたい」っていうニーズを見つけた時に、僕達が考えていたCGMとも相性がいいのではないかと思い、それで、どんどんプロトタイプを作って、女子に見せて検証して行きました。

--見せてみて、仮説が的外れだったとか、女心わかんないなーっていうシーンは結構ありましたか。

全員:
毎回ですね。(笑)
齋藤:
UIの配色とかは特に難しくて。今は白と水色のフレッシュさのある背景画面も、当時はダークネイビーだったんですよ。(笑)女の子が好む色とか、僕達だけじゃ分からないですよね。
中村:
なので、こういった細かい所までも全部ゼロベースで、ヒアリングして、どんどん柔軟に変えていきました。

■「あの子が使ってくれるサービス」を作る!

--共通理念は「あの子が使ってくれるサービスを作る」とありましたが、これはどういった意味で?

齋藤:
それぞれこのチームで一つモノ作りたいっていう気持ちもありつつ、ある時みんなで明確な共通理念持ちたいねってなったんですよ。その時、このサービスやってたら、好きな子とか昔フられた子とかに振り向いてもらえるんじゃないって話になりまして。(笑)
全員:
爆笑
齋藤:
つまり、そういう女の子達にも使ってもらえるくらい大きくて、イイサービス作ろう!ってなり、これが共通理念になりましたね。

■「非言語」でのメイク投稿を実現したい

実際に利用してみると、今まで雑誌の誌面等で見てきた芸能人の、非日常的なメイクからは一転。自分と同年代であろう10代・20代の女の子達が、すぐにでも真似したくなるような、「ワンランク上のメイク」を多くアップしている。

--中でも、これがユーザー数を伸ばしているという一押しのコンテンツはどれですか。

中村:
「リクエスト機能」だと思います。やっぱりメイクのプロセス一枚一枚あげるのってなかなか負担なので、メイクアップ後の写真を一枚で投稿できるようにしました。ここに、「リクエストボタン」を置くことで、プロセス投稿のフックとなり、閲覧・投稿サイド共にユーザー数を伸ばしているんじゃないかと思います。

閲覧者が上記ボタンを押すことで、投稿者にメイクプロセスの掲載をお願いする通知が届く。

--たしかに、お願いされたらちょっと手間でも、教えてあげたくなりますよね。では、実際どれくらいの年代層のユーザーさんが多いのですか?

中村:
閲覧サイドは圧倒的に中高生ですね。まだメイクも慣れっこでは無いと思いますし、自分に合うメイクを探しにきてくれているんだと思います。ただ、今後サービス拡大に向けて、投稿者数を増やしては行きたいですね。
齋藤:
先ほどもあったように、まだメイクプロセスの投稿方法もちょっとややこしくて、煩わしいんですよ。そこを、もっとユーザーの方が気持ちよく、楽しく投稿できるような仕組みを考えています。今は写真の投稿しか出来ませんが、動画とかイラストでやれたらなぁって。
中村:
雑誌とかにはイラストでメイクアップを解説とかあるじゃないですか。ああいう「非言語でのメイクプロセス」の解説とかも投稿できるようにしたら、投稿がもっと楽しく・効率的になるんじゃないかなと思っています。
深津:
閲覧者サイドでは、欲しいコスメがあるけど、ちょっと高くて買えないっていう時に、色合いや質感が似ているプチプラコスメとかも探せる機能とかも導入したいと思っています。

一人一人のメイクプロセスが、使用されたコスメと共に詳細に掲載されている。

■「世界のかわいい」のプラットフォームまで邁進したい

--現状マネタイズはどういった形をとられていますか?

中村:
まだまだこれからという所ですね。現状はバナー広告がメインです。しかし、今後も展開して行く中で、絶対にユーザーさんが離れてしまうようなマネタイズはしたくない。なので、もう一つのコンテンツ軸として、タイアップ広告を考えているところです。

--たしかに。アーリーアダプターである中高生に優しいサービスであるべきかもしれませんね。

中村:
はい。また、国内基盤が固まってきたら、ゆくゆくは海外展開に注力したいです。日本のメイクに憧れる東南アジアの女の子達が本当にたくさんいるんですよね。そこで先ほどあげたコスメのレコメンド機能とかが利用されることによって、現地では手に入らないけどそれに近いコスメが買えるEC事業にも応用できるのではと思っています。

--なるほど。確かに海外にまで展開が進めば、他コンテンツを始めたりだとか、メイクやコスメのビッグデータなども可能性がありそうですよね。

中村:
間違いないですね。まだ具体的には詰められていないですが、例えばビッグデータを利用した、より正確な顔認証システムの開発とか、実現出来るんじゃないかなと思っています。

■リリースから一年、「4人暮らし」を支えるのはメンバーの手料理

--サービス開発の傍ら、みなさんがそれぞれ今ハマっていることはありますか。

実川:
パワプロのアプリですね。(笑)あとはテニス、節約。アプリで家計簿つけています。
齋藤:
僕はマンガです。お気に入りのマンガが出たら、MAKEYの時間割いてでもきちんと読みます。(笑)
中村:
中学生のときに株を始めて、それは今でも好きです。あとはポーカー。(笑)こういうような、自分の思考織り交ぜつつ、戦略練る楽しいものが好きです。
深津:
最近は料理しています。
齋藤:
実は僕ら一緒に住んでいるんですよ。(笑)ご飯は朝昼晩、全部深津の手料理です。深津が誰よりも早く帰宅してご飯つくってくれたり、お弁当用意してくれたり。
深津:
最近は煮物を作っています。(笑)きちんとタンパク質だとか栄養素にまで気にしていますよ。

--家のママですね。(笑)しかし、朝昼夜仕事もプライベートもずっと4人で一緒だと、ちょっと揉めたりとかしませんか?

齋藤:
円満の秘訣は深津の料理。(笑)
中村:
料理とか家事とかを率先してやってくれる人が一人いるだけで、全員の意識が変わるんですよね、恐縮といいますか。僕も何かやらないとって気持ちをみんな持ちながら生活できていますね。
実川:
だって今日俺みんなの洗濯物しちゃったもん。(笑)

「自分にマッチするメイクをしてもっとかわいくなってもらう」。時代を洞察し、自分達とはかけ離れたフィールドにある「メイク」に挑戦し、女子がかわいくなるためのプラットフォームを創造に成功した彼ら。
「生の声があったからこそのMAKEY」(中村氏)の言葉の通り、どのフェーズにおいても、ユーザー視点を軸に、インサイトを発掘し、'自分たちの当たり前'を捨てた開発を進めたことが、女子のハートを掴んだ最大要因だろう。 新体制として、4人での共同生活を始めた彼らには、落ち着いた雰囲気の中にもフレッシュさと、新たな挑戦への強い意気込みを感じた。日本、さらには世界の悩める女子達の「かわいい事情」に果敢に戦って行く彼らの物語は、今ここからはじまって行くのかもしれない。

取材・文:長谷川輝波

フリーライター、慶應義塾大学法学部4年在籍。

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