伝説のKinKi Kids主演ドラマから20年。アラフォーとなった僕たちが立ち向かう敵は...自分自身なのか?

2017.07.20 19:00

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1997年の土曜9時枠で放送された連続ドラマ「僕らの勇気 未満都市」。KinKi Kidsのデビュー20周年となる今年、最終回で「20年後にここで会おう」と約束したあの登場人物達が、7月21日(金)放送のスペシャルドラマで再会を果たします。日本テレビ・ドラマプロデューサー櫨山裕子さんにうかがう"20年間の思い"の後編、第一線を走り続ける女性テレビクリエイターの「OSが変わった」ほどの出来事とは......?<<前編はこちら>>

~伝説のドラマ「ぼくらの勇気 未満都市」復活記念企画~
日本テレビ・櫨山裕子プロデューサーが語る、20年間を挟んだ二つの『未満都市』(後編)



■ 母になった。自分のOSが変わった。

1997年の日本テレビ系土曜9時ドラマ「僕らの勇気 未満都市」の成功後、KinKiの2人はトップアイドルとしての地位を確実なものとして走り続け、担当プロデューサー櫨山裕子(はぜやま・ひろこ)さんも変わらずヒットを飛ばす順調さでしたが、ドラマプロデューサーとしてふと疑問が生じる瞬間もありました。「当時、KinKiはもちろんとして、何故か彼らとよく仕事をしていた私の"出待ち"がいたんですよ。すごい違和感でした。ドラマも土曜9時枠には似たようなテーマが続いて固定客がつき、だんだん自分の中でも鮮度が落ちてきた。世間や組織が評価してくる数字と自分の得意技との板挟みになり、ハングリーさや世の中への反逆精神を失ってメインストリーム化してしまった、そんな自分は居心地が悪かった」。

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仕事人として悩み続けた櫨山さんの私生活に、やがて思い切った変化が起こります。「それでも38、39歳の頃かな、この仕事に確信を持てたんです。自分が何者か......つまり『自分には何ができないのか』がわかった。すると逆に安定に結びつくんですよ。これしかできないから、こっちに行こうと。そうしたらずっと自分の中で懸案事項だった子供を産んでみようと思い立ちました。その後、自分の生活をなるべく変えずに済む相手がラッキーにも現れて、出産。でも産後3ヶ月目には職場のデスクに戻って、松本潤君の『金田一少年の事件簿』に取り掛かっていました。仕事がしたくて」。

その後、櫨山さん曰く「自分の中のOSが変わった」ほどの大事件が襲います。それは櫨山さんのクールでロックな風貌からは想像しにくい「号泣事件」。「子供の1歳半健診で保健所に行ったら、子供が立つのが遅い、特殊な手当てが必要かもと言われ、帰りに号泣している自分がいました。驚きました。この私がこんなことで泣いている。これが世の一般のお母さんの気持ちか、と。これが初めて視聴者の皆さんと自分の接点が実感できた瞬間で、自分の鬱憤や不満を世に叩きつけていたような理由なき反抗の時代が終わり、作るドラマの発想法がガラッと変わりました」。その時の経験が2004年のドラマ「光とともに...自閉症児を抱えて」へと結実し、櫨山さんがプロデュースする作品群の大きな転換点となりました。

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■ 大人の視線がプラスされていく自分との折り合いのつけ方

業界でも社内でも、反逆の精神の持ち主として知られていた櫨山さんですが、「大人になると部長だとかの肩書きがついて"偉く"なってしまった。上司の自分が意見を言うと、それが現場への押し付けになってしまう。だから自ら現場がいいと申し出て、2012年に山田涼介君の『金田一少年の事件簿』でドラマ制作に戻った時、『やっぱり居場所はここだよな......』と思いました」。

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試行錯誤を経て、管理職の仕事というより、制作の先輩として現場のために支援できることを見出し、「大人になった自分との折り合いをつけてはきた」と櫨山さんは言います。「それでもいま、"一応"偉いので(現在は日本テレビ制作局専門局長)誰も私に意見しなくなってしまう、客観的な意見を聞けないのはとても怖いことで、いいのかなと思うんです」。

もちろんこれまでのひときわ優れた実績があるからこそ、なるべくして「偉く」なる─。でも「未満都市」をプロデュースした櫨山さんにとって、ヤマトのセリフ「俺たちはあんた達みたいな大人にはならない」は他人事ではなく、20年後の自分がどんな大人になるのかは、彼女自身の問いでもあったのです。「20年経ってもあれほどのキャスト・スタッフが集まって、大きなエネルギーをドラマにかけてくれる。そのエネルギーを視聴率という結果に結実させるプレッシャーを背負うのがプロデューサーの役割」と言い切る櫨山さんの口調には、長年ドラマ畑の先頭集団で戦ってきたプロフェッショナルの覚悟が滲みました。



■ アラフォーの"生活者"となったキャラクターたちのリアリティ

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今年38歳となるKinKi Kidsの2人や櫨山さん、全てのキャスト、スタッフの20年の成長と思いがそのまま映るかのような2017年版「未満都市」。「かつてのドラマを土台として、大人になった登場人物がどういう思いを持つに至るか、それを楽しんでもらいたいですね。『未満都市』の形を借りながら、今の社会をえぐっている、リアルに切り取っていることも感じて欲しい」と、櫨山さんはドラマに底流するもう一つのテーマに触れました。

政策によって二転三転する公共事業、震災や原発問題、右肩上がりであらねばならぬと国民に経済成長を強いる日本社会の呪縛など、現代社会の問題を彷彿させる舞台設定の中、アラフォーになった登場人物たちがリアリティーのある数々のセリフを発します。

スズコ「そりゃ怖いけど、不安だけど、正直そんな余裕ないの。毎日仕事と恵太の世話でいっぱいいっぱい。見て見ぬフリして前に進むしかないの」

モリ「レストランやってんだよ? 風評被害に遭ったら一発でアウトだ」

ヤマト「本当は教師じゃなくて研究者になりたかったんだ」 「そんな人間が君たちに対して、偉そうに進路指導してんのおかしいよな。そんなこと言う資格なかったんだ」

タケル「裏取引や。何たってあの頃と違うて大人やからな」 「正しかったかどうかはまた20年後くらいに分かる」

撮影を振り返って、櫨山さんはこう締めくくりました。「KinKiの2人は、20年経っても変わらずに嘘のない人たち。ある意味で"成長"していなくて、営業スマイルなんてないし、どこか不器用で大人になりきれてない部分がある(笑)。そういう彼らなりの"経験値"も詰まっている、エンターテインメントです。ぜひ1997年の『未満都市』を知るファンの皆さんにも、今回初めて観る若い世代の子達にも、たくさんの人に楽しんでもらえたらと思っています」。


KinKi Kids デビュー20 周年記念
金曜ロードSHOW!特別ドラマ企画

「ぼくらの勇気 未満都市2017」
2017 年7 月21 日(金)21 時~(日本テレビ系)
脚本 二木結希、小原信治
音楽 會田茂一
主題歌 「愛されるより 愛したい」
KinKi Kids
(ジャニーズ・エンタテイメント)
演出 堤幸彦
プロデューサー 櫨山裕子 ほか
出演 堂本光一 堂本剛 ・相葉雅紀(友情出演)・松本潤(友情出演)・矢田亜希子・小原裕貴・向井理 ほか
製作著作 日本テレビ
HP:http://www.ntv.co.jp/mimancity/




【KinKi Kids あるある小道具捜索大作戦キャンペーン】

7月21日(金曜日)21時~放送の『ぼくらの勇気 未満都市2017』で、「KinKi Kids あるある小道具捜索大作戦キャンペーン」が実施されます。番組内に登場する小道具のなかから KinKi Kids に縁のあるものを10 個以上見つけて、番組hpから応募するキャンペーン。応募者の中から抽選で5名に「ぼくらの勇気 未満都市」(1997 年版)の DVD-BOX がプレゼントされます。詳しくはキャンペーン特設hp

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番組中には例えばこんな小物が...

【募集期間】
7月21日(金曜日)21時~23時59分
※正解発表は 7月22日(土曜日)正午に番組ホームページ上で行います
【応募方法】
番組内でKinKi Kidsに縁のある小道具を10個以上見つけたら、番組ホームページからご応募ください
【当選発表】
当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます

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citrus ・ 河崎 環

河崎環(かわさきたまき)/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川県育ち。桜蔭学園中高から転勤で大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆をつづけている。子どもは、20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)。

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