シンギュラリティ以前に起こる"半自律状態"とは?人間とロボットが共存する未来を探る

2018.06.27 18:00

「ロボットと表現」をテーマに行われたSENSORSサロン。全5回にわたってお届けする第3弾記事では、「人間とロボットの違いについて」をテーマに掲げ、将来ロボットが人権を持つ可能性について議論した。

小川氏は人権の歴史を遡り、「ロボットに人権が付与される可能性はある」と語った。「もしかすると、私の体の中はメカかもしれない」との問いに、SENSORSメンバーはどう答えるのか?

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(左より)齋藤精一、落合陽一、草野絵美

第二弾記事に引き続き、第三弾のディスカッションでは、小川氏を迎えた番組前半最後のキーワードに挙げられた「人間とロボットの違いについて」を議論する。ロボットの普及により自動化が進む未来を見据え、近い将来に起こりうるであろう"半自律状態"について語りあった。

ロボットに人権を付与する時代が来る?問われる"自律性のブレンディング"

--それでは、最後のキーワード「人間とロボットの違いについて」について、ディスカッションをお願いできればと思います。近い将来、"半分人間・半分ロボット"のようなサイボーグが出現したり、人権を獲得するロボットが犯罪に巻き込まれる...といった出来事が現実に起こり得ると思いますか?

小川浩平(以下、小川):
あり得ると思います。かつては、生まれ持った身体によって人権が定義されてしまうような時代もありました。「生きている」から人間だと定義されるのではなく、社会概念によって人間が定義されていたのです。過去と現在を比較すれば、定義が今後も揺らいでいくことが考えられます。なので、ロボットに人権が付与される時代が来てもおかしくないはずです。

人間の条件を「知的に話ができること」に置いたとして、僕の中身がメカだったらどうでしょう。もし僕がサイボーグでも、中身を見ることはない。こうして対話をして入れば、きっと人間だと認めてくれるでしょう。

--たとえばですが、おっしゃられたような時代が到来したとして、ロボットが人間を殺してしまった場合、どのように裁かれるのでしょうか?

小川:
僕には想像がつかないことですが、そうした時代を見据えた模擬裁判が現在も行われています。哲学者が普段からディスカッションをしているのです。
落合陽一(以下、落合):
興味深いですよね。今の時代は、ロボットは罪に問われません。もしもロボットアームが人を潰す事故が起きたとしても、ロボットがスクラップになることはありません。

電車が人を跳ねる事故もしばしばありますが、その際に停止システムが働かなかったからといって、電車は罪に問われない。人間側にエラーがあった場合にのみ、そうした事態を補修する社会があるだけです。
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小川浩平氏

小川:
おっしゃる通りです。この先、実現が期待されている「自動運転」も同じ問題に直面します。もし事故が起こったら、誰が責任を取るのかが明確に定義されていません。いきなりロボットを完全に自律化できないので、必ず途中に"半自律状態"を挟みます。

ロボットが持つ自律性の助けを借りながら、人間が少しずつ楽になり、複雑なタスクができるようになる。いつもの仕事を2倍できる、そういった社会になります。そこで発生するであろう衝突をいかにして解決するかが重要なのです。

おそらくですが、理想的な状態は「ロボットの失敗はロボットのせい。成功したら自分のおかげ」という、"ジャイアン状態"になるのではないでしょうか。自律性のブレンディングは、次のステージにおける重要な問題です。

シンギュラリティに立ちはだかる法と倫理の壁

落合:
身近な例を挙げれば、「ペットをどう定義するか」も難しい問題だと思います。稀に、飼っている大型犬が人を襲ってしまうことがあるじゃないですか。飼っている当事者からすると、ペットを人間的に定義すると思いますが、外から見たら暴走した機械と一緒です。社会性の中でどのような関係性が付与されているのかで、意味合いが全く変わってくるんですよね。
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草野絵美:
たとえば自分が義手を付けていて、意思に反して義手が人を傷つけてしまったら、それは誰の責任なのか、と議論になる気がします。
小川:
まさにそうですね。どこからが自分の意図で、どこからがロボットの暴走なのかーーそうした定義を曖昧にしておくと...議論が尽きません。
齋藤精一:
昨今、人工知能が発達し、人間の知性を超える「シンギュラリティ」がたびたび話題に上がります。シンギュラリティを本当に迎えるのであれば、通過点に倫理や法律の問題が必ず立ちはだかるはずです。お話しされていた自動運転にも、まさにそうした観点が必要ですね。

番組前半では、小川浩平氏をゲストに招き、人間化するロボットとロボットが人権を獲得する未来について議論を行った。続く第四回「いつかロボットは、俳優を上回る。圧倒的存在感で観客を魅了する「ロボット演劇」の全貌」以降は、新たに演出家の平田オリザ氏を迎えた番組後半の模様をお伝えする。

ロボットと人間が織りなすエンターテインメントから紐解く"人間らしさ"、そしてロボットが生み出す新たな教育のあり方など、ゲストとMCが未来に思いを馳せるディスカッションに注目だ。

↓↓↓OA動画は下記よりご覧いただけます。↓↓↓

(「ロボットの人間らしさについて」モダリティから法律まで議論! ERICA×小川浩平×落合陽一×齋藤精一)

構成:オバラミツフミ

1994年、秋田県出身。2016年からフリーランス。各種メディアでのインタビュー連載・ブックライティングがメイン。
Twitter:@obaramitsufumi



編集:長谷川リョー

SENSORS 編集長
編集者・ライター。リクルートホールディングスを経て、独立。修士(東京大学 学際情報学)
Twitter:@_ryh
Mail: ry.h0508[アット]gmail.com

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