"宇宙飛行士の世界"をリアルに感じられる漫画『宇宙兄弟』の魅力に迫る--ロケットへのペイント企画にも挑戦

2016.06.09 08:00

中学生の頃NASAを訪れたことをきっかけに宇宙の魅力に惹かれ、"宇宙のことを学ぶためには不可欠"な物理を学ぶべく、大学では理学部物理学科に進学。大学在学時から現在まで、"宇宙の魅力を発信する"という立場から活動。宇宙飛行士を目指すタレント・黒田有彩による連載。宇宙をとりまくエンターテインメント・テクノロジーを中心に、様々な角度から宇宙の魅力を伝えていく。
今回は、宇宙飛行士の世界を題材にした漫画『宇宙兄弟』がテーマ。
【前回記事】
#1:宇宙飛行士を目指すタレント・黒田有彩--私が宇宙に惹かれる理由
#2:全世界同時開催!宇宙×ハッカソン「NASA Space Apps Challenge 2016」に潜入

先日、作者の小山宙哉さんのファンクラブ「コヤチュー部」が1周年を迎えるということで、1周年イベント「宇宙兄弟×カサリンチュ 特別トーク&ライブ」に参加しました。

arisa_kuroda_3_1.jpg

小山宙哉さん(左から2人目)、コルク 佐渡島庸平さん(右端)・仲山優姫さん(左端)と

『宇宙兄弟』は、主人公のムッタ、ヒビトが兄弟で宇宙飛行士を目指す漫画。

学生の時、募集要項に満たないにも関わらず宇宙飛行士の応募書類を提出したほど宇宙飛行士に憧れている私は、この漫画が大好き。
リアリティがあって、本当に今後、ムッタやヒビトのような宇宙飛行士が現れるのではないかと楽しい想像をさせてくれるんです。 さらに宇宙のことだけでなく、生きていく上で立ちはだかる壁や、現実にある病気、人間の心理が細かく描かれていて、登場人物に共感しっぱなしです。そして、人生の道標になってくれるような、曇り空を吹き飛ばしてくれるような素敵な言葉が満載の漫画なのです。

「宇宙飛行士になる過程で、どのようなことをしてきたのだろう」「こういう時にこんな対応を出来る人こそが宇宙飛行士になれるのかも」...ついついそんな目線でも読んでしまいます。

この日は「せりかナイト」と題して、『宇宙兄弟』に登場するヒロイン・伊東せりかについて、誕生秘話や好きなシーンで盛り上がりました。 JAXAに入る前は医者をしていて、美人で頭も良く、強く優しい。...そして大食い。そんな素敵なせりかさんのモデルになったのは宇宙飛行士の向井千秋さんだそう。

arisa_kuroda_3_2.jpg

©小山宙哉/講談社

私にとって伊東せりかという登場人物の印象的な表情は、まっすぐな目をした横顔です。主人公のムッタが、せりかさんに好意を寄せていることから、ムッタ目線のせりかさんの表情も多いんです。チャーミングな中に芯のある表情。かっこいいんですよ。
父親の病気を治したい、その一心で宇宙飛行士になり目的を果たしていくせりかさん。 その一途な思いがとても眩しいのです。

イベントでは、せりかさんの魅力がたくさん語られました。例えば、一人なのにきちんと「ごちそうさま」を言うシーンや小学生時代の回想で自分の名前のルーツを話すシーンが好き、というファンが集まる場ならではの話や、せりかさんって彼氏はいたことあるんでしょうか?といった妄想が膨らむ話まで。
最後には小山さんがせりかさんを描き下ろしているところを見られるという、盛りだくさんの内容でした。

arisa_kuroda_3.jpg

©小山宙哉/講談社

このイベントの後日、小山さんの担当編集・ユヒコさんこと仲山優姫さん(Twitter:@Yuhiiiidayo)に、『宇宙兄弟』やせりかさんについて、気になったことをさらに伺ってみました。

--作中でリアリティを追求するためにどのような取材を行ったのでしょうか?

仲山:
まだ私が担当ではなかった頃ですが、『宇宙兄弟』第一話目から第三話目をつくる頃にJAXAに行き、取材をしました。野口聡一宇宙飛行士に実際に話を聞いたそうです。またその頃NASAにも取材に行き、水中訓練の見学やアメリカの宇宙飛行士への取材をし、写真もいっぱい撮ったそうです。
私が当時の話を伺って面白いと思ったのは、レストランやお店の撮影をたくさん撮ったという話です。よりリアリティを出すために、宇宙飛行士が実際に行くレストランを紹介してもらったとのことです。また、アメリカの住宅の雰囲気をよりリアルなものにするために、アメリカの住宅展示場に行き、そこでも写真資料を集めたと聞いています。

--宇宙飛行士を目指す私にとっては「参考にする」目線でも読んでしまいます。やはり作中の人物は、実際に宇宙飛行士になれる人物像というものを作り上げているのでしょうか。

仲山:
作中で作り上げているというより、登場人物それぞれが自分のやりたいことや、夢を叶えるために実直に進んでいます。ですので、夢を叶える人もいるし、もし叶えられなくてもまた他の道を見つけて進んでいる人が多いのだと思います。

--せりかさんのモデルが向井千秋さんとのことですが、そのほか作風に影響を与えた実在の人物はいますか?

仲山:
野淵宇宙飛行士は野口聡一宇宙飛行士がモデルです。他にもモデルになっている方はいます。向井万起男さんと小山さんがお話した際に「宇宙飛行士にもいろんな人がいるから自由に描いて良いですよ」といった言葉をいただいたそうで、それ以来、逆に自分の身近な人をモデルに描くことも大事にするようになったそうです。

--『宇宙兄弟』を通して、宇宙のどのような魅力を伝えていきたいと考えていますでしょうか。

仲山:
小山さんは「日々の生活をしていてふと空を見上げたとき、宇宙に思いを馳せたくなる、そんな漫画でありたいなと思って描いています」というモットーで描いて下さっています。

最後には、楽屋で小山宙哉さん、コルク 佐渡島庸平さん・仲山優姫さんと写真を撮っていただきました(冒頭でご紹介したお写真です)。APOのTシャツ、可愛いですよね。これからも宇宙兄弟、楽しみにしています!

改めて私はせりかさんのどんなところに一番共感しているのだろうと考えてみると、それは、小さい頃彼女が父親に「宇宙飛行士になるんだな」と聞かれて「そう、踊る宇宙飛行士!」と答えたところ。
好きなことを好きだと言えるまっすぐさと、「踊る」と「宇宙飛行士」、夢はひとつに絞る必要なんてないんだというところに共感しています。

私は、「宇宙飛行士タレント」、目指していこうと改めて誓った夜でした。

(6/9加筆)実はその後、面白い企画に私も参加させていただくことになりました。

arisa_kuroda_uchu_kyodai.jpg

「コヤチュー部」の1周年記念Tシャツ(左)、これがモザイクアートの一部に(右)

まずは、『宇宙兄弟×カサリンチュ』コラボプロジェクト。小山さんのファンクラブ「コヤチュー部」の1周年記念Tシャツを着て写真を送ると、せりか応援ソング『あと一歩』のMVに出演出来るというもの(※すでにTシャツは完売)。MVの完成が楽しみです。
もう一つの企画は6/12まで、まだまだ参加出来ます。「夢」がテーマのイラストやメッセージなどの画像を送ると、小山さんが描き下ろしたモチーフのモザイクアートの一部になって、平成28年度中に打ち上げ予定・ひまわり9号をのせたH-IIAロケットにペイントされるというもの。
撮影の模様など、詳しくは私のブログにも書きました。是非チェックしてみて下さいね。

文:黒田有彩

タレント。1987年生・お茶の水女子大学理学部物理学科卒。
中学時代のNASA訪問をきっかけに宇宙に魅せられ、宇宙飛行士になることを目標とする"宇宙女子"。数々の宇宙に関連する番組への出演や、NHK教育「高校講座 物理基礎」MC、読売テレビ「ハッカテン」(ハッカソン番組)ゲストなど、研究や教育に関するメディアへの出演も。「宇宙女子」(2015年・集英社インターナショナル)共著。
Twitter:@KUROARI_RTTS
Instagram:@arisakuroda

最新記事