「絶対領域拡張計画」"アームのついたスカート"はなぜ生まれた?

2016.06.15 08:15

でんぱ組.incを輩出した秋葉原ディアステージ発の6人組・妄想キャリブレーション『ちちんぷいぷい♪』(6月1日発売・Sony Music Records所属後初のシングル)のミュージックビデオ。こちらで使用されているのが、ウェアラブルデバイス「アームスカート」だ。このデバイスが生まれた理由とは?

『ちちんぷいぷい♪』ミュージックビデオ

これは『魔法のジュース』のMVでのコラボに続く「絶対領域拡張計画」の第二弾として発表されたデバイス(『魔法のジュース』では「光るスカート」が使われた)。この「アームスカート」開発には、海内工業、bloomakeLabの協力を得て面白法人カヤックの天野清之氏が携わっている。今回は、天野氏に開発のきっかけについて伺った。

『魔法のジュース』ミュージックビデオ

■絶対領域への思い入れは、実はない

「絶対領域拡張計画」というネーミングを見ても、天野氏の強いこだわりのもと生み出されたのでは?と想像していた。しかし、元々は光るスカートも「個人制作で、作りたいと思ったものを作った」というシンプルな経緯で採用されたという。さらに天野氏曰く、この「アームスカート」は「バズらせる方程式を応用したもの」という、こちらもシンプルな答えが返ってきた。

--「絶対領域拡張計画」とのことですが、"絶対領域"への思いなどがあるのでしょうか?

天野:
実はまったくないんです(笑)。ただそういうわかりやすい言葉を名付けて遊ぶのは面白いなと思っていて、そういうネーミングをするのは好きですね。厨二っぽい感じがして個人的にはすごく好きな響きです。また「計画」と言うと2,3回目がやりやすくなる面もあります。
arm_1.jpg

--こだわりが特に無い中で、なぜ「アームスカート」を作ろうと思ったのですか?

天野:
ウェアラブルブームですね。実は第一弾の「光るスカート」も「いけるぞ」という直感からでした。スカートにLEDをつけたものを社員に着てもらい、社内のプレゼンイベントで披露した様子をWebにアップしたのですが、特にPVっぽいものでもなかったのに再生回数が5,000〜6,000回ほどに達したんです。その後メディアにも複数掲載されて、これはいけるなと。
それですぐ、PVとしてちゃんと制作しようと。「やっぱり背景は秋葉原だな」とか「細身で今時の東京っぽい女の子がいいな」とか。

--こだわりがあったわけではなく、そういった直感であったり、世間の動きを見据えつつ作ったという点が意外な印象です。

天野:
今はアイドルやアニメがメインカルチャーと言えるくらい認められるようになったから、数年前と比較しても企画を考えていて楽しいですよね。逆に言うと、僕が学生のときはロックが今のアニメぐらいの勢いがあったけれども若年層の支持が逆転した感もあります。その時代によっての人気なものが変わっているだけなのだと思いますね。
幼少期にジャンプなどの漫画が全盛期で、アニメや漫画にどっぷりと浸かっている世代が大人になって、自分が好きなものを言いやすくなったということだと思います。その時代の子どもが大人になってプロモーションなどを担当するようになって。
今はその分、例えばロックのようなメインカルチャーだったものが沈んでいて、いま本当にサブカルを追っている人はむしろアニメではなくロックを追っていると思います。だからその子たちが大人になれば、そっちの方にフォーカスされるでしょうし、そのサイクルの繰り返しですから、今何かを見極めてプロモーションすることが大事だと考えています。

■「人体をロボットで拡張したい」という願望は、潜在的に多くの人にあるもの

--先ほど第一弾の「光るスカート」の撮影で「東京っぽい」とのお話がありましたが、今回はどのようなイメージですか?

天野:
今回は「SFっぽさ」をテーマにしています。SFの世界では衣装は光ったり動いたりするので。アームスカートは、日本的SF表現をテーマに制作してみました。ファッション業界自体でも「テクノロジー」の波は来ていて、最近の海外のコレクションなどを見ていると光らせたり、3Dプリンターを使ったりとすごくテクノロジー表現が増えているんですね。衣装を着たモデルは、とても日本のアニメや漫画みたいでコスプレっぽいです。
arm_2.jpg

例えば、アームスカートを使って本を読みながら、スマホは自分の手で

--実際に使ってもらうならこういう時に使ってほしい、というイメージはありますか?

天野:
例えば携帯をいじりながらお菓子を食べたいとか、「もう一本手が欲しい」という時にサポートしてくれたりするアイテムと想定しています(実際にアマナ異次元・篠田利隆氏が監督したミュージックビデオの中では、アームによって自動でスマホをいじったり、ラブレターを書いたりと、生活の一部として共存する空間が演出されている)。
今回のポイントは「乙女の生活完全サポート」。忙しい乙女の代わりに物を持ってくれるデバイスとして制作しました。 仮に実用化させるなら、リモコンで指示を出す仕組みから音声認識で動くように変更したいです。そうすれば結構便利になると思います。いずれにしても、ガンダムやファイナルファンタジーなどにおいて、「人体をロボットで拡張したい」という願望は潜在的に多くの人にあるものだと思います。多くの人がイメージできないものは話題にしづらい、イメージできるものは話題にしやすい・欲しいなと思いやすいということなので、それを確実に形ということが、開発のポイントだと思います。

取材:市來孝人

SENSORS Web副編集長
PR会社勤務を経てフリーランスのWebエディター・PRプランナー・ナレーターなどとして活動中。「音楽×テクノロジー」の分野は特に関心あり。1985年生まれ。
Twitter:@takato_ichiki / Instagram:@takatoichiki

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