テックが盛り上げる、ライブの未来のカタチ―LIVE BAPAレポート

2015.08.01 18:00

バスキュールとPARTYが次世代のクリエイター育成を目的に立ち上げた、デザインとプログラミングの学校「BaPA」。BaPAの2期生卒業制作発表会「LIVE BAPA」が2015年7月20日、渋谷ヒカリエ内のホールにて開催された。テーマは「テクノロジーを利用し、アイドルのライブを盛り上げる」こと。アイドルグループ『虹のコンキスタドール』のライブを最高に盛り上げるべく、BaPA2期生達による様々なライブ演出が実際に披露された。

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BaPA2期生は「2020年の渋谷系-次代のライブエンタテインメント」を課題として与えられてから、合計13回の講義と数えきれないほどの議論を約4ヶ月積み重ね、その成果をアイドルグループ『虹のコンキスタドール』(通称『虹コン』)とのコラボステージで披露、最優秀作品を決定し、有終の美を飾る。

会場は渋谷ヒカリエ9階のヒカリエホール。開場前には虹コンによるミニイベントも開催されており、ライブ開演前からホールはオーディエンスの熱気でいっぱいだった。

イベントの司会進行役はペナルティ・ヒデさんとHEART CATCH CEO・西村真里子さん。軽快な司会進行とともに、BaPA2期生の卒業ライブが始まった。

ステージに虹コンのメンバーが姿を見せると、オーディエンスは一気にヒートアップ。まずは2015年虹コンのサマーソング「THE☆有頂天サマー」でいつも通りパワフルなライブパフォーマンスを魅せた。そして2曲目から、BaPAコラボステージが始まる。

■自分の力で推しメンを煌かせる!

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まずはじめに登場したのは、声を出さずとも好きなアイドルを応援し、煌めかせてあげることのできるアイディア「煌け!虹のコンキスタドール」。自分の好きなアイドルを選択してスマホをひたすら振り続けると、そのアイドルのパーソナルカラーの星がスクリーンに映し出される。それが溜まると、虹コンメンバー達の背中に付いている羽がその色に染まっていき、自分が応援していることが可視化出来るという仕組みである。これを使えば自分の力で、文字通りアイドルを"煌かせて"あげることが出来る。

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ファンの応援を色に変えた虹コンメンバーは、自分の色が徐々に増えていくスクリーンと羽を見つめながら、なにやら不思議そうな顔をしつつも満面の笑みで力強いダンスと歌を披露した。一発目からこんなに盛り上がっていいのか、この時点で既に取材に来ていることを半ば忘れて応援に没頭している自分がいた。

■想いを可視化してアイドルに届けたい

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2番目に登場したのは、ファンの発した言葉をスクリーンに発射することで可視化出来る「コトバズーカ」。アイドルに限らず好きなアーティストやバンドのライブに行った時に、自分の言葉をその人に届けたいと思ったことのある人は少なくないはず。

しかし、ステージとの距離や他の歓声を混じって直接届けることはなかなか難しいのが現実。その問題を解決するのが、コトバズーカなのである。

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ステージ前に置かれた大きなバズーカを通して声を発すると、ファンの声がそのまま文字となり踊っているアイドル後方のスクリーンに飛んで行く。それをアイドルが目視することで、自分の応援がちゃんと届いていることを実感できる。今回は会場のセンター部分に1台だけだったが、今後これがもっとコンパクト化して1人1台持てるようになったら、より多くの人の想いや応援がアイドル達に伝わるようになるだろう。

■アイドルと一緒にバンドで演奏!

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3番目のチームが始まる前に、エリア別にそれぞれギター・ピアノ・ドラムの形をした厚めの台紙が配布された。パフォーマンス名は「WE ARE 虹コンバンド」。その名の通り、虹コンメンバーとオーディエンスが一緒になって楽器を演奏しようというものだ。

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配布された楽器のアイコンをスマホで選択し、スマホ本体を台紙にはめるだけで準備OK。あとはスクリーンに表示されたタイミングで、スマホ画面をタップするだけでその楽器の音が出て、好きなように演奏することができる。

虹コンの「やるっきゃない!2015」が始まると、その曲に合わせて会場中からギター・ピアノ・ドラムの音が聞こえてきて、まるで会場全体でLIVEを作っているかのような感覚を味わうことが出来た。音の調整や種類が増えていけば、より重厚なライブを作っていくことができるようになるかもしれない。

■アイドルの生歌をその場で採点!

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続いて登場したのは、「LIVE SCORE〜真夏の抜き打ちテスト」。これはカラオケの採点機能のようなもので、ステージ上に置かれたマイクで歌うとその歌声の点数がリアルタイムで表示される仕組みになっている。

自分の歌声が自分のファン達にも丸見えになるというなんともアイドル泣かせのツールだが、これは一生懸命歌って踊る彼女たちの姿に感動し、成長途中の彼女たちを表現するために作られたものである。

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今回虹コンのメンバーには、自分がいつも担当しているパート以外の箇所を歌ってもらうことに。緊張と不慣れさで戸惑いつつも、全員が80点以上の高スコアを叩き出す。内2人が90点以上の結果を出し、パワフルな踊りだけでなくハイレベルな歌唱力も兼ね備えたアイドルであることをファンにもしっかり証明した。虹コンのことがより一層好きになった人も多いだろう。

■初心者でも楽しめる応援のかたち

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さて、発表も後半戦へ突入。5番目のチームは「シンクリング」という、観客が一体となって楽しみながらアイドルを応援するというインタラクション性の高いパフォーマンスだ。

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事前にLEDとモーションセンサーが付いた小さい指輪が配布されており、それを指にはめると準備万端。音楽ゲームのように、スクリーンに流れてきたタイミングで拍手をしたり手を振ると、それが会場全体のシンクロ率として数字がスクリーンに表示。会場のオーディエンスが1つになって応援する感覚を味わえる。

さらに、会場の天井に設置されたセンサーが指の動きを感知し、会場全体はもちろん会場内で一番シンクロ率が高いエリアが分かるためオーディエンス同士の仲間意識も強くなるという側面もある。虹コンメンバーの1人はライブ終了後、「それぞれが違う楽しみ方をするのも素敵ですが、こうやってみんなが揃うと誰でも参加しやすくなっていいですね。」と語っていた。

■ライブでダイエット?

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この時点で私は虹コンの可愛さに十分「萌え」ていたのだが、6番目のチームがパフォーマンスしたアイディアでさらに「燃え」ることになる。そう、彼らが発表したのは「萌え」と「燃え」を書けたアイディア「NIJICON LIVE GYM」。

配布されたアプリにスマホからアクセスし、自分の身長・体重を入力。すると、会場全体の体重が合計されて表示される(この日は64トン!)。それを、スマホをシェイクすることで減らしていくというものである。

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画面には太った虹コンメンバーが映しだされており、会場の消費カロリーに応じて彼女らの顔や身体が細くなっていくのだ。メンバーが「太ってるのやだ〜!」というと、その声に鼓舞されたファンたちはアイドルを痩せさせるためにより一層激しいシェイクで応える。そんなことをしている内に、自分たちもがっつりカロリーを消費しているというわけなのだ。

会場内のカロリー消費ランキングもリアルタイム表示されるので、隣の人に負けまいと奮起。アイドルのパフォーマンスがそっちのけになるほど、会場全体がアツくなっていた。

■アイドルの声を独占できる!

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好きなアイドルが自分の耳元で何かを囁いてくれたらどれだけ嬉しいだろう...... そんな夢の様なことを私自身も思ったことがあるが、7番目のチームが発表したのはまさにその夢を叶えてくれるものだった。その名も「きみをどくせん砲」。指向性スピーカーを搭載したバズーカ方スピーカーに向かってアイドルが何か言葉を発すると、その砲塔が向いている先にいる人にだけ声が聞こえるという、ファン心を鷲掴みにするプロダクトだ。

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重いバズーカを一生懸命担ぎながら歌っている姿に心打たれつつ、砲塔が自分のほうを向いた時には、本当に彼女の声を自分が独占しているかのような気持ちになれた。バズーカがほんの少し別の方向を向くと声をまるで聞こえなくなってしまうので、「こっち向いて〜!」と猛烈アピール。一度デレられるとさらに独占欲が強くなるのは、アイドルファンの性だろうか。

今まではステージ上からの目線しか独占欲を満たすものがなかったが、きみをどくせん砲を使えばまるでアイドルが自分の隣で歌っているかのようは感覚に陥る。もっと小型軽量化し、普通のライブでも使用されることをひたすら願うばかりである。

■みんなで作る応援スクリーン

パフォーマンスもラスト2チームとなり、会場の盛り上がりも徐々にピークへ。8チーム目の発表は「CHEER PEOPLE」というインタラクティブなライブ演出ツール。

スマホからアプリケーション経由でメッセージを送ると、その言葉がスクリーン上にリアルタイム表示されるというものだ。自分は彼女たちと同じステージには立てないけれど、自分の応援メッセージは彼女たちと共演することができるという新しい価値観を生み出したアイディアだと感じた。

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この仕組みを聴いた時、万が一ネガティブな言葉を送る人がいた場合どうなのだろうという懸念があったが、当然そこは心配無用。独自のアルゴリズムによりポジティブなワードのみを選定して表示するようになっているのだという。曲調に合ったポップなVJを自分たちが作り上げているような気持ちになれるのは、ファンとしては嬉しい限りである。

■最後は大運動会で締めくくり!

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さて、ついに最後のチームの発表となった虹コンライブ。大トリとなったのは「EXITOSS!(エキサイトス)」という、運動会の定番競技・玉入れをこの場でやってしまおうという大胆なパフォーマンス。会場のオーディエンスを縦半分に分けてそれぞれモモ組・ソラ組とし、虹コンメンバーも2チームに分かれて競い合うチーム対抗戦だ。

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このアイディアは、音楽ライブでオーディエンス達が手を上げて応援している姿に注目。その動きで何か出来ないかと考えた時に生まれたという。オーディエンスはスクリーンに表示されるリズムバーに合わせて手を動かす。すると、それを天井のキネクトが読み取ってスクリーン上のかごに玉が入っていくというものだ。

自分の応援するアイドルを勝たせてあげたいという気持ちはもちろんだが、徐々に自分自身が勝負に勝ちたいという勝負心を煽られて徐々にヒートアップ。両チームのアイドル・ファンとも必死で手を動かし、満面の笑顔を浮かべながら負けじと競い合う姿がすごく素敵な光景だった。

■最優秀チームは...!?

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さて、全9チームの最終発表が終了し、残すのは結果発表だけとなった。最優秀作品はオーディエンス投票によって決定し、我々は手元のスマホから最も良かったインタラクティブ作品に投票をする。その結果は...こちら!

1位 シンクリング
2位 コトバズーカ
3位 EXCITOSS!

会場全体を一体化させ、初心者でも楽しめるような応援パフォーマンスを魅せたシンクリングチームが多くの支持を得て文句なしで最優秀賞を受賞。これにより、BaPA2期生卒業製作発表会は幕を閉じた。

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私は会場で全てのインタラクティブ作品を体験してみて、各チームごとにまだまだ改善の余地を残しつつも、2020年のライブパフォーマンスがこうあってほしいという理想を追求する力強さを感じた。

また、最先端のテクノロジーとも相性抜群、今最もクリエイティブなアイドルといっても過言ではない虹のコンキスタドールの圧倒的なパフォーマンスで、途中から取材であることを忘れるほどのめり込んで楽しんでいた。

こういった演出がいつか実用化され、アイドルだけでなく様々なライブにおける楽しみ方が広がったら、エンターテイメントの幅はぐんと広がることになるだろう。私はそんな未来に期待し、心躍らせながらその時を待ちわびたいと思う。


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取材・文:石原龍太郎(いしはら りゅうたろう)


ライター・編集者。 テクノロジー・ファッション・グルメを中心に、雑誌やウェブにて執筆。本と音楽とインターネットが好き。@RtIs09


写真:早川未央

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