『BASE』が広げる主婦の働き方の可能性 ~WEEKEND BASE AOYAMA潜入レポート~

2015.08.06 08:30

誰でも簡単にネットショップを立ち上げることができる「BASE(ベイス)」。そのBASEのショップオーナーが一同に会するリアルイベントが東京・青山 COMMUNE 246にて開催された。子育てと両立する主婦の新しい働き方を開拓するその可能性とは?

BASEは誰でも簡単に無料でネットショップを作ることができるサービス。HTMLやCSSの知識は必要なく、自由度が高くレイアウトのカスタマイズができ、決済機能も搭載されている。2012年末のサービスローンチから現在に至るまで16万店舗以上が出店されている。 ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが好きなサービスとして名前をあげていることとしても知られている。

BASEでは初となるショップオーナーの実販売・展示イベント『WEEKEND BASE』が国内各地で同時開催された。東京では、青山、原宿、渋谷、下北沢、秋葉原。新潟や岡山、鹿児島でも開催された。SENSORSでは青山で行われたミートアップイベントに参加した。

■主婦たちで賑わう青山 COMMUNE 246

雨の中でも多く人が集まった

「お母さんも使えるネットショップをつくりたい」

BASE代表の鶴岡裕太さんのそんな思いから、誰でも手軽に無料でつくれるネットショップが生まれた。これまでのネットショップの操作は複雑で、出店するまでに多くの手続きを踏まなくてはならなかった。BASEなら"思い立った30秒後"にはネットショップを開設できるという。その手軽さから、実店舗を持つ販売店や個人事業主まで多くのユーザーがBASEを活用しているが、中でも「主婦」の出店が多い。

青山のWEEKEND BASEは、主婦を中心としたショップオーナーの方々が集い、ショップで扱う商品の展示、ショップ運営と子育ての両立などについての情報交換が行われているミートアップの場となっていた。

1つ1つのボックスにショップで扱う商品が展示されている

趣向を凝らした商品たち

約100店舗がポップアップギャラリーに出展していた。一輪挿しと箸置きを置合わせた陶器や、おからケーキ、パスタを使用したハンドメイドアクセサリーや、御座の小物など、実際のBASE店舗でも販売されている趣向を凝らした商品たちが展示されていた。普段会社で仕事をしているだけでは気づかない、機転の利いたアイデアが目立つ。

チョークアートのワークショップの様子 (画像提供:無料ネットショップ開設サービス「BASE」)

家族連れで来場している方の姿も多く確認できた。会場内で開催されているネットショップ運営で役に立つスキルを学ぶワークショップも、親子で参加できるような設計になっており、小さいお子さんでも楽しむことができる工夫が取り入れられていた。

■ネットショップ運営と主婦業の両立

木村さん(左)と井上さん(右)

実際にネットショップを運営している主婦による子育てとの両立をテーマにしたトークセッションも行われた。登壇したのは「おやさいクレヨンvegetabo」を手がける木村尚子さんと、「kodomo atelier」を展開する井上こず恵さん。

おやさいクレヨン

木村さんのおやさいクレヨンは、原材料が野菜と米の油からできているクレヨン。食用というわけではないが、お子さんが間違って食べてたとしても安全で、クレヨンそのものから野菜の香りがする。木村さんは青森に在住しており、元々勤めていた会社を退職して、おやさいクレヨンをはじめたそうだ。

木村:
今私には小学6年生の娘がいて、シングルマザーで子育てをしてます。おやさいクレヨンを始める前は、地元のデザイン会社に勤務していました。でも、残業が多くて、子どもを一人で家に置いておくことに対してすごく罪悪感があったんです。だから、思い切って会社をやめて、自宅を事務所にデザイナーとして独立することにしたんです。いろんな案件をこなしていくうち、オリジナル商品を開発をしたいと思うようになりました。そこで、青森の野菜を使って絵を描くというアイデアを思いついて、ネットショップをやろうということに。

kodomo atelier

井上:
小学校1年と年少の2人の子どもがいます。私は、もともと大手のIT企業に勤めていたのですけど、育児のこともあって、なにかを犠牲にしながら働いている感覚がすごく強かったんです。育児休暇から復帰するタイミングで、なにかを犠牲にすることがなく、楽しく無理なく働ける方法はないかと思ってネットショップという道を選択しました。

木村さん、井上さん、ともに育児と仕事の両立を考えた結果、ネットショップを開業するという選択をしたようだ。そうはいっても、ネットショップ運営にはやることはたくさんある。時間と場所の融通は利くものの、梱包や配送、顧客管理、注文管理など、簡単な仕事ではない。実際の育児とどのように両立させようとしているのだろうか。

木村:
私の場合、子どもが小学6年生なので、子どもにもお手伝いしてもらいます。当初は、自宅が作業場だったんですけど、自宅近くに事務所を開設しました。学校帰りに娘もきてもらって、一緒に検品の手伝いをしてもらったりしています。目の見えるところにいるので、安心して仕事ができます。
井上:
私が一番苦労しているのは子どものお迎えですね。自分が楽しいことをしているとはまっちゃって、どうしてもお迎えの時間に間に合わなくなっちゃうんです。でも、子供との時間は一番大切にしたい。時間に融通が利くので、夜できることは夜やるようにしています。日中は子どもに向き合うように心がけてますね。

子どもと一緒に作業すること、学校や寝静まった時間を上手く活用すること。木村さん、井上さんともに「仕事」という感覚でショップ運営をしているわけではないようだ。楽しいからやってる、やりたくてやってる。ストレスを抱え込むことがない。と言っている姿が印象的だった。

■ネットショップオーナー同士のつながりを強める場

金城 辰一郎さん

WEEKEND BASEの運営をリードする金城 辰一郎さんに開催の目的を尋ねてみた。

金城:
青山の会場では、主婦のショップオーナーの方に多くご参加いただいてますが、1人自宅で作業をするというシーンが多いんですよ。そういう方々に、横のつながりができる機会を作れたらと思ってWEEKEND BASEを開催しました。リアルでのコミュニケーションの場としてだけでなく、実際の商品を販売・展示していただいて、ネット上だけではわからないお客さんの反応も体感してもらう場にしていただければと思いますね。

働き方の選択肢は多様化し、個人の力ももっと強くなる。でも、我が道を行くその行動は孤独との戦いでもあるのだ。特にBASEなどのネットショップ運営では、お客さんの顔も見えなければ、外を回る機会も少ないだろう。そんな志を同じくするネットショップオーナー達と知り合うことができるリアルイベントはとても有難いことなのだと言う。

今回青山に約170店舗が出展したWEEKEND BASE(青山会場は展示のみ)。その全てを紹介することは叶わないが、それぞれのショップに、それぞれに込められたストーリーがあるのだ。ネットで生まれ、リアルで強固な絆を持つ仲間をつくること。スマホやソーシャルが当たり前な時代になったからこそ、血の通ったコミュニケーションが必要なのだと思う。

会場では、主婦のショップオーナーさんたちが机を囲んで情報交換し合う、さながら井戸端会議を彷彿させる光景が広がっていた。オーナー同士の会話に耳を澄ませていると、CVRが高い施策(≒サイトを訪れた人をいかに購買につなげるか)についての議論が行われていた。ご近所さん同士の井戸端会議が、「自分のネットショップをいかにグロースさせるか」という話題が当たり前になる世の中が来るのかもしれない。

取材:石塚たけろう

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、EIR(=客員起業家)として複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi

おすすめ記事

最新記事