【CES 2017】VRも「心地よさ」を追究〜CESに見るウェアラブルテクノロジーの進化

2017.01.10 08:00

日常利用のウェアラブルデバイス。Apple Watchはすでに身近なものとなっているが、より詳細な生体データを取るために様々なウェアラブルが登場している。タトゥーシール型、Tシャツ型、手袋型などCES 2017では日々の生活に馴染みやすい形のデバイスが紹介されていた。

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■快適性が追究されるウェアラブルデバイス

1,2年前までは生体データを取るため時計型のウェアラブルが多かったCESだが、今年はより「心地よさ」を追究していたプロダクトが多かったように思う。 気軽に、かつ正確に生体データを取るために肌に貼れるタトゥーシール型や、VR用のサングラス型ゴーグル、同じくVR用のコントロールデバイスとして手袋型のプロダクトが出てきていた。また、ファッションリング型で生体データがとれる入力装置も登場していた。

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サングラス型のVR映像出力装置『DLODLO』。

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ファッションリングと遜色の無い形状のリング型で生体データ取得、コントロール可能な『MOTIV』リング。

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展示時に指のサイズもバリエーション揃えており、ファッションリングとしても十分使える『muse ring』。生体データ取得、友達からのメッセージへの返事、次の曲へのスキップなどのコントロールはこのリング経由で出来るという。

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「世界が注目するテクノロジープロダクトが集結「CES Unveiled」」 でも紹介したが、タトゥーシール型デバイス『Rotex』は装着後7日間利用できる。肌に密着し正確なデータを取得できる。

タトゥーシール型で言えばCESの展示ではないが、MITメディアラボが開発を進めているタトゥー・タッチパッド『DuoSkin』はウェアラブルデバイスをアクセサリーの域から一歩進めて身体の一部と化す。例えばスマートフォンを操作するためのトラックパッドやボタンとして機能し、またディスプレイとしての機能も搭載されており、タトゥーの色を変化させることでユーザの体温を表すなど、肌に接触していることで得られるユーザ自身の情報を可視化するようなものも出てきている。東京大学染谷教授チームもCESでは展示をしていて、デモ的にタトゥーシールの紹介をしていた。そのようなタトゥーシール型も競争が激しくなることが予想されるなかで、「世界が注目するテクノロジープロダクトが集結「CES Unveiled」」 でも紹介したCES 2017展示の『Rotex』に関しては試用期間が7日間なので、いかに安価にできるかが課題となるのだろう。

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CES 2017イノベーションアワードを受賞した日本のXenoma『e-skin』

CES 2017イノベーションアワードを受賞した日本のXenoma『e-skin』。SENSORSではSXSW 2016でも取材したが、洗濯可能なウェアラブルTシャツである特徴は変わらず、新機能としてスポーツにおいて重要となる体や腕のひねりを計測するセンサーを紹介していた。 スポーツウェアメーカー『アンダーアーマー』のCEOケルビン・プランクのCES 2017基調講演では、フィットネスユーザーを"Connected"にし、より多くデータを取得することの必要性を問いていた。また、メルセデスベンツでも健康志向が高まる時代にあわせて車もドライバーの健康管理をしていく必要があるとブース内セミナーで紹介していた(関連記事)。 e-skinはユーザの動きだけでなく呼吸も測定できるが、今年のXenomaブースでは参考出展として、デジタル温度センサーによって体温を計測する赤ちゃんモニタリング用e-skinも展示しており、これから全身の様々な情報を得るためのセンサーを搭載していく予定があるとのこと。Xenomaのように着心地良くスポーツ中のパフォーマーやドライバーのデータが取れる服型のウェアラブルデバイス=スマートアパレルはより重要性が増すのではないか?と考える。

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スポーツウェアメーカー『アンダーアーマー』のCEOケルビン・プランクはCES 2017基調講演を務めた。

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『clim8』は環境、体温にあわせて服の温度を変化させる。CES 2017 スタートアップブース『Eureka Park』に出展していた。

■VRも「心地よさ」を追究

電気工学・電子工学技術学会『IEEE』のブースでは、"PCからのケーブルフリー"なバーチャル科学未来館体験デモを行っていたのだが、そこで使われていたのがMSI社の『VR ONE』といわれるバックパック型のVR出力機だ。これだとPCからのケーブルを気にせずに歩き回ることが出来る。重さは3.5kgほどで、薄さと軽さを理由のCES 2017イノベーションアワードを受賞していた。VR空間ではリアル空間での出来事が認識しづらいのでケーブルを気にせずに遊びたいローミング型のVRでは需要が高そうだ。
また、VRの入力装置はなれるまでに少々時間が掛かるのが難点だったが、手袋型のコントローラーも数社展示していた。『captoglove』社が展示していた手袋型コントローラーは実際に試してみたのだが、いわゆる普通の手袋なのだが指のジェスチャーにあわせてVR空間上の操作が可能だ。世の中に出回っているVR専用コントローラーは扱うまでに時間が掛かるが手袋型だとすぐに操作ができる。ゲームはもちろん、VR利用用途のひとつである仮想トレーニング利用でも直感的に活用できそうである。

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『IEEE』ブース内ではバックパック型VR MSI社『VR ONE』を装着してVR科学未来館を体験できる。

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指のジェスチャーを入力装置としてVRコンテンツを楽しめる『captoglove』

1,2年前、時計型のウェアラブルがCES会場に並んでいるのを見た時には「いよいよ身近なデバイスでインターネットに繋がれる」とワクワクしたものだ。今年も時計型も数社展示していたのだがブースを見た時に古く感じた。Gartner社が毎年発表している今後注目の技術を紹介するHypeCycleグラフでは、2015年版は「ウェアラブル」領域が含まれていたが、2016年版はそのキーワードは消滅していた。代わりに「ジェスチャーコントロール」領域が登場している。より直感的な動きが取れるデバイスが必要とされ、CESに出展する企業達はその流れをいち早く察知し、プロダクトとして展示してくる。今年のCES 2017の総論としてはより直感的で、きめ細やかなサービスを心がける企業が増えてきたように感じる。人々が心地よく"Connected"になれる環境がまた一歩近づいている。

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ライター:西村真里子

SENSORS.jp 編集長 国際基督教大学(ICU)卒。エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後外資系企業のフィールドマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブ会社のプロデューサーを経て2014年株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×デザイン×マーケティングを強みにプロデュース業や編集、ベンチャー向けのメンターを行う。Mistletoe株式会社フェロー。

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