楽しい「体験」を届けるプロダクトが勝ち残る時代へ【CESレポート from ラスベガス】

2016.01.06 20:00

「CES」=Consumer Electric Show。今年も、現地時間1月6日(水)〜9日(土)アメリカ・ネバダ州ラスベガスにて開催。SENSORSからはWeb編集長・西村真里子もラスベガスに飛び取材中。現地からのレポートをお届けしています。

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VR/ARやドローンの出現により、我々は空間へのインタラクションもできるようになってきました。
CES 2016のIntel基調講演と、pepcom/CES UnveiledというCES前日のプレス向け発表会を参加して、2016年以降勝利していく企業のあるべき姿が見えてきました。自社テクノロジーやプロダクトを打ち出すだけの企業から、人々の体験を変更できる企業が勝利を得ていくことになるでしょう。それは人間関係に当てはめても、どれだけお金を持っていたり容姿を整えて迫ってくる男性よりも、私に楽しい体験を提供してくれる男性とずっと一緒にいたくなるものですからね(笑)。そんな当たり前の関係性が、企業対消費者でも起きていくのではないでしょうか。今回はその中でもスポーツ、ゲーム、オモチャについて掘り下げていきます。

◼︎空間へのインタラクション、プレイヤーの可視化

「テクノロジーは新しいエクスペリエンス/体験を提供するものである」とは、IntelのCEOブライアンの言葉。
テクノロジー自体よりも、ユーザーや参加者の体験がどう変わるのか?にフォーカスすることが大事。「2016 is a year of amazing experience」...ワクワクする体験を提供することに注力するのが2016年となりそうです。基調講演のステージ上でひとつの例として紹介されたのが、Droneで構成された花火。紙と火薬でできたものをテクノロジーで作り直し、花火の体験を新しいものとして提供する実験を行ったそうです。またIntelが今年のフォーカスドメインとして紹介したのが、スポーツ&ゲーム、健康、クリエイティビティ。その中で特に私が感動したスポーツ&ゲーム体験を紹介します。

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VRをつけたアーティストが空間を使ってライブペインティング。Intel基調講演

【スポーツ観戦の新たな形、選手データのリアルタイムビジュアリゼーション】
スノーボードやBMXなどの競技はいかに高くジャンプし、スピンをカッコよく決めるかがクールな見せ所となります。いままでは主観的にかっこいいかよくないか、そしてコメンテーターの発言を元に採点がされていた競技に、客観的なデータが取り入れられる時代がやってきました。ステージ上ではBMXやスノーボード、プロ体操選手のアクションがデータとしてリアルタイムに可視化されていたのですが、この技術があるとスポーツ観戦もプレイそのものだけではなく、データの比較とともに客観的に楽しめるようになります。エキサイティングなのはライブのスポーツもリアルタイムにデータ取得し、ビジュアリゼーションできること。アイススケート競技もデータとともに見られるのであれば、スピン回数やジャンプの高さがどれだけ重要か可視化され客観的に楽しめ、興味が増すのではないでしょうか。

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ステージ上でジャンプするパフォーマーのデータがリアルタイムに可視化。これからのスポーツ観戦はデータとともに楽しむことになりそうです。

【リアルとバーチャルの融合】
IntelのCPUとゲーム実況プラットフォーム Twitchにより、ゲーム対戦相手の顔がリアルタイムに表示されながらゲーム観戦できる世界がやってきました。グリーンバックなどの合成技術もなく、リアル世界のプレイヤーがバーチャル世界に入り込みゲーム対戦できるのです。VRなどの没入感とはまた違う、遠隔地の友達と一緒にバーチャル世界で楽しむゲーム体験が提供されます。

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画面左下の女性はステージ上でゲームプレイしていた女性。彼女がグリーンバックなどの設備もない状態でそのままゲーム世界に入り込んでいます。対戦ゲームはバーチャルとリアルとのコンビネーションで楽しむ、新しいゲーム体験が提供されます。

◼︎オモチャ体験は「自分でつくる」時代へ

成長産業のひとつにオモチャ産業が挙げられていたということは前回の記事で紹介しましたが、オモチャは買うだけのものではなくオモチャを作ること自体が楽しみとなるプロダクトも紹介されていました。消費するだけの時代からクリエイティビティを発揮する時代へと突入しています。
LEGOのマインドストームは有名ですが、LEGO エデュケーションチームは子供向け科学キットMini Milo(ミニマイロ)を紹介していました。これはLEGOと無償ソフトウェア(ドラッグアンドドロップのわかりやすい操作性。参考動画)を組み合わせて子供達に科学の世界を体験してもらうためのものです。会場でも配られていたキットに、ソフトウェアを組み込むと、亜熱帯のカエルの変体や、火星探査ローバーの簡易版を子供達が体験できるというもの。みんなが慣れ親しんだLEGOもどんどん教育分野の興味関心を引くオモチャへと進化しています。

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Mini Miloという小さなキットを組み合わせてソフトウェアを入れるだけで自分の興味に合わせた実験キットが出来上がります。

同じくLEGOを使ったオリジナルのオモチャを出している会社もありました。こちらはモジュール毎にサウンド、Bluetooth接続などを選び積木のように組み合わせるだけで自分の欲しいオモチャができるというもの。こちらもGUIベースのわかりやすいプログラミング環境でソフトウェアを自作し、自分好みのオモチャを作ることができます。

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カラフルなキットを組み合わせるだけで自分好みのオモチャがつくれます。 写真はデジタルオルゴール。

GUIベースのプログラミングも抵抗がある、という方向けにはパーツをつなぎ合わせるだけで自分ごのみのオモチャができるという、3歳の子供を対象にできるプロダクトも出ていました。

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芋虫の体のパーツがそれぞれ動きや音などの挙動を制御するモジュールとなり自作オモチャを簡単に作れるようにしています。

小さい頃から楽しめるオモチャやスポーツ、ゲーム。そんな幼少期の楽しい体験をうまく再現でき、子供の心を無くさない大人を楽しませてくれるプロダクトやサービスを提供できる企業こそが、2016年以降より重要視されるであろう「体験、エクスペリエンス」の勝者となっていきそうです。頭で考えるより、心や体で「楽しい!」と思う体験を大切にするプロダクトやサービスがより重要視されていく、そんな世界に私自身とてもワクワクしています。

取材・文:西村真里子

SENSORS.jp 編集長
国際基督教大学(ICU)卒。IBMでエンジニア、Adobeにてマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブカンパニー(株)バスキュールにてプロデューサー従事後、2014年に株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×クリエイティブ×マーケティングを強みにプロデュース業や執筆活動を行う。スタートアップ向けのデザイン&マーケティングアクセラレーションプログラム「HEART CATCH 2015」総合プロデューサー。 http://events.heartcatch.me/

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