ABBALab 小笠原治さんを会場で直撃!スタートアップが「CES」に挑戦する意義とは?

2016.01.22 09:00

現地時間1月6日(水)〜9日(土)アメリカ・ネバダ州ラスベガスにて開催された「CES」=Consumer Electric Show。SENSORS Web編集長・西村真里子もラスベガスに飛び取材を実施しました。現地レポートをお届けします。

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スタートアップの集まる場所として日本で先駆けのawabarやNOMADを立ち上げ、DMM.makeプロデューサー、投資会社ABBALab代表、現在さくらインターネットでもIoT向けプロダクトを仕込み中であり日本のスタートアップ牽引役として著名な小笠原治さん。世界と日本のスタートアップ市場に精通している小笠原さんをCES会場で突撃。今回はそのインタビューの模様をお届けします。

西村:
家電コンベンションである「CES」とスタートアップ、どのような関連があるのでしょうか?
小笠原:
CESはもともと大手家電メーカーのための家電ショーでしたが、この3年くらいで位置付けが変わってきていると思います。大企業が展示しているラスベガスコンベンションセンターを見に行く人よりも、スタートアップや新興企業が集まるサンズエキスポセンター(Sands Expo)およびスタートアップブースEureka Parkを見に来る人、スタートアップ系を目的にCESに来る人が増えました。それは、CESに来てスタートアップが彼らのビジネスをアピールできる場になってきていると言えるでしょう。ちょっと前までCESの中でスタートアップは埋もれていたのに比べると大きな変化です。
西村:
私が4年前に来た時にはスタートアップブースは学園祭のようなノリでこじんまり展示されていました。
小笠原:
確かに。そして規模だけではなく、3年前まではスタートアップの展示製品もどこかで見たことあるようなコピー製品のようなものも展示されていましたが、最近は完成度が高い製品を見かけるケースが多くなりました。こじんまりとしたブースでそのような完成度高い製品を見かけると嬉しくなるし、興奮する出会いも多くなったと感じています。
ces_6_1.png

小笠原治さん(右)をCES会場で突撃

西村:
今年も日本のスタートアップが数社展示されていますが、フランスやイスラエル、中国に比べると少ないと感じております。CESへの日本のスタートアップチャレンジについてはどのようにお考えですか?
小笠原:
日本からCESを目指すスタートアップの数は、正直少ないと考えています。まだCESのことを知らないスタートアップが多いのが現状だと考えています。世界中のスタートアップがCESで盛り上がっているのに気付いてない人が多い。クオリティはまったく問題なく世界に通用するのですが。比較して中国はじめアジアからの参加は多いですけどね。
西村:
日本のスタートアップがCESに展示する意味はどこにあるのでしょうか?
小笠原:
CESは商談目当ての方が世界中から集まります。商談がすぐ行われるので、CESに出展してきちんとアピールできればそのまま販路が獲得できる、出展した後の商売につながる場なんです。なので、日本からチャレンジするスタートアップがもっと増えてほしいですね。
西村:
CESの他に日本のスタートアップが挑戦すべきイベントやコンベンションはどのようなものがありますか?
小笠原:
1月にラスベガスで開催されるCESと3月にテキサスオースティンで開催されるSXSW、この二つは目指して欲しいと思っています。この二つのイベントを起点にして、例えば自分たちが音楽市場に打っていきたいならば音楽関連のイベントを掘り下げて行くなど、最初のスタート地点としてCESとSXSWは押さえて欲しいと考えています。
西村:
CES 2016のスタートアップ展示の中で、小笠原さんのお気に入りのスタートアップおよびそのプロダクトを教えてください。
小笠原:
(まだ全部まわり切れてない状態ですが)空中で映像体験を提供しているイギリスのホログラム企業「KINO-MO」の展示が良かったですね。いままではモノ・プロダクトを売る企業だけだったのが、体験を提供してくれる企業が増えてきている。そしてその体験をサービスとして売る企業が増えてきているのが嬉しいですね。
西村:
上記も含めてのCES 2016年のトレンドを教えていただけますか?
小笠原:
スタートアップ系会場が大きくなったことに象徴されますがCES主催側も若手の台頭を求めていると思います。そして、来場者もバイヤーがメインではなくなった気がしています。投資家サイドも見た顔が増えてきていますし、いままでとは違う流れを感じます。
西村:
最後に日本のスタートアップに向けて出展するメリットを教えていただけますか?
小笠原:
それは実際に展示しているOrpheの菊川さんに聞くのがいいでしょう。(突然、Orphe 菊川裕也さんに声掛けして登場いただく)
菊川:
手応えは感じます。バイヤーが声掛けに来ますし、リアルに何掛けか?などと商談がいきなり始まります。
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突然インタビューに参加いただきましたOrphe菊川さん(中)。ありがとうございます。

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スマートシューズ「Orphe」

小笠原:
ネットサービスだと日本国内のサービスで閉じちゃうのですが、モノの場合はCESのような世界中のバイヤーが集まる場所にチャレンジすれば言語の壁を越えてバイヤーが声掛けてくれるので、大きく勝負できます。もっと日本のスタートアップもCESを目指すと良いと考えます。

今年500社が世界中から集ったスタートアップブースEureka Parkでは、世の中を便利にするためのプロダクトが展示されており来場者をワクワクさせてくれましたが、何よりも嬉しいのは出展するスタートアップ側も楽しそうに自分たちのプロダクトを紹介していたこと。未来や夢、希望を込めたプロダクトが世界中から多く集まるCESで日本のスタートアップの姿を多く見かけるようになることを期待してやみません。来年のCESスタートアップブースEureka Parkを楽しみに待ちたいと思います。

取材・文:西村真里子

SENSORS.jp 編集長
国際基督教大学(ICU)卒。IBMでエンジニア、Adobeにてマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブカンパニー(株)バスキュールにてプロデューサー従事後、2014年に株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×クリエイティブ×マーケティングを強みにプロデュース業や執筆活動を行う。スタートアップ向けのデザイン&マーケティングアクセラレーションプログラム「HEART CATCH 2015」総合プロデューサー。 http://events.heartcatch.me/

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