開催36年目・台湾の一大ショーケース「COMPUTEX」主催者に聞く 台湾×スタートアップのいま

2016.06.08 12:00

5月31日から6月4日まで台北で開催された、台湾はもちろん各国の企業が新製品や新技術を発表する一大ショーケース「COMPUTEX TAIPEI 2016」。このイベントを主催するTAITRA(台湾貿易センター)副秘書長 葉明水氏にお話を伺った。。
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会場ではPC、モバイル関連をはじめとする数々のプロダクトが展示され、今年の出展は1,602社・5,009ブースにのぼった。36年目という長い歴史を誇るイベントだが、今年は「InnoVEX」というスタートアップ企業に特化したエリアも登場。217のスタートアップが参加した。
葉氏にはイベント自体はもちろん、「台湾とスタートアップ」という視点で、台湾の今について語って頂いた。

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TAITRA(台湾貿易センター)副秘書長 葉明水氏

■製品調達の場から、テクノロジーのエコシステム構築の場に

--アジア全域、もしくは世界各国におけるCOMPUTEXの意義について教えて頂けますか。

葉:
開催以来36年を経たCOMPUTEXは、元々は製品調達のプラットフォームでした。しかし「製品の製造」から「ソリューションの提供」という業界の産業の変化に合わせて、COMPUTEXもテクノロジーのエコシステム構築のプラットフォームとしての存在になりつつあります。

--今年のCOMPUTEXはIoT、スタートアップ、ゲーミング、スマートビジネスソリューション、この4つがテーマとして設定されましたが、その理由は?

葉:
IoTはやはり各国の企業が力を入れていて、今まで堅実な電子産業を築いてきた台湾の企業も積極的にリソースを投入している分野です。
スタートアップは未来のアイディア、イノベーションが生まれることに期待を込めています。今年はスタートアップに特化したエリア「InnoVEX」を新設しました。
スマートビジネスソリューションは、冒頭にもお話した通り、多くのメーカーが「ソリューション」を提供する存在に変化していること。IBMやHPといった世界的な企業もそうですし、台湾のPCメーカーでも同様の動きが見られます。
そして最後にゲーミングですが、ゲーム関連の製品は一般の製品に比べるとスペック・技術が高いですよね。台湾の企業はレベルの高いPC商品を生み出してきたので、これからこの分野への進出が期待されます。今年は「ゲーミング×世界各国の企業」で30数社の出展がありました。
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「InnoVEX」エリアの一角

■「アジアのシリコンバレー」計画も 台湾とスタートアップの相性

--台湾の今についてもお聞かせ下さい。「台湾だからこそ」のアピールポイントがあれば教えて頂けますか?

葉:
台湾の環境は、スタートアップに適しています。まず投資に関する意欲が高く、資金の調達もしやすいです。またスタートアップにとって重要な人材面。台湾の特徴のひとつとしては、大手企業の退職後スタートアップに入り"使徒"としての役割を果たすという人が多いことです。製造業での経験を持っている技術者がとても多いです。またエンジニアに関連した学科も多いです。 さらに台湾は著作権に関する法律の整備が整っていることも特徴です。

--「投資に関する意欲が高く、資金の調達もしやすい」という点、さらに詳しくお聞かせ頂けますか?

葉:
より良い起業環境を整備するために、台湾の行政院(内閣)は関連13省庁を連携させ、経済部(経済産業省)は各省庁のリソースを統合して「⻘年起業家支援プロジェクト」を打ち出し、起業に関する相談・マッチング・政府支援への申請サポートなど様々なサービスを提供。そのほかに、ワンストップ起業サービスを提供する「若者起業支援基地」、イノベーションに取り組む中小企業への「資⾦調達支援プロジェクト」、情報交流のプラットフォームとして「起業家ポータルサイト」の設⽴など、様々な施策を実施しました。また、外国の人材を台湾に呼び込むために、現在は「起業家ビザ」の新設に向けて検討を進めています。これらの取り込みを通じて、台湾は国際起業家育成の中心地となることが期待されます。
また、台湾の政府系ファンド運営機関である国家発展基金会は「Headstart Taiwan Project」を掲げ、スタートアップ企業に向けて積極的なサポート策を打ち出しました。その方向性としては主に2点になります。
1.「500 startups III, LP」「AppWorks Fund II CO.,Limited」「360ip」「TransLink Capital Partners III, LP」など4つのベンチャーファンドに対して計8,000万米ドルを出資し、マーケティング能⼒向上や海外ネットワークの構築など、様々な面から支援する。
2.「起業を妨げる規制の緩和」「国際資⾦や海外専門人材を積極的に呼び込み」「イノベーションパークの設⽴」などの3⼤戦略を通じてスタートアップ起業の発展を促進する。
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「InnoVEX」エリアの一角

--スタートアップの支援を行っている国・地域・都市は多いですが、そういった都市と比較した上での台湾だからこその強みについても、教えて頂きたいです。

葉:
今、世界のスタートアップ企業にとってのメインマーケットはアメリカと中国です。台湾のスタートアップの人々は、中国語はもちろん英語も喋れる人が多く、これら二つのマーケットに繋がりやすいのです。これは、台湾の内需が小さく国際的な貿易が必要であり、英語を話す機会が自ずと多いという背景からです。また台湾の製造業は品質を長年評価されてきました。これら文化的な背景、製造業の能力、両方持っていることが台湾の強みです。
また、台湾政府では台湾桃園国際空港周辺をアジアのシリコンバレーとするべく開発する計画があります。シリコンバレーに比べると開発や生活にかかるコストが低いですから、海外の人材にも積極的に来てほしいですね。
日本にも優れたスタートアップ企業が多いので、是非台湾の企業とのビジネスアライアンスを通して、一緒にアメリカや中国のマーケットに進出していって頂きたいですね。

「我々もよりスタートアップを盛り上げて行くべく、今年InnoVEXというエリアを新設しました」という葉氏。次回の記事では、この「InnoVEX」に出展した企業の中から、台湾発・注目のサービスやプロダクトをご紹介する。

取材:市來孝人

SENSORS Web副編集長
PR会社勤務を経てフリーランスのWebエディター・PRプランナー・ナレーターなどとして活動中。「音楽×テクノロジー」の分野は特に関心あり。1985年生まれ。
Twitter:@takato_ichiki / Instagram:@takatoichiki

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