「笑うメディアCuRAZY」流・シェアされる動画の撮影・編集テクニック3か条

2016.06.10 19:00

SNS全盛の時代において、「シェアされる」という視点がコンテンツにおいて重要になりつつある。では「シェアされる」ためにはどうすれば良いのか。今回はWebメディア「笑うメディアCuRAZY」を運営する株式会社ラフテック代表取締役 伊藤新之介氏にお話を伺った。
【6/12(日)2:25~[土曜深夜]の放送でも、制作の舞台裏を紹介!】

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「笑うメディアCuRAZY」は世界中から面白動画や面白ニュースを収集し厳選してお届けするメディア。アクセスは月間900万UUを誇る。伊藤氏から語られたのはシンプルな極意三か条。どれも明日から使えるものばかりだ。

■第1ケ条:静音視聴が常識!音なしでも楽しめるコンテンツ作り。

伊藤:
一つ目は、「静音視聴を念頭にコンテンツ作り」をするということです。海外のデータ会社のリサーチによるとFacebook、Twitter、LINEのタイムラインに関しては85%ほどの人が、動画を音なしで視聴します。動画はそもそも音なしで楽しめること、具体的には字幕をつけたりイメージを喚起させるような編集が基本です。例えば以下の動画が参考になります。
伊藤:
この動画は、字だけで内容を理解できますね。海外でよく見られる「ミームスタイル」と呼ばれる動画編集方法で、上と下にずっと文字が固定されています。あらゆるものを字幕で説明するスタイルが増えつつあるのが、海外の特徴でもあります。

■第2ケ条:重要なのは最初の5秒!掴むためのコンテンツ作り

伊藤:
続いて2つ目は、「最初の5秒をいかに工夫するか」ということです。YouTubeと違い偶発的にスクロールして現れるFacebookなどのSNS上の動画は、読み飛ばされる危険性をはらんでいます。人間は自分にとって必要かどうかを大体5秒以内に判断すると言われているため、最初の5秒間が動画コンテンツにとって一番重要になってきます。ここからは少し事例を紹介していきたいと思います。
伊藤:
この動画では最初からタイトルを動画の中に入れています。そうすることで今後の展開を予想させています。以下の動画はどうでしょう?
伊藤:
この動画の場合ですと、最初に不確かな情報を与えることで、次の展開が見たくなりますよね?なかなか展開を予測できない情報提示も、見られる動画コンテンツには有効だと考えています。
伊藤:
料理動画の場合は、最初に完成図を見せてしまうことが有効だと思います。「こんなおいしいものが作れるのか」と興味を最初に掻き立てるという手法もあります。
伊藤:
この動画はいかがでしょう?先にキャッチーなタイトルを入れています。ユーザーにとっては9個のことは何なんだろうと最初に興味として掻き立てる、こんな手法もあります。

■第3ケ条:鉄則は「同じカットは5秒まで」。ユーザーを飽きさせない工夫

伊藤:
最後が、「同じカットは5秒まで」です。多くの動画は1、2分で集中的に興味を掻き立てるものなので、5秒以上同じカットを使ってしまうと一気にユーザーが動画から離脱してしまいます。そのためにも5秒以内に画を切り替えたり、何かしらのエフェクトを入れたりする工夫が重要になってきます。特に、テレビやYouTubeと違い、FacebookやTwitterでは上下にフリックするだけでユーザーは簡単に動画から離脱出来てしまうんです。そのため、飽きさせないために5秒以内にカットしていくという手法が、特にFacebook、Twitterではよく取られます。
伊藤:
上記の動画は、SENSORSでSXSWの取材時に撮影した動画をFacebook用に再編集したものです。これは例えば「このブロックはこれを意味しています」といった5秒以内に常にインパクトのある画に切り替えています。そうすることでユーザーは切り上げるタイミングを見失い、結局最後まで観てしまう構造を作っています。

上記の3つの要素を全て兼ね備えた動画が以下です。
伊藤
この動画は名刺アプリのプロモーション動画なのですが、最初の5秒で、男女2人が白バックで何かの動作を行う。このタイミングでユーザーからすると、「名刺を交換したけど今から何をするの?」と興味喚起、極意の2つ目が入ります。さらに動画を見ていくと、5秒以内に何かしらのエフェクトが行われています。これは極意の3つ目に該当します。そして動画全体では音なしでも楽しめるようにしています。
今回の企画に合わせて、新たに動画を作って頂いた。内容は"VRを使ったプロポーズドッキリ!?"...ついにVRでプロポーズする時代がやってきた?

--伊藤さんにとって、シェアされるコンテンツとはどういったものですか?

伊藤:
私にとってシェアされるコンテンツとは、「会話のきっかけを作りだすこと」です。面白い動画というものは一人でシェアするのか、みんなでシェアするのかという2つに大きく分かれると思っています。ネットのコンテンツで多い炎上系のネタなどはどちらかというと一人で楽しみますよね。私が目指しているのは友達どうしで盛り上がるようなネタ。そういった面でテレビの情報番組に似ているのかもしれません。

--伊藤さんご自身がシェアされるコンテンツを作る上で、編集技術以外に工夫されていることはありますか?

伊藤:
コンテンツの中身にユーザーの反応を投影することです。偶発的なシェアではなく、ユーザーにこういう反応をしてほしいよねという視点でのコンテンツ作りを行っております。
例えば、30代の主婦の方が、すごい!と思うような企画をデータベース化しています。一方で、多くのシェアを獲得するためにはコンテンツの中身を「想像の範疇を超える」ものにしなければいけません。そういったバランス感覚に神経をとがらせています。

--伊藤さん、そして「笑うメディアCuRAZY」の今後の展望を教えてください。

伊藤:
数値的な目標としては、動画の本数を増やすことです。具体的にはオリジナルコンテンツを1日10本出す体制を整えることです。
コンテンツの中身では、料理系など真似されやすい、いわばレッドオーシャン的な内容は外してコンテンツ作りを行っていきたいです。イラスト系や、ロケ系など、真似する障壁の高いものを狙い、多くのシェアを獲得していきたいと思っています。

【担当ディレクター・岡田 取材後記】
CuRAZYの、ユーザーを虜にするような面白い記事に興味深い動画。今回はシェアされやすい動画について伺いましたが、「確かに!」と3回思いました。
1つ目は、「確かにスマホでFB見てるときにイヤホンしてない!」
2つ目は、「確かにこの動画興味ないって3秒くらいで判断してる!」
3つ目は、「確かに最後まで見る動画って、リズムが心地いい!」
Webコンテンツを作るプロたちは、普段私たちのこのような行動や心理を分析していて、ちょうど気持ちいい所に、すっぽりはまる動画を届けてくれますね。普段何気なく見ているWeb動画ですが、その裏側を覗くことが出来て楽しい取材でした。
テレビと、Web動画、どちらも同じ『映像』ですが、スタイルも違えば見る人の状況も違います。テレビは、視聴者が「この番組を観よう!」と思いチャンネルを合わせてくれることもありますが、SNS上でのユーザーの動画との出会いは、偶然がほとんどですよね。そんな偶然の出会いの中で、いかに自分(動画)に一目惚れしてもらうか、ですね。

文:岡本孔佑

フリーライター。慶應義塾大学文学部4年在籍。編集者を志し、複数の媒体で執筆、編集を経験。「ファッション」、「テクノロジー」にアンテナを張っています。
Facebook:www.facebook.com/kohsuke.okamot

聞き手:岡田麻里奈

SENSORS ディレクター。日本大学芸術学部 放送学科 テレビ制作専攻卒。大学時代は映像を作り続ける傍ら塾講師としての経験も。「ZIP!」や各種特番の担当を経て現在に至る。「あなたの熱い想いを皆様へ」をモットーに、取材ではしつこいくらい...いや、仲良くなれてしまうくらい、真意に迫ります。

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