大学発の先端技術が集結!"未来のスタンダード"が生まれる「DCEXPO2015」

2015.11.10 18:00

10月22日から4日間にわたって日本未来館で開催された国際イベント「DCEXPO2015(デジタルコンテンツエキスポ2015)」。今回SENSORSが注目したのは大学の研究室が出展した次世代のテクノロジー。展示ブースをSENSORSブルー・岩本乃蒼が体験をしながら周り、開発者たちに将来の展望を聞いた。次世代のクリエイター、研究者が描くコンテンツ産業の未来とは?

■︎︎エッジの効いた開発途上の技術が集う展示「DCEXPO2015」

市原:
一番エッジの利いたギリギリの淵のところにある、試作品が動くくらいの仕上がりの"ある程度できている"モノがここには集まっています。

「DCEXPO2015」を主催する市原健介氏(一般財団法人 デジタルコンテンツ協会 専務理事)が語るように、会場には荒削りながらも将来性溢れる最新技術が集った。大学・大学院などの研究室から20のグループが参加。注目の展示を紹介していこう。

■︎︎映像に触れる、未来のコミュニケーションデバイス"視触覚クローン"

東京大学大学院新領域創世科学研究科 篠田・牧野研究室が開発した「視触覚クローン」は、遠隔の相手と触れ合える未来型のコミュニケーションデバイスだ。

視覚と触覚をコピーすることで、目の前の鏡に立体的に映し出された手を触れると、あたかも映画『E.T.』で指と指が触れ合ったかのような感覚になるのだとか。「よく見ても何もないんですが、触れるとここにあるんです。すごく不思議な感覚ですね」と実際に体験した岩本は言う。

牧野泰才氏(東京大学大学院 講師)と共に視触覚クローンを体験するSENSORSブルー・岩本乃蒼

映像に触れた感覚を体験出来る仕組みは、上下左右に並べられた1,000個の超音波スピーカーにある。センサーで映像と手が重なり合った部分を検知し、その部分めがけてスピーカーから超音波で圧力を伝えているのだ。

今後の実用化の可能性について、開発した牧野氏はこう展望を述べる。

牧野:
単身赴任で大阪に行っているお父さんと東京に住んでいる子供たちがコミュニケーションをするとか、病気で入院しているおばあちゃんと孫が触れ合ったりなど、様々なタイプのコミュニケーションができるのではないかと考えています。

今後の研究が進展すれば、相手に触れることのできるテレビ電話が誕生する日も遠くないのかもしれない。

■︎︎スクリーンを逃さないプロジェクションマッピング

続いて紹介するのは、大阪大学大学院基礎工学研究科 佐藤研究室が開発した「陰消型プロジェクションマッピングマーカー」だ。動く物体にプロジェクションマッピングができる技術で、自動的に映像を動く物体に位置合わせする。

プロジェクションマッピングといえば、動かない物体に対して映像を投影する。対して、この陰消型プロジェクションマッピングであれば物体を移動、回転、転倒させても映像が自動でアジャストし、動的に投影することが可能となっている。

特殊なマーカーを座標としカメラで認識。角度や距離に合わせ、自動で投射する映像を切り替える。まだ開発途上だというこの技術の展望とは?開発者の岩井大輔氏(大阪大学 准教授)に話を聞いた。

岩井:
例えば、粘土で子供が色々なモノを作ります。粘土は一色で作ると思うので、それに模様がついて動き出す。そういったことができると面白いおもちゃができると思います。

■︎︎︎医療に革命を起こす"導電インク"

最後に紹介する"導電インク"技術は、今回のDCEXPOで特別賞2部門を獲得した完成度の高いテクノロジーだ。

電気を通す銀、ゴム、界面活性剤など独自の調合で開発されたインク。布などの柔らかい生地にプリントができ、簡単に複雑な配線が作れる。布地に印刷で作る伸縮性導体で、元の長さの3倍以上伸張させても高い導電性を維持する。

東京大学工学系研究科 染谷研究室 JST ERATO 染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクトhttps://www.youtube.com/watch?v=6l7d5fbz06k

多数の企業から問い合わせを受けたというこの技術。電極を用いて電圧を測定する心電図など医療分野での活用を視野に開発を続けていくという。今後の展望について松久直司氏(東京大学染谷研究室 博士課程)が語ってくれた。

松久:
今だとおじいちゃん、おばあちゃんがリハビリのために身体中に電極を貼りますけども、将来的にはセンサースーツを着るだけで、身体中の生体情報が取れるようになるようにしたいと思っています。

今回紹介した3展示はどれもまだ開発途上で未完成のものである。ただし、その技術の萌芽が見せる可能性は、ノルマのある環境やビジネスでもない研究だからこその自由な発想から生み出されたものだ。今は荒削りでも、ここから未来のスタンダードが生まれるのかもしれない。

文:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。フリーライター。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。「BOSCA」編集長。東京大学大学院学際情報学府在籍。最近の関心領域は「人工知能」。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh

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