"コトづくり"を編み出す共創「Transight」〜デザインアーク×amidusのオープンイノベーション

2016.02.19 10:00

空間創造を手掛けるデザインアークが、事業企画のプロフェッショナル・amidusと手を組んで行う共創プロジェクト「Business Design Program」。第一弾となる今回の商材はユーザーニーズに合わせ、空間ごとのレイアウトが可能なモジュラーシステム「Transight」だ。プロジェクトを推進するデザインアーク・嶋田二郎氏、amidus・田淵淳也氏に構想を伺った。【Sponsored by 株式会社デザインアーク】

インテリア・建材・オフィス・レンタル、4つの事業を軸に空間創造を50年にわたり手掛けてきたデザインアーク。オープンイノベーションにも積極的な同社が、事業企画のプロフェッショナル・amidusと手を組んで開発中のユニットシェルフが「Transight(トランサイト)」だ。パネルと通電フレームを組み合わせた構造体をプラットフォームに、機能を自由に拡張できる「家具×家電=∞(無限の可能性)」として展開。店舗・住宅・オフィス、人の暮らしの欠くことのできない空間にイノベーションを起こそうとしている。

「Transight」は、「家電と家具の融合」をテーマにした、フレーム部分に電気が通うモジュラーシステム。それをオープンプラットフォームとしてクリエイターやサードパーティーに開放し、そこに搭載する様々なアプリケーションによる新しい体験価値と事業の創造を目指している。

「Transight」はamidusが主導する、"企業課題・社会課題の本質を捉えた解決アイデアを編み出し、そのアイデアの事業化までを目指したプログラム"「Business Design Program」の初回の商材として選ばれた。2月23日に行われるプログラムのアイディアソンでは、企画チーム・技術サプライヤー・協業パートナーが一体となってTransightを活用した新たなビジネスプランを構想する。

"モノづくり"から"コトづくり"へ消費者ニーズの文脈が変化した現在、イノベーションを創造するためには、業種の垣根を超えたこうしたコラボレーションが有効だ。
23日のイベントを前にプログラムを主導するデザインアーク 取締役 営業本部長・嶋田氏とamidus代表取締役・田淵氏に話を伺った。

■異業種のプロフェッショナル達との共創を通じて"コトづくり"のビジネスを創造する

事業開発を支援するプロフェッショナル「amidus」の社名は、日本語の「編み出す」に由来する。企業・クリエイター・ユーザーなど様々な主体がビジネスを編み出す場の創造を目指す同社は、企業の課題に社会的な課題やユーザーのニーズを編み込んでいくことで、今までにないアウトプットを生み出していくことをミッションに掲げている。

「共創(Co-Creation)」や「オープンイノベーション」という言葉を頻繁に耳にするようになってから久しいが、一つの商品・事業・サービスが出来上がるまでの過程の、どの部分で"共創"すべきなのかについてまだ答えが出ていないのではないかと田淵氏は指摘する。たしかに最近流行りのハッカソンでは、ある課題やテーマに対して、企業が保有する技術をオープンにすることで自由な発想からのクリエーションを期待している形式のものが多い。今回の「amidus Business Design Program」は何が特徴なのだろうか。

amidus株式会社 代表取締役・田淵淳也氏

田淵:
今回は技術やアイデアのシード(種)ではなく、構築されたビジネスのコンセプトはこちらで提供します。アイデアが乗っかってくるプラットフォームまでは作り上がっているので、目指しているアウトプットもイメージしやすいかもしれません。プラットフォームの中身の部分にフォーカスしてもらう共創というアプローチです。こちらの方が後の事業化も構想しやすくなるのではないかという仮説があります。

昨年5月、オリジナル家電ブランド「amadana(アマダナ)」の一組織から独立し、会社化したamidus。デザインアークとは三年前より「Transight」のプロジェクトを共同で進めていた。より緊密な関係で、ビジネス創造を行っていくため、昨年の7月には資本業務提携を結んだ。

デザインやクリエイティブも重点を置きながら、暮らし・オフィス・レジャーなど"人が生活する空間"でビジネスを展開してきたデザインアーク。単に既製品を売るのではなく、コーディネーターやコンサルタントによる体験や感動の提供を通して、"コト消費"へも注力しているという。amidusとタッグを組んで行う今回のプログラムの背景にも、体験に価値を見出す消費者ニーズの変化があるのだとデザインアーク 取締役 営業本部長の嶋田氏は語る。

株式会社デザインアーク 取締役 営業本部長・嶋田二郎氏

嶋田:
当社は長らく、モノを作り、販売するということを行ってきました。モノづくりからコトづくりへと、社会背景が変わっていく中で、一社だけで革新的なアイデアやビジネスを生み出すことが難しくなってきています。異業種のクリエイターや技術パートナーと共創し、新たなビジネスを創造する今回のようなプログラムはネットワークやコーディネートに長けたamidusさんの協力なくしてはできなかったでしょう。我々が期待するのは、モノづくりというよりも、コミュニケーションのプロフェッショナルの視点ですね。そういった方々に「Transight」を様々な角度から触れていただくことによって、我々も気づいていなかったアイデアや価値を出していただくことに期待しています。そこからパートナーになっていただくことも充分にあり得ると思っていますね。

■IoT時代、プラットフォームである「Transight」は空間体験そのもののデザインを可能にする

モジュラーシステムである「Transight」にはフレーム内に電気が通っているため、テレビ、プロジェクター、スピーカーなど様々なエレクトロニクスと連動することが可能だ。IoTが当たり前となり、あらゆるプロダクトにエレクトロニクスが溶け込み、様々なモノ同士が通信するようになった世界の先を田淵、嶋田、両氏は見据えている。

海外展開も視野に入れる「Transight」は、昨年3月にテキサス州・オースティンで行われた「SXSW2015(サウス・バイ・サウスウェスト)にも出展された。

田淵:
IoTプロダクトが増えていく中で、生活する立場としては空間をどのように設えていくのか、収めていくのかという観点が最終的には重要になっていくと思います。プロダクトだけ優れていても、置かれる空間が優れていなかったら嫌ですよね。なので、スマートプロダクト一個一個を作っていくというよりは、そうしたプロダクトが空間に綺麗に組み込まれ、ユーザーの使い方によって可変な枠組みを作ろうというのが「Transight」なのです。つまり、"プラットフォーム"を作るわけですから、一番汎用的な形でなければならない。そこに組み込まれるアプリケーションを作られるパートナー、サードパーティーも含めて、一番使いやすい形状、そして組み換え易さや、安全性を考慮して開発してきました。
嶋田:
開発を開始してから、ちょうど三年になります。以前は親会社である大和ハウス工業の機能会社的な面が大きな会社だったのですが、島社長のトップメッセージにより、「セルフリニューアル」、つまり「脱皮」というキーワードの元、ブランドの再構築を行うべく、2014年10月にダイワラクダ工業から現在の「デザインアーク」に社名変更しました。ブランドを再構築するにあたって、イノベーションを起こしていく象徴的なプロジェクトとして始動したのが「Transight」だったんです。ちょうど"モノからコトへ"価値観の移り変わりが取り上げられ、オープンイノベーションも盛り上がっていたところでしたので、関係の近かったamadanaさんと手を組んでプロジェクトを進めることになりました。

■"作りながら・伝えながら・売りながら"ビジネスを開発して、ユーザーニーズを掴む

モノづくりにはマーケティングやブランドコミュニケーションが不可欠である。もともと広告業界に身を置き、統合的なブランドコミュニケーションの戦略立案を行なっていた田淵氏。"コトづくり"が変化を迫るのはモノづくりだけではなく、広告やマーケティングも例外ではないのだという。

田淵:
これまでは出来上がったモノを、売るために伝えるのが広告でした。ただ、現在は広告会社が司っている機能の範疇だけではどうしようもない部分が出てきていると思います。今回のプログラムのチャレンジは一番最初に広告を作ってしまうという発想なんです。「Transight」はフレーム(枠組み)でしかないんですね。そこに組み込まれていくアプリケーションや活用方法みたいなところの妙で価値が決まっていくわけです。例えるなら、ハードとしてのスマートフォンがある状態。そこにどんなゲームアプリやSNSをインストールするのか。ユーザーが自由にアプリをインストールすることによって価値がもたらされますよね。「Transight」はまさにその枠組みの段階なんです。

日々ユーザーのニーズや周辺環境が激変している中で、広告をする順番を入れ替えたというのである。すなわち、伝わってからモノを作るという転換だ。こうしたコンセプトは「作りながら・伝えながら・売りながら」という3つの"ながら"をグルグル回しながら、モノづくりとコミュニケーションのバランスを取るamidusのテーマそのものなのだとか。

田淵:
MAKERSの文脈も含めて作り手側に時代のフォーカスが移ってきています。「これ欲しんだけど」って言われたときにはまだないんですけど、欲しいって言われたモノを「じゃあ作ります」という順番にしてみる。技術や知恵を結集すれば作れるであろうという前提の元で、伝えるところからやってみようというのが今回の着想ですね。
嶋田:
我々はこれまでも出来上がったモノを販売するというパターンが多かったので、「Transight」にしても競合との比較で考えてしまいがちなんですね。クリエイターの方々のクリエイティビティを生かしていただくことで、新たな発想から化学反応が起こることを期待しています。

「Transight」をはじめデザインアークの今後のチャレンジについては、SENSORSも取材予定の今月22日に行われる事業戦略発表会で明らかになる。翌日には「Transight」を活用し、新たな体験を提供できる空間の再定義を行うアイディアソン「Business Design Program」が開催される。住宅・オフィス・店舗、私たちが日々生活を行う空間が「Transight」によってどのような変化がもたらされるのか。アウトプットが楽しみだ。

取材・文:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。『SENSORS』や『WIRED.jp』などで編集者/ライター。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。東京大学大学院学際情報学府にてメディア論を研究。最近は「人工知能」にアンテナを張っています。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh


写真:延原優樹

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