FabCafe創設者 福田敏也が語る、デジタルファブリケーションの未来

2016.08.15 17:30

デジタルファブリケーション(Fab)。
レーザーカッター、3Dプリンター、CNCマシンなどで始まった、デジタル技術によるものづくりの改革のムーブメントが世界中に広がり、FabLabやFabCafeといった施設も生まれ、ものづくりの世界を大きく拡大している。

「YouFab Global Creative Award」は、そのデジタルファブリケーション領域の作品を評価するグローバルアワードとして、今年で5回目を迎える。FabCafe創設者の一人でもあり、YouFabではチェアマンを務める福田敏也氏に、「YouFab」と「Fab」の社会的な意義、これからのデジタル技術が実現する世界について話を伺った。

8/15(月)開催中の 「SENSORS FASHIONCODE WEEK」では、
8/19(金)19:00〜「ファッション x バイオ 拡大するFABとバイオがもたらすファッションの未来。」にてデジタルファブリケーションを深掘りする。

toshiya.jpg

デジタルファブリケーションの最先端を追う福田敏也氏が、これからのデジタル技術が実現する世界を語った

福田氏は、広告のコピー・CM設計のクリエーターを出発点としながら、表現のデジタル化にいち早く進出し、海外で高く評価される仕事を多数生み出してきた。

カンヌ・NYADC・D&ADなどの著名なアワードでは多数受賞しているだけでなく審査員としての実績も豊富に持つ。2004年からは大学教育にも積極参加し現在は大阪芸術大学デザイン学科でデジタルデザインを教えている。

--今年で5回目となるYouFabですが、このアワードの目的は何ですか?

福田:
「Fab」という領域の市場活性とクリエイティブレベルの向上、人材発掘&育成がその活動の基本目的です。
今年の活動からは、デジタルファブリケーションを「デジタルとフィジカルを横断し、結合するもの」と再定義して、暮らしや芸術、産業のあらゆる側面に変革をもたらす装置としてのFabを見ていこうとしています。そうした位置づけや意味の変化を世に伝えていくこともアワードの役割だと感じてます。

--なぜ福田さんはこのアワードに関わり続けているのでしょうか?

福田:
「戦略と表現」「考えることと形にすること」「ビットとアトム」「データとモノ」「サイエンスとクリエイティブ」「理系と文系」「デジタル思考とアナログ体験」「アナログ思考とデジタル体験」。

領域またぎを楽しんできた自分にとって、次の「またぎ」「横断」のキーにこのファブ領域があると感じ続けているからです。
その前線を見続けること、考え続けることが、自分の次の進化を支えてくれると思っているからです。

--過去のアワードを通して、印象的だった作品やクリエイターはありますか?

福田:
2012年に優秀賞を受賞した、建築家の大野友資さんの「360°Book」でしょうか。
この新しい本の形は、レーザーカッターというFabマシンだからできる正確なカッティングと、二次元から三次元を立ち上げる斬新なアイデア、そして優しく繊細なデザインが結びついています。建築概念とデザイン概念の境界線。
3D思考と2D思考の境界線。デジタルとアナログの境界線。構造設計とディテール設計の境界線。いろんな境界線をわかりやすいアウトプットで飛び越えていたところが驚きであり、多くの刺激をもらいました。

FabCafeのブランドブックプロジェクトをやらせてもらうなど、受賞後のコラボ活動の最初の例になったことも、印象深い理由です。
FabCafe Brand Book
福田:
また、昨年のファイナリストの後藤映則さんの「toki-」は、現代ならではのテクノロジーが組み合わさることで生まれたメディア・インスタレーションを実現しています。
動きの時間軸を3次元で繋げて3Dプリントで実体化し、光を当てることで時の移ろいを視覚化させていますが、「デジタルとフィジカルを横断し、結合する創造性」を体現している作品と言えるのではないでしょうか。
toki- Process & WALK_short ver.

--今年のアワードはどう盛り上げていきたいですか?どんな作品を期待していますか?

福田:
人工知能、機械学習、Deep Learning、バイオテクノロジー、遺伝子組換え技術、ジェネレーティブデザイン...。
コンピューターの進化が及ぼす新たな変化の大波を感じます。そうしたデジタル側の大波を自由な頭と思考で物体や作品に変換・落とし込みをする作品がたくさん集まってきたらいい。

それがアートとかデザインの範疇にあるかどうか、どうでもよくて。今年のYouFab 2016のテーマは、「デジタルとフィジカルを横断し、結合する創造性=Fab(ファブ)」としています。未来を変える新たなアイデアや作品をお待ちしています。
youfabkickoff.jpg

昨年のファイナリスト、後藤さんと深地さんとクロストーク。YouFab Kick Off Partyにて

--ありがとうございました!

デジタル工作機械を用いてつくられた新時代のものづくりを評価するグローバルアワードとして発展してきた。
2015年度は26カ国から合計152作品が集まり、過去の受賞作品は、海外でも話題となり製品化が実現したり、国際芸術祭の作品に選ばれたりするなど、新しいテクノロジーとクリエイティブに挑戦するクリエイターを世界に輩出してきた。

■お知らせ
5回目となる今年はFab(ファブ)の定義を「デジタルとフィジカルを横断し、結合する創造性」とし、デジタルとフィジカルなものづくりの高度な連携によって生まれるクリエーションを募集。
募集対象は、プロダクト、アート、建築、活動などのプロジェクトまで、デジタルとフィジカルの双方を利用したものづくり。募集期間は8月1日~10月31日まで。我こそはというクリエイターはぜひ応募して欲しい。

ライター:石川真弓

ロフトワークの広報・プランナー。ロフトワークとFabCafeの広報業務のほか、社内外のコミュニケーション戦略のプランニングと実施、コラボレーション企画などを行う。
個人ブログを続けて13年、週4社員の本業の傍ら、ギズモード・ジャパンなどのWebメディアのライターを務める。著書に「HDR写真 魔法のかけ方レシピ」(技術評論社)。
uramayu.com

最新記事