渋谷にできたコミュニティ『dots.』は"モノ言う"エンジニアの楽園

2015.09.28 09:30

渋谷に新しくできたエンジニアの快適空間「dots.」(ドッツ)。誕生の裏にあるエンジニアへの愛と、エンジニア・コミュニティの可能性を取材。これからの時代に求められる「エンジニア像」とは...。

渋谷公園前通りに新しく開設したイベント&コミュニティスペース「dots.」(dots.)。ここは働くエンジニア達にはこの上ない環境が整っているのだ。

身体にフィットするソファ

横になりながら作業できるソファ

入口を抜けると200名は収容できるという開放感のある空間が広がり、木を基調としたインテリア達が落ち着きを演出している。バーカウンター式の机が充実しておりスタンディングで作業することができ、靴を脱いで横になりながら作業ができるスペースや、深く腰をかけることができるソファも数多く設置されている。

日中はコ・ワーキングスペースとして利用可能で、夜や休日にはエンジニア向けの勉強会が頻繁に開催される。dots.は快適な仕事環境と学習機会、そして発信機会を与えてくれるスペースだ。

IT勉強会・セミナーなどのイベント情報検索サービス「dots.」(http://eventdots.jp/ )

dots.は本来WEB上の「エンジニア向けの勉強会・セミナーの検索サービス」で、このスペースはそこから派生したもの。渋谷の超一等地にリアルスペースを開設するまでには、仕掛け人の純粋な「エンジニア愛」があったのだ。

■エンジニアという職業の凄さをもっと理解して欲しい

コミュニティマネジャー小沢さん(左)、プロデューサー鳴釜さん(右)

スペース開設を牽引したのが鳴釜 優子(なるかま ゆうこ)さん。今回は鳴釜さんと二人三脚でスペースの運営にあたるdots.のコミュニティマネジャーを務める小沢さんに開設の経緯を訪ねた。小沢さんは、インテリジェンスに入社後、約7年間キャリアコンサルタントを務め、これまでに2000人を超えるエンジニアと出会ってきた。

小沢:
社会人になる前、私はパソコンすら満足に使うことができない学生だったんです。そんな私の入社後の配属がエンジニアのキャリア支援をする部署でした。当初は、全くのとんちんかんで、彼らの使っている言葉の意味すらよく理解できませんでした...。でも、エンジニアの人たちの話を聞けば聞くほど、すごいことをやってると気づくようになったんです。毎日膨大な量の知識や技術をインプットして、それを自分の中で定着させて、一般の人にでも理解できる形・プロダクトにして世の中に発信していく。そのプロセスってすごいことじゃないですか。エンジニアの人たちはその仕事を黙々とやっているんです。もっともっとエンジニアが自分で発信できて、輝くことができる場所をつくりたかった!

dots.のイベント&コミュニティスペースには「意欲の高いエンジニアを全力で応援したい」「エンジニアの自己発信の場をつくりたい」という気持ちのもと成り立っているのだ。エンジニアのことをもっと理解するために実行した小沢さんのプログラミング学習経験がさらにその気持ちを加速させたようだ。

小沢:
私も以前プログラミングをやってみよう!と思ったことがあったんですが、2度位挫折しました(笑)でもやっぱりエンジニアと同じレベルで会話したいとか、自分でも何か作れるようになりたいと思って、今年6月にプログラミング教室に通いました。でも、あまりの難しさになかなかうまくいかなくて。その実体験があって、もっとエンジニアを支援するような仕組みがあるべきだと思ったんです。わからないことをお互いに教えあう、できないことができるようになる、仲間が探せる。dots.はそんなストイックなコミュニティにしていきたいです。

■エンジニアは最もコミュニケーションを取りやすい人たち

dots.の「d」ポーズをとる小沢さん

エンジニアのためのコミュニティを運営するコツを訪ねてみた。世間一般で思われがちな「エンジニア」のイメージ、職人気質で口下手...。小沢さんはそんなことはまったく無いと言う。

小沢:
私は、エンジニアと話すのが大好きなんです。彼らはとてもコミュニケーションがとりやすい。良いものは良い、悪いものを悪いとはっきり言う。ニュアンスが伝わらない時も、はっきりと指摘してくれるし、嬉しいときはワクワクしている表情に変わる。裏表が無くて、コミュニケーションがすごくとりやすいです。

言いたいことを直接ぶつけるコミュニケーションに慣れていることが、コミュニティマネジャーに求められる一つの資質なのだろう。また、小沢さんは以前、将来はもっと気軽にエンジニアがキャリアや技術の悩みを相談できる小料理屋を営みたい、とも思っていたという。ストイックでありながらも、カジュアルな雰囲気を持つコミュニティをつくっていきたいとも意気込む。

小沢さんは料理がとても好きだという

小沢:
私は将来「キャリア相談ができる小料理屋」みたいなのも自分でやりたいなって思っていたんです。カジュアルな雰囲気の方が本音で語り合える場がもっと増えたらいい。dots.でも、「CTOリレーランチ会」という企画をやっていて、CTOがCTO紹介をして、その人を囲む形でランチをする会を定期的に開催しています。今後も交流を目的にしたイベントを開催する予定です。渋谷で何千円も払って飲み会するくらいなら「dots.で飲む」。そのほうが仲間もできるし、知識も吸収できる。そんな場所にしていきたいです。

■技術革新のため情報発信する「もの言うエンジニア」が主流に

dots.に集うエンジニアは目立ちたがりで、喋るのが大好きだという。そんなお話を聞いていると、もう室内に閉じこもってPCの前でひたすらコーディングをするというようなエンジニアのイメージは前時代的で、捨てるべきだと思う。自分の価値を世の中に発信しよう。自分のやっていること、考えていることをもっと多くの人に知ってもらおう。そうした「もの言う」エンジニアが必要なのだ。

未公開で時価総額1000億円を超えるようなユニコーン企業の創業メンバーを見ていると、エンジニアが中心のメンバー構成となっている。かたや日本のスタートアップを見ていると、どの企業もエンジニアの採用に頭を悩ませており、事業の成長角度は優秀なエンジニアの採用戦略に依存する部分がある。

優秀なエンジニアは、優秀なエンジニアを呼び寄せる。dots.はエンジニアが自己発信できる場だ。自ら発信し、仲間を集め、新しいコトを起こす。情報交換だけではない、創造的なコミュニティとして機能していくことを期待したい。

取材:石塚たけろう

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、EIR(=客員起業家)として複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi

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