日本初上陸「ドローン・インパクト・チャレンジ」で見た、最高時速100キロの興奮

2015.11.24 09:15

今月7日、日本初上陸のその名も「ドローン・インパクト・チャレンジ」という、FPVドローンレース(FPV:First Person View=一人称視点)が開催された。開催地は千葉県郊外で、総勢61名ものパイロットが互いの操縦技術を競った。SENSORSはこのレースの模様に密着した。

ドローン・インパクト・チャレンジ会場

「ドローン・インパクト・チャレンジ」は、一般のドローン・ユーザーが自由参加できるイベントだ。初心者でもレースの興奮を体験することができるよう、大会は、入門カテゴリーの「レギュラークラス」と「マスタークラス」に分かれている。開催三日前にはじめて外でドローンを飛ばした参加者や、ドローンに触れたことがないという方も居た。

◼︎レギュラークラス:カスタマイズされた個性溢れるドローン

「レギュラークラス」では、市販されているドローンでレースに参加することができる。3Dプリンタや木材を活用し、手作りのドローンを持ち込んだ参加者をはじめ、使われた機体も様々だ。

レースに参加のドローン

画像左上のドローンは、機体の骨組みであるフレームが全て木材で造られているという。機体の強度と、飛ばした際の速度を考慮し、硬い木材と柔軟な木材をバランス良く取り入れているそうだ。
一方で、タブレットで操作ができる機体も。タブレットの傾きとドローンの動きが連動するため、初心者でも操縦しやすいのがポイントだ。
SENSORSレッド・畑下由佳アナウンサーも、ドローン操縦を体験。


畑下:
複雑な操作が必要だと思っていましたが、思ったよりも操作が簡単でした。ドローンの楽しみ方を感じた気がします!

ドローン操縦後の畑下アナ

レギュラークラスでは、ドローン操縦がはじめてだという参加者も、存分にレースの魅力に没頭していた。レース本番では、数多くの機体が縦横無尽に飛び回り、迫力満点だ。「競っている!競っている!」と、実況中継がレースを盛り上げ、会場はさらなる興奮に包まれた。

◼︎マスタークラス:リタイア続出!難関コースを競うサバイバルレース

初心者が様々な機体で参加した「レギュラークラス」に対し、卓越したパイロットたちが競い合った「マスタークラス」。26名の参加者が予選レースを競い、勝ち残った3名が決勝へ進む。
マスタークラスでは、F1のように機体の性能に規定が設けられているため、より高度な操縦テクニックが求められる。レギュラークラスのような自由度は無いが、マスタークラスにおいても規定内でドローンを独自に改良することが可能だ。機体フレームの素材や操作性、スピード性能を調整し、サバイバルレースに挑む。参加者は、「直線の速さとカーブの曲がりやすさを重視したフレームを使っています。スムーズに曲がれないと相手にコーナーで抜かされてしまう」と語る。

「マスタークラス」コース

争うのは、難易度の高い全長1.5キロのコースだ。地面の目印に従いコースを走行していくが、林の中をくぐり抜けるポイントも設置されており、上級者にとってもかなりの難関だという。木や障害物に囲まれているコースでは、わずかな操作ミスで激突し、墜落してしまう。機体の強度や加速の速さ、空中浮遊時の安定性、パイロットの技術力など、様々な要素が求められる。

◼ドローン×︎ヘッドマウントディスプレイの没入感

ドローンのフレームにはカメラが取り付けられ、パイロットはその映像を頼りに操縦することができる。これはFPV(First Person View=一人称視点)のドローン・レースと言われている。参加者の多くは、ヘッドマウントディスプレイを装着し、機体をコントロールしていた。

「マスタークラス」参加パイロット達

映像を受信しながら操縦する「FPV」という方式は、世界的なブームだと言われている。日本では、レース開催に電波利用の申請などが必要で、これまで大きな大会が開かれていなかった。ヘッドマウントディスプレイで見る最高時速100キロの飛行映像は、没入感に溢れている。ドローンが木に追突する寸前などは、映像だとわかっていても思わず体が避けてしまうという。まさに、機体に乗り移ったような視点から、操縦することができるのだ。

飛行中のドローンからの映像

「マスタークラス」決勝は、森の中の難関ルートを3周するコースだ。予選を勝ち抜いた3名のパイロットによる熾烈な争いが繰り広げられた。レース序盤から、2機による激しい競り合い。しかし1周目にして先頭機がクラッシュし、トップが入れ替わる展開に。会場にはプロペラ音が響き渡り、観覧席も多いに盛り上がる結果となった。

様々な規制を乗り越えて、日本で開催された「ドローン・インパクト・チャレンジ」。主催者は、「もっと多くの若い人がドローン・レースに興味を持ち、科学技術の発展に携わってほしい。これは遊びの世界ではあるが、その延長に産業としてのドローンや、科学技術の発展があると思う。」と語る。日本初のドローン・レース開催には、未来への想いがあったのだ。

当初は、軍事利用目的で開発されていた小型無人航空機「ドローン」。テクノロジーの進化が生んだ新たなプロダクトは、人間の「楽しみたい」という想いによって、エンターテインメントに磨き上げられる。事実、機体や操作に工夫を重ねる参加者の自由な発想には驚きだ。ドローン・レースが世界のスタンダードになる日を心待ちにしたい。

文:神田ゆうき

1993年生まれ、フリーライター。早稲田大学国際教養学部在籍。Twitter:@93yu_ki

最新記事