2016.08.18 12:30
Suchmos、篠崎愛などSENSORSでも取り上げた新進気鋭の音楽アーティストのMVを担っている映像作家がいることをご存知だろうか。弱冠24歳の映像作家dutch_tokyoこと山田健人氏は、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの人気アーティストSuchmosが結成間もない頃から彼らのMVやwebサイトなどを手がけてきた。自身もyahyelというバンドでライブパフォーマンスにおける映像を担当し、先日高橋幸宏が率いるMETAFIVEと共演、7月22日から行われたFUJI ROCK FESTIVAL '16にも出演した。知る人ぞ知る若手映像作家へのインタビューから、少しずつ盛り上がりを見せる東京の若手アーティストたちの表現に対する共通の考え方が見えてきた。
20代前半の東京を中心に活動する若手アーティストたちの中で、絶大の信頼を置かれている映像作家である山田氏は、現在慶應義塾大学メディアデザイン研究科に通い、デザイン思考を学ぶ大学院生でもある。学部生のころは大学の体育会に所属し、その中でももっとも厳しいと言われるアメフト部のスタッフとして活動する傍ら、映像という表現手段にのめり込んでいったという。
dutch_tokyoこと山田健人氏
自身が所属する"国境なき音楽集団"yahyelのライブパフォーマンスでは映像担当としてステージに上がる。
VJとして繰り出す映像によって従来の音楽ライブの常識を超えた体験を生み出す試みを行っている。
彼らのライブは必見だ。
Photo by Shun Komiyama
いまでは「マインドフルネス」として広く知られるようになった思考方法として、いまこの瞬間に意識を集中し、自分を客観的に見つめることで次に進むべき道とその手立てを導き出すものがある。
禅の思想にヒントを得たこの思考方法は、身の危険を顧みず大技に挑戦するスケートボーダーのスタンスに通底するものがあり、山田氏自身もそういった思想から影響を受けているというように語っていた。
スマホゲームやSNSの普及、常時つながり「いま、ここ」ではないどこかへと逃避する手段が日常のそこかしこで選択できるようになった現代において、自分の置かれている状況を見つめ「いまを生きる」ことを追究し続けるアーティストたちがいるということ。そしてそういった姿勢が同世代の若者の強い憧れを生み、多くの人に求められることとなっているのかもしれない。
1995年生まれ。フリーライター。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系在籍。専らの興味は「メディアテクノロジーの進歩による人間の認知の更新」。SENSORSでは「VR」「ドローン」の記事を担当。
Twitter @do_do_tom