『人工知能ができないことを把握する』ドワンゴが人工知能研究所を設立したワケ ~川上量生氏インタビュー #3/3

2015.01.13 10:21

ドワンゴは「全脳アーキテクチャ」という研究アプローチを軸として人工知能の研究を行う組織を設立した。所長を務めるのは山川宏氏であるが、今回のインタビューでは川上量生氏の視点から人工知能研究所設立の狙いを語っていただいた。そこには長期的な構想が存在していた。


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研究所のWEBサイト

■電王戦が見せた人工知能の凄まじい進化

-- なぜドワンゴが人工知能を?

川上: プロの将棋棋士とコンピューター将棋ソフトが対戦を行う「将棋電王戦」をニコニコ動画で配信していたことがきっかけです。

川上: 僕は将棋のプログラムは人工知能の発展に関係ないと思っていました。かつての将棋ソフトは、定石や大量の棋譜を覚えさせるなどして、人間の思考をコピーしようと試みていました。ところが、最近の将棋ソフトはどういう理屈で動いているのか人間にもわからないようになっているんです。

川上: ディープラーニングという技術の導入で、人間が考えることを覚えさせるのではなくて、コンピューターが勝手に「学習」をするようになっています。だからコンピューターが何を考えているのかがわからない。人工知能との対比で人間を語る際に「直感」の存在が人間の特徴として指摘されることがありますが、「直感」がどいうものかは既に解明されていて、今の将棋ソフトは人間の直感を再現しているんだなと思いました。人工知能の技術の進化はすさまじく、相当使えるものになっている。何か手をつけなくてはと。


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インタビューアーの及川紀子(左)と川上氏(右)

■人工知能ができないことを把握する

-- 具体的にはどんな研究を行うのですか?

川上: GoogleやMITなどは人工知能の分野に莫大な資金を投じていますが、彼らと同じところを目指すわけではありません。電王戦のように、エンターテインメントの分野で人工知能が活用できるアイデアはたくさんあるはずなので、面白いサービスの研究開発に力を入れたいと思っています。

川上: もう一つは、「人工知能にできないことを把握する」ということです。将来、人工知能が一般化してきてコンピューターにいろいろな仕事が奪われるようになる。その時に、残る仕事は何か。人工知能が不得意な分野を見つけるためには、人工知能のことを理解できていなくてはいけません。僕らが生き残るためには必要なことです。

(SENSORS編集部 文:石塚たけろう)

石塚たけろう:

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、現在は広告会社にてスタートアップと大企業の共同事業開発モデルであるコーポレート・アクセラレーターの運営に携わる。Webディレクター。早稲田大学在学中。

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