筋力の強弱で物体を動かせるデバイス「eForce」 【SENSORS WONDER】

2015.12.16 15:00

今は、まだ誰にも理解されないものかもしれない。しかし、それが時に世界を動かす大きな発明になるかもしれない...そんな思いの元、学生・企業・研究者達による「不思議な」プロダクトを紹介するコーナー「SENSORS WONDER」。OAではミニコーナーなのだが、そこで紹介するプロダクトの開発の裏には、様々なストーリーが存在する。OAで紹介しきれなかったこのストーリーをsensors.jpでも公開していく。

今回紹介するのは、筋力で物体をコントロールできるデバイス「eForce」。筋肉を動かすと、脳から送られる電気信号をセンサが計測。そのデータをBluetoothで送信することで様々な操作が可能になる。例えばデータをライトセーバーに応用すると、力を入れると光り・力を抜くと消える、ラジコンに応用にすると、力の強弱でスピードをコントロールしてレースが出来たり。
この「eForce」を開発したU-makers 廣瀬旬哉さんに、開発秘話を伺った。

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■幼かった頃に漫画やアニメなどで憧れた世界を、現実に表現したい

--「eForce」を製作するに至ったきっかけは何でしょうか?

廣瀬:
近年のテクノロジーの進化に対して、おもちゃという点に注目したときにあまり進化が見られないなと感じたのが「eForce」製作のきっかけです。新しい技術でおもちゃというものを進化させたい、世界をもっと楽しい物にしたいという想いで製作を進めてきました。また、自分たちが幼かった頃に漫画やアニメなどで憧れた"夢の様な世界"を、現実に表現したいという想いも、このデバイスをつくる上での大きなモチベーションになっています。

--「eForce」のネーミングの由来は何でしょうか。 特に、e にはどんな意味があるのでしょうか。

廣瀬:
eForce の e は extended, enhanced という意味が込められています。力を拡張することで、今まで出来なかった人の力による物体のコントロールや力を使った新たな表現というものを可能にしました。また、同時に力を魔法のように強化することで、誰もが一度は憧れたであろう漫画や映画の世界で表現される特殊な能力の再現・具現化を目指しました。

--デバイスの仕組みはどのようになっているのでしょうか?

廣瀬:
本デバイスでは、電極を用いることで装着者の体に流れる筋電位を計測しています。筋電とは体の中に流れる微弱な電流のことで、筋肉を動かすときに脳から出される電気信号です。その信号値が強いほど多くの筋肉を動かし、多くの力を生み出すことが可能です。そして、この筋電を計測することで装着者がどれほど力を入れているのか認識することができます。
ここで得られた筋電位値は非常に小さいため、増幅回路を通じて読み取れる形に増幅します。そして、その値をマイクロコントローラ(マイコン)に入力し、実際にデバイスへと送られる信号へと変換しています。ここで送られてきた値がマイコンを通じて、それぞれの外部デバイスに合わせた指令へと変換されます(ライトセーバーであれば「この値を超えている状態の時はライトセーバーを起動させた状態で維持する」、ミニ四駆であれば「値の大きさに応じてモーターの出力を変更する」というようなもの)。

--デバイスは、腕だけでなく他の部位に取り付けても同じように動かすことは出来るのでしょうか。身体全体を使った遊びも考え得るのでしょうか?

廣瀬:
可能です。デバイスは装着した部分の筋電を計測し他のデバイスへと応用しているので、腕に装着すれば腕の、足に装着すれば足の力を使った表現を行うことができます。複数のデバイスを利用することで、身体全体を使った遊びを行うことも可能です。ただ、取得している信号は筋肉を流れるものなので、筋肉量の少ない部位では信号の取得が難しい場合もあります。

--このデバイスを通した将来の展望などがあれば、是非お聞かせ頂けますか?

廣瀬:
「eForce」はおもちゃを進化させるという目的で製作したデバイスであり、将来的にはおもちゃのプラットフォームとしての利用を目指しています。そのような理由から、「eForce」自体の構成は可能な限りシンプルに、外部デバイスを増やしていくことで遊び方をどんどん追加していけるような構成にしています。「eForce」が世界中の子ども達に行き渡り、我々が子どもの頃に憧れた夢の様な技術を誰にでも楽しんでもらえるような時代になると良いなと考えています。
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■SENSORS ディレクター兼アシスタントプロデューサー・岡田麻里奈の視点

自分の体内に潜む『力』を使ってあそぶ。
自分の『力』で物をコントロールできるなんて魔法使いになったようでワクワクします。腕以外の部位にも取り付け可能ということは、例えば足につけるとしたらどのような遊びになるのか、可能性は無限大ですね。
自分のちょっとした力加減で重機とかを操縦出来たりするようになるんでしょうか?将来は誰でも魔法使いのようになれる?
その「eForce」を通して伝わる力は、何の為に使われるんでしょうか?想像するだけで、可能性が広がりますね。

企画:岡田麻里奈

SENSORS ディレクター兼アシスタントプロデューサー。日本大学芸術学部 放送学科 テレビ制作専攻卒。大学時代は映像を作り続ける傍ら塾講師としての経験も。「ZIP!」や各種特番の担当を経て現在に至る。「あなたの熱い想いを皆様へ」をモットーに、取材ではしつこいくらい...いや、仲良くなれてしまうくらい、真意に迫ります。

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