四国の大学生が貸切バスでベンチャー巡り『四国フューチャーバス』

2015.09.22 19:30

四国・主に愛媛在住の大学生が貸切バスで東京の人気ベンチャーを巡る「四国フューチャーバス」に潜入。自分たちの同年代が活躍する姿、新しいビジネスの可能性を垣間見て、彼らが抱える「ベンチャー企業」のイメージは変わっていく...。

参加者とバスの前で

四国・主に愛媛在住の大学生がバスを貸し切って東京の人気ベンチャーを訪問する「四国フューチャーバス」は愛媛大学と松山大学の学生を中心に約15名の学生が参加。1つの会社に約1時間の滞在で、人気ベンチャー企業5社を訪問。人事や役員からの会社紹介や、キャリアに関する質疑応答、ディスカッションを行う。SENSORSはその企画に密着同行した。

■丸ビル前に9時集合 バスに乗り込みいざ出発!

意気揚々とバスに乗り込む

一人で参加する人が多く、ほぼ初対面同士

参加者たちは東京駅すぐの丸ビル前に朝9時に集合。飛行機以外にも夜行バスで松山から参加する人も。バスに乗り込み、一人一人が自己紹介。学年はバラバラ。新しいビジネスを学びたい、就職活動の参考にしたいという目的で参加している人が多いようだ。中には東京観光をするついでに、という声も...。

■レジャー予約サイト「アソビュー」同年代の営業マネジャーとの出会い

エントランスで全員で記念撮影

参加者のテンションは早くも最高潮の中(後から疲れがどっと...)、1社目に向かったのは神宮前の拠点を構える「アソビュー株式会社」。人気レジャーや、遊びプランを予約できるサービスを展開している。

秋山さんの話を真剣に聞く

参加学生にプレゼンテーションを行ったのは営業マネジャーの秋山宇泰(あきやま うて)さん。秋山さんはアソビューに創業期から参画し、慶應大学の現役大学生でありながら、営業部門をマネジメントする立場にある。アソビュー社は既に100名近い従業員を抱える規模の会社。自分の年齢とほとんど変わらない人がこんなにも活躍している姿に驚く声を聞く。秋山さんからは、学生だった自分がアソビューに参画した経緯、アソビューの目指すものとして「遊びのプラン」だけで余暇体験の過ごし方の提案をしていくこと、地域に経済の活性化まで話が及んだ。

■大型ベンチャー「Retty」への訪問、「転職」のイメージ変動

次に訪問したベンチャー企業は、実名制のグルメサービスを展開するRetty株式会社。今年3月に10億円の調達を発表し、オフィスも高輪の住友不動産ビルに移転。今回訪問するベンチャー企業の中では最大の規模を誇る。

学生に対してプレゼンテーションを行うのは、CFOの奥田健太(おくだ けんた)さんと人事担当の柳川 裕美(やながわ ひろみ)さん。奥田さんは三菱商事からRettyへ参画、柳川さんもリクルートなどを経て8月からRettyに参画した経緯を持つ。そんな二人の経歴に参加学生たちは反応した。一つの会社に長く勤めることが当たり前だど考えていた。やりたいことを実現するため、つくりたい世界をつくるため、「積極的に転職をする」という考え方がとても新鮮だったようだ。

■地域リソース最大化するクラウドソーシング!「ランサーズ」への訪問

クラウドソーシングを解説する内藤さん

3社目に訪問したのがクラウドソーシング事業を展開するランサーズ株式会社。子育てをしながらの在宅勤務を可能にしたり、地域の雇用を創出するクラウドソーシングの可能性を人事の内藤侑子(ないとう ゆうこ)さんよりプレゼンテーションされた。

大学進学時に上京せず、地元に残るという選択をした参加学生の地元愛は強い。「クラウドソーシングで仕事ができるのはプログラミングやデザインといったスキルのある人だけで、普通の人は恩恵に預かれないのではないか」そんな鋭い質問も飛びだし、自分たちの地元ひいては地域全体を盛り上げていくためにクラウドソーシングをどう活用するべきか、そんなところにまで議論が及んだ。

■若くして波乱万丈の人生を経た社長!カウモ株式会社

カウモCEO太田さん

4社目に訪問したのが、カウモ株式会社。カウモはファッション、雑貨、グルメ、インテリアなど暮らしに関する情報を扱うキュレーションメディアを運営している。学生アルバイトを中心に30名ほどの従業員を抱える。今回訪問するベンチャー企業の中ではもっとも若い会社だ。

学生にプレゼンテーションを行ったのはカウモCEOの太田和光(おおた わこう)さん。太田さんは早稲田大学に入学して2週間で中退。その後、ヴォラーレやRettyなどで従業経験を積んで、起業するに至った。大学をすぐに辞めたこと。働いていない期間に、お金がなくて食べるものにも困っていたというエピソード。いろんな人との出会いを自分の糧に変えていった経験。自分とほとんど同じ歳の太田さんの波乱に満ちた人生が参加学生の関心を強く惹いたようだ。

■地域×クラウドファンディングを手がける「サーチフィールド」

終盤になっても質問は尽きない

5社目の訪問はハイエナをシンボルマークとして掲げる株式会社サーチフィールド。サーチフィールドは、スマホ向けのイラスト制作を行うだけでなく、地域に特化したクラウドファンディングサービス「FAAVO」を展開している。

参加学生にプレゼンテーションをしたのはキュレーターの田島 実可子(たじま みかこ)さん。学生たちの関心はクラウドファンディングについて。クラウドファンディング自体の仕組みを知っている学生はそこまで多くなく、田島さんが考えるその可能性について、事細かにメモを取る姿が印象的だった。

■「ベンチャー」のイメージが変わった #HiveShibuyaでラップアップ

#HiveShibuyaで今後の抱負を据える

最後の終着点はSkylandVenturesとEastVenturesが渋谷道玄坂に設立したコワーキングスペース「#HiveShibuya」。Skyland Ventures代表の木下 慶彦(きのした よしひこ)さんより、今後の活動のアドバイスと、参加者それぞれが今回の企画の総括を行った。

中でも「ベンチャー企業」のイメージが大きく変わったという。四国でベンチャーといえば、「危ない」「不確実」というイメージだ。もちろんそれはそれで間違いではないのだが、実際に働く人たちとの交流をしてみて、彼らの活動の根底にある「理念」の重要性を感じたという声を多く聞くことができた。ベンチャーに対するイメージ、職業観が大きく変わった1日となったようだ。

■「四国にイノベーションの生態系をつくる」若き経営者の挑戦

「四国フューチャーバス」の開催は今年で2回目。この企画が生まれた背景には一人の若き起業家の情熱がある。ルシオル株式会社CEOの武田知大さんは「四国・愛媛県に10年間で100社を生み出す」を目標に同社を2013年に設立した。以来、愛媛県を中心に、四国でイノベーションが生まれるエコシステムを構築する活動を行っている。

武田知大さん

武田さんの「四国経済への危機意識」を強めたのは、彼が在学している愛媛大学を1年休学して、東京の最新事情を学ぶため、上京して監査法人トーマツの社内ベンチャー「トーマツベンチャーサポート」でのインターンシップの経験。日々多くの起業家や新しいビジネスと出会ううちに、四国とのギャップを余計に感じるようになった。「四国フューチャーバス」の実施の目的を彼はこう語る。

武田:
四国で新規事業をつくるといっても、最新の情報を持っている人や、スタートアップやテクノロジーの潮流を抑えている人が東京と比べて圧倒的に少ないんです。「四国フューチャーバス」では、参加者に起業をすることは求めていません。新しい情報に触れて欲しい。本物のベンチャー企業、スタートアップの熱量に触れてほしい。そして、四国に帰った後に起業とまではいかなくても、面白いこと、価値のあることを実行して欲しいんです。

武田さんの壮大な構想はすぐに結果が出るものではない。5年、10年といった長期的視野で捉え、今できること、小さな種をまくことから始めなければならない。「四国フューチャーバス」の参加がきっかで起きた学生たちの変化はすぐには目に見えないかもしれないが、そう遠くない将来で開花することを大いに期待したい。

取材:石塚たけろう

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、EIR(=客員起業家)として複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi

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