ガジェット界の一大祭典「Engadget 例大祭」が盛り上がる理由

2015.06.10 11:00

去る5月30日、アーツ千代田 3331にて行われたガジェットの祭典「Engadget 例大祭」。3度目の実施となる今回は事前に入場規制の可能性もアナウンスされるなど大盛況となった。なぜこれほどの盛り上がりを見せたか、登壇者や関係者にお話を伺いながら、このイベントの人気やガジェット界の広がりぶりを探ってみた。

■3度目の実施。多彩なコンテンツ

この「Engadget 例大祭」は、その名の通り、ガジェット系WEBメディア「Engadget 日本版」によるイベントで、秋葉原近くの閉校した中学校を改修し生まれた文化複合施設「アーツ千代田 3331」にて行われ、今回は3度目の開催。

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会場では様々なガジェットが体験出来るブースはもちろん、「夏の超ベストバイ 買って良かった! コレ欲しい!トーク」「モバイルトーク:SIMロック解除義務化問題、 スマートウォッチ 討論会」など幅広いテーマを扱うトークセッション、最先端の実験的ゲームが体験出来るゲーム大会、アイドルをつくるアイドルグループ PIP(Platonics Idol Platform)やガールズダンス&ボーカルユニット「Prizmmy☆」のライブ、ウェアラブルファッションショー、マルチコプタータイプのドローンを使った「全日本クアッドコプター 選手権」、ムーヴバンド2などのウェアラブル機器を活用した「ウェアラブル運動会」などと、本当に多彩だ。

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ドローンを使った選手権は屋上で

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トークセッションは立ち見が出るほどの盛り上がり

■なぜリアルイベントを立ち上げたのか

いわば、ここに一日いればガジェット界のトレンドに全て触れることが出来るイベントといえる。3度目の実施にして、最大級の規模で実施されることとなった「Engadget 例大祭」。WEBメディアでありながらリアルイベントを実施する理由とはどのようなものだろうか。Engadget 日本版 編集長・鷹木創さんに聞いてみた。

鷹木:
今は、WEBを見たらある程度情報が分かる時代ですよね。ただ、ガジェットについては「それって本当かな?」と思っています。例えば「Apple Watchをつけたらどんな感覚なんだろう」と、実際に触れてみて初めて分かるじゃないですか。IoT時代やウェアラブル時代になると、単なるスペック情報だけでは足りなくなる一方、写真や動画などのリッチメディアで見せていくことが重要です。さらに、その延長線上にそのものに実際に触れて体験出来るイベントもあるといいなという点がきっかけです。 もう一つは、WEBメディアは無料で気軽に読める分、その記事だけを見て満足するような一見さんも多かったりします。ところがリアルイベントは一日いるとヘトヘトになるわけです(笑)。そういう疲れも含めて一緒に負担してくれて、一緒に同じ「ガジェットが好き」という気持ちになれる。そんな場所が出来たら良いなという思いです。
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Engadget編集長・鷹木創さん

Engadget 日本版 シニアエディター/動画担当チーフの津田啓夢さんもこう語る。

津田:
弊社のオフィスもあるこのアーツ千代田 3331は、Engadgetの読者層の方にも近い秋葉原近辺にあることもあって、その地の利をもっと有効活用出来ればという話をしていました。また、いわゆる(読者層でもある)ギーク層って好きなものがそれぞれちょっと違うじゃないですか。「僕はモバイル派」とか「ドローンが好き」とか「ガジェットをつけたライブを見たい」とか、それぞれ、尖っている方向が違うんですよね。そういう読者の方々が一同に集まって文化祭的なことが出来たらEngadgetっぽいんじゃないかと。三回目の今回無料にしたのは、無料にしたらどういう人に来て頂けるかというのを一度見なければという狙いです。そうすると想像を上回る反響で驚きました。
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Engadget 日本版 シニアエディター/動画担当チーフの津田啓夢さん

ライターを務め、当日もイベントスタッフとして参加されていた砂流恵介さんは「Engadgetらしさ」について教えてくれた。

砂流:
Engadgetは「らしさ」があるメディアで、トップページがよく読まれているんです。記事単体ではなく「今日Engadgetってどんなニュースをアップしているんだろう」と読者の方も楽しみにしているんですよね。今日のようなリアルの場でも「やっぱりEngadgetっぽいよね」って楽しんで帰って頂けるのは嬉しいですよね。
まさにEndadgetのトップページがリアルの場に現れたようなこのイベント。登壇者もトークセッションなどの合間に、一参加者として楽しんでいる様子がよく見受けられた。3回連続で沖縄から自称「21世紀枠」として参加しているモバイルプリンス・島袋コウさんも貴重な情報収集の機会としているそうだ。

島袋:
「普段はモバイル業界にいる人間ですが、ここに来るとそれ以外の違うジャンルの最先端の情報を仕入れることが出来るので、出演者でありながら一参加者としても楽しんでいますね。」

■注目を浴びていたブース

そんな会場内を私も歩いてみたが、特に参加者の注目を浴びていたのは「市原えつこのさわやか秘宝館」。妄想監督:市原えつこ、テクニカルディレクション・デバイス開発:渡井大己、両氏の共作による大根を撫でると艶かしく喘ぐ「セクハラ・インターフェース」、Pepperの胸部タブレットに「おっぱい」を搭載し、タッチすると反応する「ペッパイちゃん」など、市原さんの手がけた「性」に関する作品が初めて一同に会した。

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「セクハラ・インターフェース」の隙間から 市原えつこさん

大きくブース展開をしていたのが、JINS MEME。4月に実施されたJINS MEMEのハッカソンで生まれたアプリを紹介したり、以前のキャンペーンで作った体感型ゲームとJINS MEMEの体験を組み合わせたりと、商品を知っている人も知らない人も楽しめるブース展開を行っていた。 スポンサーとしての立場からも、このイベントの醍醐味について伺ってみた。JINS MEMEプロジェクト担当 佐藤拓磨さんはこう語る。

佐藤:
このイベントにいらっしゃる方は「デバイスを体験したい」「知識を吸収したい」という意欲がとても高いです。JINS MEMEについても「こういうことが出来る」と下調べをして、(こんなことを知りたいという)意思を持って来ている人が多い印象ですね。実際にJINS MEMEを体験して頂いて、ハラ落ちしてもらえる場が実現できて良かったです。
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JINS MEMEブース

ブース出展やワークショップ(今回入場無料となり幅広い客層が来場されることを予想し、ファミリー層を想定したワークショップも実施したそう)なども展開した明和電機によるライブが、このイベントの大トリを飾った。

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明和電機 代表取締役社長 土佐信道さん

■思い思いの「ガジェット」の楽しみ方がある

会場で参加者の様子を見てみると「(業務に活かすべく)情報収集のため来ました」という方もいたり、ブースで思い思いにガジェットを試す方もいたり、お目当てのライブに並んだり、いわゆる「ガジェット」の興味関心が様々な形で広がっているように感じた。トークセッションやステージなど各コンテンツの司会としてこのイベントに一日どっぷりと浸かったお三方(池澤あやかさん、石原愛美さん、太田智美さん)も、思い思いの形でこのイベントを楽しんでいたようだ。

池澤:
前々回も参加させて頂いたのですが、そのときより規模も大きくなっていて、ゲストの方も増えて、よりカオスになりましたよね(笑)。テクノロジーが「便利」だけじゃなくて、JINS MEMEのように「おしゃれ」な方向や、セクハラインターフェースのように「面白い」方向など、様々な方向に広がっていく幅の広さを、一度に見ることが出来て楽しかったです。
石原:
これまで記事で読んでいる中で興味を持っていたものも、あまり興味がわいていなかったものも、実際に話を聞いたり体験出来るとやっぱりどれも面白いんですよね。記事で読んでいたものを可視化してくれるイベントです。私も今日トークセッションで体験させて頂いて、欲しくなったものが結構あります。
太田:
技術者の方をとても尊敬しているので、まさに今面白いことをしている(登壇者の)方々と話が出来るのが本当に楽しいです。参加者の方も詳しい方が多くて、話かけて頂いて嬉しかったですね。あと、こういう場にくるとすごく悔しいんです。自分もここにいる人たちのように作れる人でありたい。そう思って、最近はロボット「Pepper」を自費で購入してプログラムに挑戦したりArduinoをいじったりしています。
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夜はお酒を片手に登壇者と参加者がフラットに交流出来るミートアップも行われた

最後に鷹木編集長に、今後の「Engadget 例大祭」構想についても伺った。

鷹木:
今は様々なコンテンツをごった煮にして例大祭のような大きなイベントをやっていますが、例えばウェアラブルファッションショーや、ウェアラブル運動会、全日本クアッドコプター選手権などは、それぞれ単独のイベントとしてもやれるという手応えもありました。それぞれを一つ一つを単独のイベントとして大きくしていくことも、今後あり得ると思います。
WEBサイトでの記事・動画の展開はもちろんのこと、リアルの場を使ってガジェットの楽しみ方を広げていくEngadgetの動きに、これからも注目していきたい。

取材・文:市來孝人

市來孝人:PR会社勤務を経て独立。東京を拠点に「SENSORS」などWEBメディアでの取材・執筆、ナレーター、PRプランナーとしての活動の他、福岡やシンガポールのラジオにも出演中。

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