アジアのカップルに大人気のフォトウェディングって?

2015.05.19 19:00

雄大な自然や都会の景色を背景にタキシードとウェディングドレスに身を包んだカップルが映る綺麗な写真。アジアの若者に人気を集めているという「フォトウェディング」を日本で展開しようと企むある女性起業家にSENSORSが訪問した。

いま、台湾や韓国、シンガポールの若いカップルに大人気な「フォトウェディング」。結婚式とは別に、ゆっくり時間をかけて2人だけの一生の思い出に残る写真を撮影する。専用のスタジオや好きな場所でのロケーション撮影、憧れの衣装を身に纏い、2人のためだけに用意されたシチュエーションで専門のフォトグラファーがその様子を収める。

ダイヤモンド富士山が見える場所で

渋谷のスクランブル交差点で

結婚式の前撮りとしてフォトウェディングを利用する例も多いようだが、昨今はそもそも結婚式を挙げないことも増えている。挙式はしなくても、「ウェディングドレスは着たい!」「写真だけは撮りたい!」そんなカップル達の願いを比較的リーズナブルな価格で実現できることがフォトウェディングの魅力の一つだ。

ファマリーの画面

アジアで人気のフォトウェディングを日本から盛り上げるようと企てるのが、昨年10月に誕生したFamarry(ファマリー)だ。ファマリーはフォトウェディングを挙げたいカップルと、フォトグラファー/スタジオを結びつけるスマートフォン専用のサービス。ログインするとホーム画面にいくつかのフォトウェディングのサンプル写真が表示され、そのサンプルの中から自分の好きなものを選びお気に入り登録(複数可)すると、サンプル写真を登録したフォトグラファーへ撮影リクエストを送ることができる。そして、フォトグラファーから最適な撮影プランの提案を受けることができ、オンライン上で打ち合わせを重ねながら、実際の撮影へ移行する。

現在提携しているフォトグラファー/スタジオは50社程度。クオリティー重視で選抜している。ビジネスモデルは広告掲載でなく、実際に撮影が成約した時点でマージンを取るコンバージョンモデル。

■リクルート、ベトナム、シンガポールを渡り歩いた起業家の挑戦

藤井悠夏(ふじい ゆか)氏。中学時代にはドバイに在住していたそうだ。

ファマリーの創業者、藤井悠夏(ふじい ゆか)氏は新卒でリクルートに入社し、ゼクシィの営業で年間MVP受賞などの活躍後、ベトナムでウェディングポータルサイト事業の立ち上げなどに尽力。事業を現地法人に譲渡後、シンガポールに渡り、日本法人ウェディング関連の事業立ち上げ支援などを行ってきた。そんなバイタリティ溢れる藤井氏はどうして日本に戻ってきてファマリーを立ち上げたのか。

藤井氏がシンガポールで行っていた仕事の1つに、日本でウェディングフォトの撮影を希望するシンガポール人に日本のフォトスタジオを紹介するというものがあった。顧客と1対1で接していて、とてもニーズを感じていたが、その一方、撮影された写真が、どこで、誰によって撮られたかがすぐにわかるメディア・サービスが欲しいと思っていたという。それがファマリーを構想するきっかけとなった。しかし、シンガポールは市場自体がそこまで大きいわけでもないので、まずはコンテンツを集めるという意味でもウェディング関連の市場が大きい日本から事業をスタートさせる決意をした。

■日本のウェディング業界が抱えるいびつな構造

ファマリーのオフィスはかつてあの「メルカリ」が入居していたシェアオフィスでもある

「フォトウェディング」は日本に根付くのだろうか。アジアと日本のフォト文化違いを藤井氏はこう語る。

藤井:
アジアの人たちってみんな自分が大好きなんですよ。自分のことを写真に収めること自体が好きという感じで。でも、日本人はちょっとシャイ。3カ国渡り歩いて、日本だけフォトウェディング文化が遅れてるなって思います。アジアだと普通に街中でフォトウェディングをやってますし、それが珍しいことじゃないんです。

フォト文化が日本だけ遅れている背景には、ウェディング業界の特殊な収益構造を藤井氏は指摘する。

藤井:
日本は結婚式の収益構造が他の国とは全然違うんです。式場がとても強い。結婚式を挙げる人たちは、まず式場を選んでから、その後のオプション・商材を決めるという流れがあります。その商材を、式場側が斡旋しているんです。式場側が5割くらいマージンを取るという例もあります。式の当日もプロのフォトグラファーさんが写真撮影をするのですが、カップル側が撮影費として式場に払っているお金の割に、フォトグラファーさん達はあまり金をもらっていなかったりします。構造的にいびつなんですよ。直接フォトグラファーさんに頼むと式場側に断られてしまったり...。だから、写真へのクオリティがなかなかあがらなくて、関心も薄くなる。海外だとウェディングフォトグラファーはかっこいいっていうイメージなんですよね。

結婚式で撮る写真のあり方はもっと自由だということを日本のカップル達は知らない。海外ではじっくりと時間をかけて、それも大勢の人がいる場所や、少しドレスが汚れてしまうけれど壮大な自然をバックにするなど、大胆なシチュエーションで撮影をすることが多いようだ。フォトグラファー達が正当な待遇を受けることができるようにしたいとも意気込む。

■「感覚的」に選べてしっかりと出口につながるサービスへ

Famarry Plusの画面

日本ではそもそもフォトウェディングというものの存在自体が知られていないので、潜在層に対して効果的にリーチするためにFamarry Plusという独自のキュレーションメディアを運営している。これは「こんなウェディングやりたい!が写真から見つかる」がコンセプト。フォトグラファーさん一人一人にフォーカスした記事や、撮影のロケーションを軸にキュレーションされた記事を掲載しているのが特徴的。顕在層にリーチするプラットフォームと、潜在層にリーチするメディアを組み合わせて市場を開拓していく。藤井氏はファマリーの今後の展望をメディアと絡めて次のように構想している。

藤井:
これまでは、一般的にポータルサイトから検索軸でウェディングが選ばれていたけど、今後は「こういうのがあったらいいな~」っていう感覚軸からベンダーさんに繋がるような、そんな展開が築いていきたいです。フォトウェディング以外にも「こんなドレスが着たい!」「こんなブーケが欲しい!」っていう商材軸からベンダーさんにつなげるとか、「ハワイで撮りたい!」、海外の人が「日本で撮りたい!」という声に応えるエリアやロケーションの軸から世界中のフォトグラファーさんにつなげるなど。その他にも、結婚だけでなく出産や家庭など時間軸で変化するニーズにも応えらえるような展開も模索しています。

藤井氏の3つのフィロソフィー。人生のイベントで「絆」をより深める心温まるサービスをつくりたい。腕さえあれば世界中どこでも仕事ができるサービスをつくりたい。思い込みを取り払って価値観を広げることのできるサービスをつくりたい。ファマリーは藤井氏の哲学が凝縮された事業だ。フォトウェディングの市場そのものが日本でどう形成されていくかに注目しつつも、藤井氏のこれからの挑戦には括目だ。

取材:石塚たけろう

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、大手企業とスタートアップの共同事業開発支援や、VR領域のスタートアップに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi

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