テレビ初放送・ジブリに関わる人々をアニメ化『ギブリーズ episode2』日テレ奥田誠治に聞く舞台裏

2016.11.18 09:00

「宮崎駿さんは親戚の叔父で、鈴木敏夫さんは兄のような存在。スタジオジブリの仲間に会うとホッとするんですよね。」と語る、日本テレビの奥田誠治にテレビ初放送される『ギブリーズ episode2』制作秘話を伺った。

※『ギブリーズ episode2』は11/18(金) 21:00〜22:58『金曜ロードSHOW!』にて『猫の恩返し』の直後に放送される。

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テレビ初放送のジブリアニメ『ギブリーズ episode2』で「奥ちゃん」として登場する日本テレビ奥田誠治氏にインタビューした。手に持つは『ギブリーズ episode2』と同時上映の『猫の恩返し』だ。

「宮崎駿さんは親戚の叔父で、鈴木敏夫さんは兄のような存在。スタジオジブリの仲間に会うとホッとするんですよね。」、と語るのは日本テレビの奥田誠治だ。彼は1984年に『風の谷のナウシカ』をはじめて地上波で放送した人物で、『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『猫の恩返し』『ハウルの動く城』などのジブリ映画の製作にも参加している。彼自身も『千と千尋の神隠し』『紅の豚』そして11/18(金)の『金曜ロードSHOW!』にてテレビ初放送される『ギブリーズ episode2』にキャラクターとしても登場している。

この『ギブリーズ』はジブリに関わる人々の心温まるストーリーがオムニバスで綴られており、キャラクター原案はジブリの鈴木敏夫氏が描いている。当記事では『ギブリーズ episode2』舞台裏や、奥田氏が語る宮崎駿氏、鈴木敏夫氏、ジブリを支える人々について紹介する。

■キャラクターデザインは鈴木敏夫。ジブリの関係者がアニメで楽しめる作品

---奥田さんも登場する『ギブリーズ episode2』とはどういうストーリーなのでしょうか?

奥田:
『ギブリーズ episode2』はジブリに関わる方々がキャラクターとして登場しているのですが、僕もブタ顔の「奥ちゃん」というキャラクターで登場しています。キャラクター原案は鈴木敏夫さん(以下鈴木さん)が描いています。

鈴木さん自身はカレー屋の主人「トシちゃん」として登場しているし、主人公の「野中くん」はスタジオジブリの著作権関係を全部見ている実在の人物です。「徳さん」は後のジブリ特別顧問になる元メイジャーの徳山雅也さんでジブリアニメの初期の宣伝を担った人物で、「ゆかりさん」はジブリ出版部の責任者で、、、というように登場するキャラクターが全員実在するスタジオジブリ関係者なんです。ジブリアニメを支える人々がどのような人物なのかを知った上でアニメを見るとちょっと味わいが深くなるかもしれませんし、ジブリアニメを愛するファンの方で、製作現場の人達にも興味感心がある人には楽しんでもらえる作品だと思っています。
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『金曜ロードSHOW!』にてテレビ初放送される『ギブリーズ episode2』に登場する「野中くん」(左)「奥ちゃん」(中央)「ゆかりさん」(右)。全員実在するスタジオジブリ関係者だ。キャラクター原案はジブリ鈴木敏夫。

--鈴木敏夫さんがキャラクター原案を描かれたキッカケはなんだったのでしょうか?

奥田:
『紅の豚』のキャンペーン企画を考えていた時に、キャンペーン地図というものを作ったのですが、その地図の上に、僕が鈴木さんを猿のキャラクターで描いたんです。そしたらその地図の上に、宮崎さんが全く別のキャラクターで西遊記の三匹を書き加えたんです。その猿を除いて、鈴木さんがデザインしたキャラクターがギブリーズとして描かれたのです。

■宮崎駿、脳にインプットした情報をもとにダイナミックなシーンを描く

--奥田さんはギブリーズではブタ顔の「奥ちゃん」役で、『千と千尋の神隠し』ではブタになっちゃうお父さんとして登場していますが、もしかして『紅の豚』の主人公のブタ、ポルコ・ロッソも奥田さんが関係しているのでしょうか?

奥田:
宮崎駿さんがご自分のことをブタとして描くことが多いですし「紅の豚」のポルコ・ロッソは宮崎駿さんご自身のキャラクターだと思いますよ。ただ、雑誌「アニメージュ」のジブリ特集で『紅の豚』のポルコ・ロッソのようにトレンチコート着せられたことがありました。鈴木さんが描いた私のブタ顔のキャラクターの印象が強かったからですかねぇ・・・。

ただ『紅の豚』には僕が出演しているんですよ。

加藤登紀子さんが演じるジーナが酒場で歌う所がありますよね?あのシーンを描くときに、観客を前に歌うシーンってどういう風になるんだろう?一度実際に撮ってみよう、となりまして。加藤登紀子さんのお母様がその当時やってらっしゃった表参道のロシア料理屋「テアトロスンガリー」を貸し切って実際に加藤登紀子さんに歌ってもらい、鈴木敏夫さんと僕は観客としてそこにいたんです。 なので、実際の『紅の豚』のジーナの酒場のシーンにも鈴木さんと僕がお客さんとして出演しているんですよ。

あのシーン、良く出来ているとおもうんですが、それは宮崎駿さんのアニメの作り方が凄いんですよね。普通、ディズニーとかだとテスト映像をとって、その映像を元にアニメーションを作るのですが、宮崎さんの場合は一度、ご自身の頭の中にインプットしてから、自分の記憶を頼りにアニメーションを描いてしまう。その手法をとったシーンだからダイナミックな良いシーンになったんだろうな、と思っています。

--そもそも論に戻ってしまいますが、『ギブリーズ』にてご自身の顔がブタキャラとして登場したことに対して正直、どう思いましたか?

奥田:
うーん(笑)。 実際はそれほど太って無いと思うんですが、キャラなのでデフォルメされているのはしょうがないですね。

でもですね、『ギブリーズ episode2』が『猫の恩返し』と同時上映された後に、グッズなども販売されたのですが、吉祥寺でそのキャラクターグッズが山積みになったお店の前を通りかかった時に、僕のキャラクター「奥ちゃん」キャラクターが一番売れ行きが良かったのを見た時は嬉しかったですね。

■愛すべきキャラがジブリ作品を作り上げている

--『ギブリーズ』というタイトルはどこから来たのでしょうか?

奥田:
「ジブリ(GHIBLI)」は本当は「ギブリ」と読むんです。いまでも海外の方はギブリと呼ぶ方いますし、そのオリジナルの読み方をジブリに関わる人の物語のタイトルとして持ってきたんです。

そして、ギブリは「サハラに吹く熱い風」という意味なんですが、ちょうど『ギブリーズ episode2』を製作している時に、宮崎駿さんと鈴木敏夫さんと僕はサハラに取材に行っているんですよね。そういう様々な要素が絡み合って『ギブリーズ』は出来ていると思います。

--今回地上波初放送の『ギブリーズ episode2』の見どころを教えてください。

奥田:
野中くんが主人公の「初恋」と、鈴木敏夫さんが店主キャラクターで登場する「カレーなる勝負」という2本のストーリーを放送します。「初恋」は僕も凄い好きなストーリーなのですが、誰もが胸に覚えがある淡い恋心を描いています。「カレーなる勝負」は愉快なストーリーなので純粋に楽しんでもらえたら嬉しいです。

そして何よりも、ジブリに関係している人達がどういう人達なのか?想像しながら見てもらえたら一番嬉しいですね。しかもみんな現役で活躍している、愛すべきキャラとして見てください。

--ありがとうございました!

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『ギブリーズ episode2』「カレーなる勝負」に登場する「奥ちゃん」。インタビューを行った日本テレビ奥田誠治氏がキャラ化されている。

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左が鈴木敏夫氏をキャラ化した「トシちゃん」。『ギブリーズ episode2』「カレーなる勝負」でカレー屋の店主を演じる。

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『ギブリーズ episode2』「カレーなる勝負」のワンシーン。インタビューを行った日本テレビ奥田誠治氏がキャラクター化された「奥ちゃん」。

2002年に公開された『ギブリーズ episode2』にはCG表現や手描きタッチなど様々な多様なアニメ表現が散りばめられている。それはジブリを取り巻く身近な人々を題材にした新たな表現の場とも見える。今回、地上派初放送になる『ギブリーズ episode2』でも『金曜ロードSHOW!』では放送前の施策としてスマホから参加でき「スタジオジブリ名言集」を自分のソーシャルメディアにポストできる仕組みや、放送中に楽しめる「セリフでBINGO!」という特別企画も仕掛けている。

『ギブリーズ episode2』を見る際には、多くの人に喜んでもらうためのコンテンツを作っている関係者の存在を感じながら見るのはいかがだろうか?今も昔も、そして人工知能が一部コンテンツを作ることになるかもしれない未来でも「見る人を感動させたい・喜んでもらいたい」と思っている作り手の気持ちは変わらないだろう。

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ライター:西村真里子

SENSORS.jp 編集長 国際基督教大学(ICU)卒。エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後外資系企業のフィールドマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブ会社のプロデューサーを経て2014年株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×デザイン×マーケティングを強みにプロデュース業や編集、ベンチャー向けのメンターを行う。Mistletoe株式会社フェロー。

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