「PERFECT HUMAN」作曲 JUVENILEに聞く、楽曲制作のルーツとこだわり

2016.05.02 17:00

オリエンタルラジオ(中田敦彦・藤森慎吾)を中心に結成されたユニット「RADIO FISH」。今年話題になっているのが楽曲「PERFECT HUMAN」だ。先日にはミュージックビデオも公開された。さらに5月25日にはアルバム「PERFECT HUMAN」も発売となる。

「 【公式MV】PERFECT HUMAN - RADIOFISH【オリラジ】」

この楽曲「PERFECT HUMAN」の作曲者のクレジットを見ると「JUVENILE」という名前が。一体、どんな方なんだろう?と気になり取材を敢行。ボーカル・ダンサーのRYUICHIとともに「OOPARTZ」というユニットで活動しているJUVENILE(トークボックスとサウンドプロデュースを担当)。「PERFECT HUMAN」作曲秘話や、ご自身の音楽遍歴を伺ってみた。

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「OOPARTZ」にてトークボックスとサウンドプロデュースを担当するJUVENILE(左)、右はボーカル・ダンサーのRYUICHI

■なぜ「We live in Tokyo」と東京のことを歌っているのか

RADIO FISHの楽曲提供のきっかけは、JUVENILEがRADIO FISHのメンバーであるダンサー・FISHBOY(中田敦彦の弟)と友人であったことだという。 「兄貴が本格的に音楽をやることになったらお願いしたい」と言われていたそうだ。 「PERFECT HUMAN」の前にも「GOOD BYE」(2015年5月配信開始)「PARADISE」(2015年7月配信開始)といった楽曲をJUVENILE(以下:J)は手がけており、「今度はEDMのような曲調で、ラップをやってみたい」という要望があり「PERFECT HUMAN」が生まれた。

J:
最初にメロディーを作って、歌詞は藤森さんにお任せしました。 藤森さんがひたすら中田さんを褒めるという内容が斬新過ぎて、初めて歌詞を聴いた時にすでに面白かったですね。

--藤森さんによる作詞の前に、オリラジさんとは何か話したことはありますか?

J:
何が詞の題材にできるか、という話をしました。 そこで僕が例としてあげたのが「J-POPに土地の歌ってあんまりないなあ」という話です。 海外のヒップホップだとよくその土地を題材にしているんです。 例えばJay-ZがAlicia Keysをフィーチャリングした「Empire State of Mind」は、サビの「ニューヨーク」が印象的ですよね。 「でも、東京にはあまりないですよね」という話をしたら中田さんが「それいいね」と言ってくれて。 なぜ突然「We live in Tokyo」と東京のことを歌い出すのかというと、そのときの会話の名残だと思います。

--パフォーマンスをご覧になったときは、どのように感じられましたか?

J:
一番の良いところは、ダンサーさん振り付けの難しいダンスと、サビのまねしやすいダンスのバランスですね。 最初はFISHBOYさん達4人のダンサーによる本格的な振り付けで、サビの部分はキャッチーに中田さんが考えていったそうです。 本格的な部分とキャッチーさとのバランスを生み出せるのが、オリラジさんらしさだと思います。

アルバムは全9曲(+「PERFECT HUMAN」のインスト)。うちJUVENILEは4曲。 アルバム発売にあたり、改めて「これは聴いてほしい」というポイントについても聞いてみた。

J:
「PERFECT HUMAN」の影響もあってか、最近頂くオファーや周りからの印象も四つ打ちが多いのですが、実はそれ以外も作れます。 一番好きなのは「PARADISE」というヒップホップ寄りの曲です。 間奏のギターも効いていて、「よく出来たな」って思えました(笑)。 このアルバムを聴いて頂いてRADIO FISHとしてもJUVENILEとしても「四つ打ち以外もあるんだ」と知ってもらえたら嬉しいです。
「 【公式】PARADISE - RADIOFISH【オリラジ】(MV) 」

■JUVENILEの音楽遍歴を探る

自らを「シンセオタク」と称するJUVENILE。音楽面でのルーツについて訊ねてみた。

J:
小学校に入る前にピアノを始めたのが音楽に触れたきっかけです。 その後小学生の頃坂本龍一さんの「energy flow」を知り、そこからYMOにハマり音楽にのめりこんでいきました。 YMOはほぼ全部コピーして、今でも覚えているくらいです。 最初はYAMAHA QY100というシーケンサーを手に入れました。 自分のまわりに音楽をできる人間があまりいなかったので、まずは一人で音源を作れるようにしようと。

--その後はどのような音楽遍歴をたどっていったのでしょうか?

J:
そのあと中学生になると、友達のお兄ちゃんがラップをやっていたことにも影響されヒップホップにハマり始めました。 その頃に流行っていたヒップホップはシンセで打ち込んだり、甲高いシンセベースが特徴的なウエストコースト(西海岸)寄りのヒップホップだったんです。 これなら自分もできそうと思って曲を作り始めました。その時はYAHAMAのDX7(1980年代に一世を風靡した名機)をオークションで買いました。
その後ヒップホップ自体が、それまでの東から西、さらに西から南にトレンドが変わり始めました。 少し"カリブ感"が出てきて、シンセが好きな自分にとっては追っかけづらさを感じていたときに、今度は中田ヤスタカさんを知ったんです。 Perfume「チョコレイト・ディスコ」が流行っていた頃です。
一人で楽曲制作をこなす中田ヤスタカさんのスタイルは、今の僕の音楽制作にも大きく影響しています。 この頃にはネットも普及して、調べると中田さんがどういう機材を使っているかも分かったので、中田さんのスタイルに自然と影響されてきて、自分の音楽の作り方がこの頃出来上がりました。 今はソフトシンセで楽曲制作をしています(編注:Native Instruments MASSIVE、Native Instruments FM8、Lennar Digital SYLENTH1、Arturia MiniVなどを組み合わせて使用しているそう)。
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--こうして今のOOPARTZとして、あるいはRADIO FISHへの楽曲提供など、今の活動に繋がってくると思うのですが、現在楽曲制作において意識されていることはありますか?

J:
今回の「PERFECT HUMAN」もそうでしたが、どれだけ音をバキバキにしても「J-POPだな」と思うものに仕上げるよう心がけています。 やはりヒットする音楽は、Aメロ・Bメロ・サビという流れだったり、メロディーの感じだったりで、"日本人の耳に染み込む形"があると思うので。
「PERFECT HUMAN」1曲に限っていえば、意識したことはヴォーカルがラップなのでトラックはごくごくシンプルに。少ないトラック数で構成されています。 HIPHOPの精神ですね(笑)。その分シンセの音作りにこだわっています。 かといって複雑な音を作っているわけではないですが。 僕の制作曲全てに言えることですが、基本的にシンセのプリセットはあまり使わず、イチから作ることが多いです。

--今後のOOPARTZとしての活動にも、還元したいことはありますか?

J:
「PERFECT HUMAN」が音楽番組で歌われた時、作曲に自分のクレジットがあるのを見て、次は自分でも出たいと思いましたね。 その為に今はその時々与えて頂いたチャンスを一つ一つこなすことだと思っています。 今はひたすら音源づくりをして、ワンマンライブも出来たらいいですね。
「OOPARTZ - Neverland 」

--ライブでの、JUVENILEさんのパフォーマンスの見所についても教えてください。

J:
楽曲制作はソフトシンセですが、ライブでは曲をただ単にプレイするだけではなく、魅せるパフォーマンスにもこだわっていきたいと思っています。 (楽器の音色が声のように聞こえるエフェクター)トークボックスをよく使っています。 KORG MicroKORGなどのシンセに繋げたり、ショルダーキーボードに繋げたりしています。

RADIO FISH楽曲提供はもちろん、OOPARTZとしても新曲「ウォーリー」をiTunesにて配信中、「LAST BIRTH」が関西エリアでのSky株式会社TVCMソングとしてOAされるなど、着実に活躍を広げつつある。 今後生み出される楽曲にも注目したい。

取材:見﨑梨子(みさきりこ)

1993年生まれのフリーライター。青山学院大学総合文化政策学部に在籍。『SENSORS』をはじめ複数の媒体で記事の執筆・編集に携わる。DJとしての一面もあり、東京都内の様々なクラブで活動中。
Facebook:https://www.facebook.com/riko.misaki

編集:市來孝人

SENSORS Web副編集長
PR会社勤務を経てフリーランスのWebエディター・インタビュアー・ナレーターなどとして活動中。1985年生まれ。
Twitter:@takato_ichiki / Instagram:@takatoichiki

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