空のeSports!世界を飛び回る学生ドローンレーサーに聞く、ドローンの魅力

2016.05.22 16:30

5月25日に開催されるSENSORS ACADEMY。初回のテーマは「ドローン」。世界中で「空の民主化」とも称されるドローンを取り巻く現状について、そのムーブメントの真っ只中で活動する様々なプレイヤーをお呼びし、ビジネスやエンターテイメントといった多様な観点からドローンの可能性について議論し明らかにしていく。
そのゲストとして、学生ながらドバイやシンガポールの国際レースに参加し、ドローンレーサーとして活躍する高宮悠太郎氏(慶應義塾大学在学中)をお迎えする。今回の記事では、彼がドローンレースの世界に飛び込んだ理由、そこで見たカルチャーについてお話を伺った。高宮氏がドバイのレースに参加した際の写真とともにお届けする。

高宮氏のトークも!5/25(水)@TECH LAB PAAK(渋谷)「SENSORS ACADEMY Vol.1」チケット購入はこちらhttp://eventregist.com/e/sensors_drone)から。

高宮悠太郎氏 

■同級生とドローンを飛ばしているうちに、レースに挑戦してみたくなった

--ドローンレースを始めるに至ったきっかけはなんだったのでしょう?

高宮:
昨年、大学の授業の中で、「ドローンを使ったビジネスを創造する」という課題を与えられたことがきっかけでした。その授業では今回のACADEMYにも登壇されるドローン社会共創コンソーシアムの委員・コロプラ役員の 千葉功太郎さんをメンターとして、企業の課題を、ドローンを使って解決するテーマを掘り下げました。
そこで初めてドローンに触れて、一緒に授業を受けていた同級生と一緒に大学のグラウンドで飛ばして遊ぶうちに、自然とレースに挑戦してみたいという気持ちが生まれました。
その時たまたまドバイでとても大きな額の賞金がでるドローンレースがあることを知り、日本でも予選が行われるということで、同級生とレースチームであるKARTを結成して練習を始め今に至ります。
KART_dubal_2.jpg

2016年3月に行われたドバイの決勝レースの会場

--世界のレース事情について教えてください。

高宮:
レースそのものはまるでF1黎明期のような雰囲気があり、レッドブルのようなスポンサー付きのチームももうあるんですよね。イギリスのトルネードエナジーという飲料メーカーがチーム参戦しているんです。ドバイのレースでは世界各国の予選を勝ち上がってきた32チームのうち、7チームがトルネードエナジーのチームでした。 また、レーサー全体で見ると30~40代のラジコンヘリ世代が多いですが、面白いのは優勝するのは10代の少年が多いです。ドバイのレースでは15歳イギリスの少年が優勝。同じドバイで行われたフリースタイルの大会では12歳の韓国の少年が優勝しています。日本から参加した3つのチームのうち、一つは16歳の高校生がレーサーとして参加しているチームでした。その子はお父さんがラジコンヘリを趣味としているため、早いうちからドローンに触れられているのですよね。そういった子供達は、テレビゲームや、スケートボードの延長としてドローンで遊ぶ中でレースに参加できるほどの腕前になっていったというのも面白いと思います。

--ドローンレーサーしての感覚としては、若い人の方が有利ということになるのでしょうか。

高宮:
スピード、高度、三次元の空間を把握する能力が必要ですから、若い世代が良いとは聞きます。僕自身は以前からウィンドサーフィンをやっていた経験が、ドローンの操縦に非常に役に立っています。ドローンレースではFPVといって、ドローンが見ている景色をヘッドマウントディスプレイ(HMD)で受信しながら操縦するのが基本です。そこでは三次元把握能力はもちろん、反射神経、早い速度のなかで反応できる運動神経が求められます。自分は座っていながら頭は時速100kmのなかにあり、体の感覚をドローンに受け渡しているので、クイックな判断が必要になり、「リアルな空をフィールドにしたe-Sports」とでも言えます。

レースの際はドローンからの映像をFMで受信するゴーグルを装着する

KART_dubai_3.jpg

--スポーツの一種としてドローンレースが捉えられるのですね。世界のレースに挑戦するにあたって、練習はどこで行っているのですか?

高宮:
僕の通う慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスのグラウンドを使って練習しています。KARTを結成したのは、大学側に練習場所を確保するため、FPVに必要なアマチュア無線の免許の取得するため、協賛の獲得など、ドローンに関わる様々な事務処理を組織として行う必要があり仕組みを作ったという理由です。いまでは6人のパイロットと、2人のマネージャーがいて、一種の部活のようになっています。

■情報を駆使して自らものづくりをしていく時代の象徴がドローン

--ドローンの流行をどのように見ていますか?

高宮:
ドローンを取り巻くムーブメントの中にいると、その盛り上がりは3Dプリンターの発達など、メイカームーブメントの盛り上がりに呼応して興っているという気がしています。特にドローンレースの世界には、F1でいうホンダのような巨大なメーカーがいる訳ではなく、個人でもインターネットの掲示板を参照し電子工作ができれば、ドローンを作って飛ばすことが簡単にできてしまう。個人的には、それがソフトウェアという形のないものではなく、ドローンというハードウェアの分野で日々ものすごいスピードで個人のものづくりの可能性が拡大している実感があって、とても面白いです。メーカーが作ったものを消費する「消費社会」が20世紀で、その次に今いる「情報社会」が来た。今後は情報を駆使して自らものづくりをしていく「創造社会」が来ると信じていて、ドローンはその象徴だと考えています。日本から世界のドローンレースにどんどん参加して、少しでもその盛り上がりの最前線にいることで、新しい社会に寄与することができればいいなと思います。
KART_dubai_4.jpg

ドバイのレースに参加した際のKARTチーム

筆者自身KARTに注目する中で、昨今のドローンレースの隆盛は、法規制などのトップダウンな動きではなく、ドローン好きによるボトムアップの盛り上がりという印象を受ける。ビジネスや、産業での活用はもちろんされていくべきなのはもちろんであるが、こういった「ドローンがただ純粋に好きな人」によって自然発生的に起こるムーブメントこそ、新たな社会の引き金になっていくのかもしれないと感じるインタビューだった。
25日のイベントでは高宮氏を含めた2名のKARTドローンレーサーによるトークを聞くことができる。世界のレースに挑戦する若い世代が、どんな志をもって未知の世界に挑むのか。見逃せないトークセッションとなりそうだ。

取材・文:兵藤 友哉

1995年生まれ。フリーライター。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系在籍。専らの興味は「メディアテクノロジーの進歩による人間の認知の更新」。SENSORSでは「VR」「ドローン」の記事を担当。
Twitter @do_do_tom

最新記事