10年以上エイプリルフール企画を出し続ける面白法人カヤックが「毎年真剣にウソ企画を考える」理由

2016.04.01 07:00

面白法人カヤックは2006年から毎年、自社内でチームをつくりサイト上でのエイプリルフール企画を発表するという"4月1日に向けて力を入れている"企業だ。本格的に企画を発表し始めてから今年で11年目。なぜ"ウソをつく"企画を長年考えているのか。その理由を探るべく、3月31日、エイプリルフール前日に面白法人カヤックのオフィスを訪れた。

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エイプリルフール企画を担当している氏田雄介氏

今回、お話を伺ったのは2013年からカヤックが自社名義で発表するエイプリルフール企画を担当している(カヤックが手がける、クライアント名義での企画は様々な方が担当しているそう)、氏田雄介氏。普段は新規事業の企画、採用キャンペーンの企画などの業務を担当している。

日頃クライアントへ様々なクリエイティブな企画を提案するカヤック。特徴的なのは、エージェンシーでありながらも、自社発信でこのような企画を毎年発表し続けていることだ。

今年は三つの企画を展開。一つ目はTwitterで、ハッシュタグ「#エイプリル採用」をつけてウソの「お名前」「自己PR」を投稿すれば応募完了となる「エイプリル採用」。2013年から毎年実施したところ、通常の採用では出会えない面白い人材と出会うことが出来、本採用に至った社員もいるという。

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「エイプリル採用」サイトより

二つ目は「ウソのウソまとめ」。NAVERまとめ風のサイトに、実在する企業によるエイプリルフール企画と思わしき情報が並んでいるが、実はこれは全てウソ。カヤックが「この企業ならこんな企画をやるだろう」と想定した企画を並べているページだ。今年はセメダインとDMM英会話といった実在する企業・サービスも含めた"エイプリルフール企画"が並んでいる(事前に企業にはコンタクト済みだそう)。

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「ウソのウソまとめ」サイトより

三つ目は「#写真でひと嘘」。自らが持っている写真にウソを添えてハッシュタグつきで投稿すると、面白いものは特設サイトに掲載されるという、大喜利の要素を含んだ企画だ。

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「#写真でひと嘘」サイトより

■エイプリルフール企画の本格スタートは、2006年から

創業期からエイプリルフールに関する細かいウソを考えてきたカヤックが、チームをつくってコンテンツを発信するほど力を入れ始めたのは、2006年。この年は「カヤックこども部」を"せちゅりつ(設立)"したというもの。
氏田氏が、自社名義でのエイプリルフール企画を担当するようになったのは2013年から。この年は「今年のエイプリルフールはウソをつきません!」と、実際に企業が発表したエイプリルフール企画を、カヤックが実現させてしまうという試みを実施。

氏田:
講談社さんがイカ型の電子書籍端末『iKA』を作ると発表されたので、そのような端末を作るべく実際にイカを買ってきて作ってみたり、静岡県がサイレントヒル県に改名すると発表されたので、「静岡県」と検索すると「サイレントヒル県」と表示されるGoogle Chromeの拡張機能を作ったりもしました。

■"ウソ"を分析するチャートを作り、社長へのプレゼンを準備

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氏田氏がプレゼン用に作った、ウソチャート

年が明ける頃から企画を練り始め、社内がそわそわし始める2月頃には社内の定例会で企画を柳澤大輔社長にプレゼンし、作り上げていくという氏田氏。今年は、考えすぎて社長へのプレゼン用にウソのチャートまで作ってしまったそう。

氏田:
やはりよい意味で期待を裏切るような、半歩先を行くような企画を目指したいですから。ウソをつくことの反対はだまされること。さらにその反対は見破ること...などとウソというものの立ち位置を考えたり、「ウソを見破るための検定が出来るな」「ウソでだまされた人におりる保険があってもいいかもな」など、ウソにまつわるもの・ことを考えチャートにしてみました。

何故氏田氏、そしてカヤックはここまでエイプリルフール企画に力を入れるのだろうか?こんな真面目な理由があった。

氏田:
弊社はクライアントさんに面白い企画を提案する、いわば毎日の仕事の中で提案している企画がエイプリルプールのような(面白い)ものともいえます。だからこそ、毎年絶えず面白いことをやっている会社であると発信し続けていくことに意味があります。それが、11年目という継続に繋がっているのだと思います。

社内で様々な企画を提案する中では、もちろん没になる企画も。採用されるか没になるかは「自社の持つ技術やアイデアを社外へアピールできるものか」どうかだそう。没になった企画の中には氏田氏や社員が個人としてそれぞれ公開することもあるとか。

例えば、サイト上で夜景風や花見風などの景色を選び、あたかも綺麗な景色が見える場所で撮っているかのような写真を撮ることが出来るWebサービス「#Instascape」はシンプルでありながら面白い発想の企画だが、上記の「技術を社外へアピールできるか」という基準に照らし合わせて没になってしまったという。

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「#Instascape」サイトより

当取材は冒頭でもお伝えした通り、エイプリルフール前日の3月31日だったのだが、「投稿型の『#写真でひと嘘』があるので、面白いSNS上での投稿を探して、特設サイトにアップしていかないといけないんです。なので4月1日当日はほかのメンバーと交代で張り付きなんです...」と氏田氏は語ってくれた。やはり社内の体制も力を入れて準備しているのだろう。
一見"おふざけ"のようなエイプリルフール施策も、企業のブランディングの機会として大切なものになりつつあるようだ。

取材・文:市來孝人

SENSORS Web副編集長
PR会社勤務ののち、かねてより旅行でよく訪れていたロサンゼルスに在住。帰国後、福岡やシンガポールのラジオDJ、東京でのMC・ナレーター、ライターとして等の活動を経てメディアプランナーとして活動中。また、タレント・企業トップなど個人に特化したPR・ブランディングにも携わっている。
Twitter:@takato_ichiki / Instagram:@takatoichiki

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