慶大大学院×企業・地域の連携による"ファクトリー"〜KMD Forum 2015レポート

2015.12.02 14:30

「動くさまに、人は動かされる」をコンセプトに11月27・28日に行われた「KMD Forum 2015」。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)が企業や地域社会との連携で進めるプロジェクトをお披露目するイベントだ。SENSORSでは短期連載としてイベント当日も登場するKMDの学生から構成される"つなぎ女子"の皆さまに登場頂き、自らの研究内容についてご紹介頂いていた。今回は、KMD Forum当日の様子をレポートする。

2010年より慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)が在学生の研究成果を発表する場として開催してきた「KMD Forum」。

「歯車が音をたてて動く、蒸気があがる、せわしく手を動かす、
小さな部品一つひとつが、いつしか大きなものを動かす。
そのさまになぜか、人は心を動かされる。」

今年のフォーラムは"工場(Factory)"をモチーフにイベントが開催された。イベント開催の狙いについては仕掛け人である小林百絵さんのインタビューをご覧いただきたい。

イベント当日は、つなぎ女子の皆さんが勢揃いで来場者を出迎えた。

今回はつなぎ女子の一人であるエリさんにフォーラムをご案内いただき、特に注目を集めていた5つの展示作品をレポートする。

■︎KATO鉄道模型 × デザイン思考、ちょっとしたラグジュアリー体験を

フォーラムの入り口を抜けるとまず初めに展示されていたアンティーク家具と鉄道のジオラマが融合し、組み立てられた作品。

サウンドボックスが取り付けられており、好みの車両音をチョイスすることができる。さらには車両のスピードを調整することも出来る。

愛好家ともなれば部屋自体も改造する人がいるほどの鉄道模型。今作ではアンティーグ調の家具の中にコンパクトに鉄道模型を収めることで、"小さな没入感"を演出。鉄道模型の前に腰掛け、お酒を片手に鉄道模型を愛でることでラグジュアリーな体験ができる。

■︎カップルのためのモビリティ「Lap」

カップルが密着して、旅先を走り抜けるモビリティ(電気バイク)「Lap」。見知らぬ土地を開放的に二人で楽しみ、思い出は車体を通して記録されるという。

車体のミラーにカメラが取り付けられており、二人が走っている様子が撮影される。

膝を意味する「Lap」。外からは彼氏が彼女の膝の上に座っているように見える。彼女が自然と彼氏に抱きつきたくなるような距離感に設計されているのだとか。最終的には携帯に旅先での写真やルートが送られてくるので、思い出を振り返りながら楽しむことができるという。

■︎触れられる映像コンテンツ"Kawaii Haptics"

先日の記事でもご紹介した「Kawaii Haptics」は、映像に触覚を掛け合わせることで映像コンテンツの新しい楽しみ方を提案する研究だ。

今後は、普段触れ合うことができないアイドルに触れることが出来るCMを作ってみたいと開発者は語る。

映像に登場するのはいわゆる"イケメン"など様々な男性。使われている触覚は同一(開発者のもうちゃんさんがポッキーをかじっている音)なのだが、映像が違うと感じる触感が全く違うから不思議だ。

■︎擬似仮想空間を上へ上へ登っていく"ニョキニョキ豆の木"

IVRCにてVR学会賞 (準優勝)とLaval Virtual賞を受賞したVR作品「ニョキニョキ豆の木」。「豆の木を登って、鬼に奪われた"雨"を取り戻せ」という世界観の元、CG表現により高所へ登る感覚を与える作品だ。

実際に体験したエリさんは「実際に登っている感覚はありつつも、すごく疲れる(笑)」と感想を述べた。

ブレーキ機構で制御されたロープデバイスと仮想空間の表現により、ユーザの身体を用いて、仮想空間における没入感と「上方向」への移動体験がスリルと共に楽しむことができる。

■︎通り抜けることに新鮮な体験を"Projection Doors"

自動ドアに投影された画像(映像)が、ドアの開閉に合わせて変化する「プロジェクションドア」。イルミネーションから広告表示まで、すでに日本全国に設置されている自動ドアが建物の印象を自由自在に操る。

数パターンの色鮮やかなイルミネーションを選択したり、縦横無尽にオブジェクトを動かし、コンテンツを自在にデザイン可能。

「ただ開閉を繰り返すだけだった自動ドア。通り抜けることで新鮮な経験を与える新しい付加価値を作れないか」という思いからプロジェクトがスタートしたという。現在、海老名市にあるRICOH Future House(リコーフューチャーハウス)にて試験導入されている。実証実験がうまくいけば、事業化される可能性もある。

会場の至る所で、つなぎ女子の皆さんが自らの研究を熱心に説明していた。ここで生まれた研究の種がいつしか、人々の生活に溶け込むプロダクトとなることを期待したい。

取材・文:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。フリーライター。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。「BOSCA」編集長。東京大学大学院学際情報学府在籍。最近の関心領域は「人工知能」。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh


写真:益子光純

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