よりよい解決策を導く、2人の異なる視点 -- NewsPicksデザイナー櫻田氏、甲斐氏インタビュー

2016.03.10 09:00

NewsPicksのデザインを担う櫻田潤氏、甲斐琢巳氏は、それぞれインフォグラフィック、UIデザインと主軸を置きつつ、あえて「エディター」と名乗る。異なる視点を持ちながらも、ゴールは同じと語る二人の考え方を伺った。
(※本記事はコンテンツパートナー「L'OREM」からの転載です)

■コンテンツ自体がインターフェース

ーーNewsPicksでのデザインの取り組みは、どういったことをされているのでしょうか?

櫻田:
デザインの考え方として、コンテンツ、インターフェース、ブランドの3層構造で捉えています。コンテンツとは1つ1つの記事、インターフェースはアプリやWeb、ブランドは全体の広報活動などを指します。コンテンツが中心というわけではないですが、流れとして内側から外側に向かっていくようなイメージです。

NewsPicksのデザインにおける3層構造

櫻田:
その中で僕は、コンテンツを1人で企画からインフォグラフィックに起こしたり、編集メンバーが下調べした資料を元に僕の判断で編集したりします。特徴的なやり方ですが、インフォグラフィックではこのやり方がうまくいくので、編集部内で共有して作っています。
甲斐:
僕はインターフェース面でUIデザインをしていますが、コンテンツの中でも記事の動線が発生するっていう意味で、コンテンツ自体をUIととらえてます。編集の人は文章の書き手としてはプロですが、コンテンツ自体の見せ方に関しては自分の方が熟知しているので、互いに意見を交換しながら進めていきます。
櫻田:
この3層構造の中でも、コンテンツとインターフェースの境界線、例えばコンテンツ内で導線設計が必要な記事などは2人で作っています。

ーーなるほど。お互い立ち場は異なるが、境界線はあまり敷いてない様に見えます。

櫻田:
内と外を繋げないと、新しいものが作れないって強く思ってます。デザインの工程が後ろになると、グラフィックは挿絵でしかなくなってしまう。モバイルはコンテンツ自体がインターフェースなので、作り方のプロセスを変えたことでうまくいっている実感があります。

■デザイナーではなく、あえてエディターと名乗る

ーーおふたりの肩書きが、櫻田さんはインフォグラフィックス・エディター、甲斐さんはエクスペリエンス・エディターと名乗られています。デザイナーではなくて、エディターって付いてるのが面白いですね。エクスペリエンス・エディターとはなんでしょうか?

甲斐:
分かりにくいですよね(笑)。デザインって言ってしまうと、目に見えるグラフィックに絞られてしまう。もっと広い意味で、情報・人・場所・イベントなど様々なものを組み合わせて、それを価値として届けたい。そうした考え方を持ち続けないと自分は次のステップへ行けないと思って、デザインを捨て、あえてエディターという肩書きを自分で付けました。
櫻田:
普通は分かれてる制作工程ですが、上流のところから自分たちも責任もって関わりたいという意思表示ですね。肩書きってくだらないかもしれないけど、エディターと名乗ることで編集会議から参加できたり、関われる領域が広くなります。

ーー分担されていると良いものが作れないという肌感はどういう場面で感じてきたのでしょうか?

甲斐:
やりたいことに対して具体案まで用意されているのはやりづらいですね。「そもそもなんでこれやるんだっけ?」っていうところから入っていったほうが、逆に良いアイデアや着地点をお互い導き出せるんじゃないかと考えてます。
櫻田:
ブランドの一貫性という部分が、分担されることで細部の伝達ができず、バトンが落ちてしまうように感じてましたね。

■2つの異なる視点をあえて残しておく

ーー先月HEART CATCH 2015というイベントの中で、デザイナーとマーケターの方たちが最初から関わることが大事という話がありましたが、まさに実現できているわけですね。 お2人の当事者意識から、そうした行動が生まれた様にも感じます。

櫻田:
そうですね。ただどちらを主軸にしてるかで仕事の進め方は違うなって思います。コンテンツは1個1個の強さが重要ですが、インターフェースは色んな人に届けるために最初の門戸が広い。だから甲斐は早い段階から人に意見聞いたりとかユーザーインタビューしたり積極的にやりますが、僕は逆に人に聞かないよう、閉じこもる時期を作ったります。その辺の強さと柔らかさの違いはありますね。
甲斐:
たまに食い違うところがあるんですよ。インターフェースは家、コンテンツは家具という感じで。視点が全然違うからアイデアが違うんですけど、解決したい課題自体はけっこう一緒で。
櫻田:
中から見るか、外から見るかという感じだよね。
甲斐:
そうそう、そんな感じ。櫻田もユーザー視点は持っているけど、作ってるものが違うので、相談すると発見があって面白いです。

ーー外と内から見るデザイナーがいて、それぞれの視点でお互い刺激できる環境なのですね。お2人の席は近いのでしょうか?

甲斐:
僕は転々とするタイプです。扱う内容によって編集部側や、エンジニア側に移動するんです(笑)。そうするとエンジニア側ではテックの話、編集部側では次の企画の話とか、入ってくる情報が全然違うんですよね。UIをつくるデザインでは、部署ごとに何を課題にしてるか分かることは大切だし、全体を加味して意見を伝えることができますね。
櫻田:
僕は逆に固定であまり動かないタイプですね。甲斐と同質化しちゃったら終わりだなと思ってるので、話すぎないようにしてる時もあります。お昼とかはたまに行くんですけど、あえてそれくらいの距離感を大事にすることでチームとして良いものを作れると思ってます。

■UX=ストーリー、デザイン=アイデア

ーーそれでは、最後に。おふたりにとってUXとはなんですか?

櫻田:
「ストーリー」ですね。UXって文脈をどう感じてもらうかってことだと定義してて、例えばスターウォーズのエピソード7が出てきたときに、1から6を知らない人はどうしたら話に付いていけるのかっていうことを考えます。文脈をどれだけ共有できた状態を作るか、機能以外のところも重要で、そこをUXだと思ってます。
甲斐:
なんとなくUXって、すごい抽象度が広い言葉なので僕はあまり使わないようにしているんですけど、使われるべき人に対して、どうやったらもっと価値が膨らむのかっていうことを多分UXって呼ぶんじゃないかって思います。でもそういうすごい便利な言葉ばかり使ってると、どうしても頭が楽しちゃう気がしていて、UXって使わずにもっと具体的に解決したい話の言葉を使いたいですね。

ーーでは甲斐さんにとってデザインとはなんですか?

甲斐:
デザインはアイデアを作ることですね。グラフィックも大事だけど、やっぱり知覚する所をどうするか考えることだと思うんですよね。

櫻田 潤(左)NewsPicks インフォグラフィックス・エディター:学習院大学経済学部卒業後、システムエンジニア、ウェブデザイナーを経て、2010年よりインフォグラフィック情報サイト「ビジュアルシンキング」運営。2014年12月、NewsPicksに参画。著書に『たのしいインフォグラフィック入門』ほか。

甲斐 琢巳(右)NewsPicks エクスペリエンス・エディター:首都大学東京都市教養学部都市教養学科経営学科卒。大学在学中に1年間の休学。ウェブデザインに明け暮れたのち、2014年に株式会社ミクシィに新卒入社、「mixi」に携わる。2015年5月、NewsPicksに参画。

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