テレビに求められる"イノベーションのテクニカルチャレンジ"--朝倉祐介×前田裕二 リーダーズトーク

2018.01.23 15:00

「人生100年時代の次世代リーダー」をテーマに行われたSENSORSサロン。ゲストはシニフィアン株式会社共同代表 朝倉祐介氏と、SHOWROOM株式会社代表取締役 前田裕二氏だ。

4回にわたってお届けする最終回。第4弾記事では、前回に引き続き、テレビの未来に必要なイノベーションについて議論した。
MC落合はテレビの「ながら視聴」について指摘し、前田氏は自身が手がける「SHOWROOM」を引き合いに出し、能動的メディアと受動的メディアの戦略の違いを語る。

■ 日本のテレビはGoogleが太刀打ちできないITインフラを持っている

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落合陽一

落合陽一(以下、落合):
日本のテレビは、各社のミッション設定が明確に違うかといわれたら、そうではない。ミッションを掲げなければ、コンテンツを差別化できません。
前田裕二(以下、前田):
社会の変化がテレビにとって不利な状況をつくっています。テレビを見ている最中に意中の人からLINEがくると、テレビから注意がそれてしまいますよね。つまり、自分のアクションに対してインタラクティブな反応があることを人は好みます。

一方で、テレビは受け手と送り手が確立された一方通行のメディア。これからのテレビは、自己否定をしてでも、インタラクティブなコンテンツを生み出すことが必要なのだと思います。
落合:
イノベーションのテクニカルチャレンジですね。世界中を見渡しても、日本ほど多くの人が同時に同じテレビ局の番組を観ている国はありません。
相当のITインフラが整備されていなければ、これほどまでのアクセス数を捌ききることは困難です。日本のテレビへの集中アクセスは、Googleでも頭を抱えるほどの接続数です。
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朝倉祐介氏

朝倉祐介(以下、朝倉):
これほどまでに素晴らしいインフラを持っていますし、何よりテレビは訴求力のあるメディアなので、アイディア一つで革新が起こりえます。

■ 能動的メディアと受動的メディアのビジネスモデル

落合:
僕は自宅で仕事をしながら、2台のテレビで異なるチャンネルを同時に流しています。喫茶店をイメージしてもらうと分かりやすくて、「ながら視聴」で作業がはかどるんですよね。
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前田裕二氏

前田:
スタンスを明確にしたほうがいいと思います。普通にテレビを観るユーザーは主体的で、「ながら視聴」は受動的ですよね。テレビとしてユーザーにどう接して欲しいのかを明らかにしなければ、どちらの層にも受け入れられないと思います。

「SHOWROOM」は完全参加型の主体的メディアです。そのスタンスを明確に打ち出しているからこそ、動画配信アプリで収益1位を記録しているのだと思います。どちらを選ぶかは戦略次第なので正解はありませんが、受動的な場合は広告ビジネスの方が向いているのではないでしょうか。
朝倉:
すべてのメディアが参加型では疲れてしまいますもんね。
落合:
僕は能動的にメディアに接する時間と、受動的にメディアに接する時間を切り分けています。朝6時55分から7時30分まではゲームをして、その他の作業時間はテレビやラジオを流し「ながら視聴」しています。

集中可処分時間を1日のどこに置くかを決めるのは面白いですよ。テレビもそれに合わせて放送内容を変える工夫をしてみるといいかもしれませんね。
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齋藤精一(以下、齋藤):
お話を伺っていて、「日本の普通って何だろう?」と考え、その普通を違う角度から崩していくことに可能性を感じました。テレビもそうですが、事象を抽象化し、着想したアイディアを実行に移すことにチャンスがありそうですね。

■ 自分を見つめ好きなことに挑戦せよ! 次世代リーダーからのメッセージ

--最後に、これからビジネスを始めようとしている方にゲスト二人からヒントや心構えをお聞かせいただけますか?

朝倉:
人生はなんとかなるので、自由に好きなことに挑戦して欲しいです。競馬において活躍できる馬は本当に一部で、活躍できない馬は一生光を浴びることはありません。ただ、人間はいつだって輝けるチャンスを持っています。失敗を気にせず、やりたいことに邁進してくれたらと思います。
前田:
「これからこんなビジネスが流行りそうだ」と外の世界に目を向けることも重要ですが、何よりもっと自分を見つめる時間を持ってください。自分の幸せの価値基準を知らないことほど、不幸なことはありません。

また、日本でもっとも時価総額の高いトヨタは、世界順位で42位。僕は、この現状が悔しいです。「世界で戦う」のではなく、世界一を目指してください。

世界最大の起業家コミュニティ「エンデバー」の創業者であり、"今世紀最高のメンター"と称されるリンダ・ロッテンバーグは著書において、以下のように語っている。

「成功を阻む最大の要因は、構造的な障壁や文化的な障壁ではない。それは精神的、感情的な障壁である」

朝倉氏が「人間はいつだって輝けるチャンスを持っている」と語るように、たとえ挑戦が失敗に終わったとしても、リーダーになる権利を失うわけではない。むしろ、その挑戦心こそが次世代リーダーに駆け上がる唯一の資格なのだ。

今回登場いただいたゲスト二人とのディスカッションから、次世代リーダーの条件、リーダーとなる第一歩の踏み出し方のヒントが垣間見えたのではないだろうか。

構成:オバラミツフミ

秋田県湯沢市出身。趣味は商店街を歩くことと喫茶店を巡ること。
Twitter:@ObaraMitsufumi
Mail: obaramitsufumi[アット]gmail.com


編集:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
編集者・ライター。リクルートホールディングスを経て、独立。修士(東京大学 学際情報学)
Twitter:@_ryh
Mail: ry.h0508[アット]gmail.com

カメラマン︰松平伊織

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