スマホがジャックされた感覚に!lyrical school 縦型MV 監督に聞く撮影秘話

2016.04.19 18:30

ヒップホップユニット・lyrical schoolの4月27日に発売されるメジャーデビューシングル「RUN and RUN」のミュージックビデオは、スマートフォンで見ると、あたかもTwitterやVineなど様々なアプリが起動され"ジャック"されているように感じる仕掛けになっている。

iPhoneでおなじみのパスコードを入力する画面から始まるこのミュージックビデオ。そこからMessage、メール、FaceTime、Twitter、Tumblr、カメラ、Vimeo、Vineなどといった様々なアプリ・サービスを行き来しながら、その中でlyrical schoolのメンバーが歌い踊っているというもの。

Twitterのタイムラインなど見覚えのある画面、通知などが登場するため、スマートフォンで一度再生すると、そのままミュージックビデオを見ているのか、アプリが起動しているのか、まるで分からなくなるようだ。
つい最後まで引き込まれてしまうこのミュージックビデオ。公開後すぐにネット上でも話題になったが、どのように撮影されたのだろうか?監督を務めた 株式会社 AOI Pro. 企画演出部 隈本遼平氏にお話を伺った。

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「RUN and RUN」ミュージックビデオより

■実際のスマホの画面・実際のSNSアカウントを活用

まずは、このミュージックビデオは前提として「スマートフォンが普及している中で、共感されるような動画を作ろう」という狙いがあったという。 撮影方法は原則、スマホを操作している様子を記録し映像化したという仕掛け。Twitterなどのアカウントも実際に作られたものが使用されている(@RUNandRUN_LS)。
ただTwitterのタイムライン上のシーンでは、ツイートにある動画の中から手が飛び出てくるようなシーンもあるのだが、そういったシーンは「SNSとアナログの境目もわからなければ面白いんじゃないか」と、タイムラインを再現したパネルをプリントして撮影しているそう。

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「RUN and RUN」ミュージックビデオより

このミュージックビデオに入り込んでしまう最大の理由は、日頃使っている様々なアプリ・サービスが出てくることだろう。

--出てくるアプリやサービスはどのように決めたのでしょうか?

隈本:
まず、ファン層が身近な機能やサービスをメインに構成したいと考えました。その上で元々はもっと色んなアプリの案があったのですが、スムーズに繋がっていくかどうかをビデオコンテで検証しながら絞っていった感じですね。

--Twitterのアカウントも実際に登録されたものを使われているとのことで、ユーザーから気づかれたりもしましたか?

隈本:
アカウントの存在に気づいたファンの方もいらっしゃいましたね。その撮影用アカウントにメンバーが個々のアカウントからリプライしたりと、実際のTwitterの画面を活かしているので、操作(撮影)をしている最中に別の方からメンションやRTが来ると通知が来て映像としては使えなくなってしまうので、泣く泣くブロックさせて頂いたりもしました。すると「ブロックされた」というツイートがあって、申し訳ないなと思いながらでしたね...(笑)。

■カットは事前に決め込んだ。撮影したあとはもう戻れない

さらに撮影時のエピソードを詳しく語って頂いた。

隈本:
様々なアプリが入れ替わりながらも曲は繋がっているので、まずはスマホの遷移をキャプチャして、そこからTwitterの画面にはここ、Vineの画面にはここなどと、どのパートにどんな映像が必要かということを割り出しました。
どのアプリの画面にどの映像が入るかを決め込んでから撮影したので、撮影したあとはもう戻れない。撮ってから編集上で変えることが出来ないという点がいつもの撮影とは異なりました。
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「RUN and RUN」ミュージックビデオより

--映像は白ホリ(背景が白)でずっと続いていきますが、これは何か狙いがあるのでしょうか?

隈本:
空間を一つに感じさせ、メンバーがスマホの中、様々なアプリを行き来してる印象にしたかったのです。背景がずっと白で統一されると、そこが空間として認識されなくなるので、様々なアプリやSNSを移動していることが強調されるのではという狙いです。
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「RUN and RUN」ミュージックビデオより

--lyrical schoolのみなさんの意向が反映されている面もありますか?

隈本:
元気なラップが特徴なので「ここは誰が歌っている」「ここは誰のタイミング」といった部分を強調出来る、キレのよさを大切にしてほしいと聞いていました。また縦に長いので(横に広がる)6人全員のカットはなかなか難しいという面からも、どのタイミングで誰がメインで映るのかというところは相談しながら進めていきました。
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株式会社 AOI Pro. 企画演出部 隈本遼平氏

再生数がリリース前にも関わらずVimeoでは100万回超、YouTubeでも30万回弱となり(4/19現在)、反響を呼んだ今回のミュージックビデオ。反響の大きさに制作チーム一同驚き、やり取りをしていたメッセンジャーで取り上げられたニュースなどの情報を送り合ったりもしたそう。

最後に、今後増えてくるであろうスマートフォン向けの縦型動画を実際に手がけてみて、その面白さ・特徴についても伺ってみた。

隈本:
スマートフォンの場合は「ユーザーが視認してくれる部分が広い」と思いました。PCとは違って手元の画面だと、例えば今回のミュージックビデオに出てくるアプリの通知のようなすぐに出てすぐ消える、かつ小さいものでも、ユーザーの目が届くんですよね。縦型は形として面白いので、もっと考えたいなと思いましたね。

取材・文:市來孝人

SENSORS Web副編集長
PR会社勤務を経てフリーランスのWebエディター・インタビュアー・ナレーターなどとして活動中。また、タレント・企業トップなど個人に特化したPR・ブランディングにも携わっている。活動拠点は東京&福岡。1985年生まれ。
Twitter:@takato_ichiki / Instagram:@takatoichiki

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