Maker時代の小学生が注目するもの ~自由研究×Maker Faire 2015~

2015.08.05 08:30

世界最大級のDIYのお祭り「Maker Faire Tokyo 2015」が8月1日、2日に東京ビッグサイトにて開催された。電子工作、ロボット、乗り物など、趣向を凝らしたデバイス群たちが出展され、夏休みの開催であることから親子で参加する方々の様子が目立った。小学生たちにとってMaker Faireはどのように見えているのだろうか?

炎天下の中、東京ビッグサイトで開催

3Dプリンターやレーザーカッターといったデジタルファブリケーションツールの台頭、そしてArduinoやRaspberry Piといった電子工作ツールの登場で、個人でのモノづくりのレベルは年々高まっている。専門知識がなくても自分の作りたいものを容易に作り出すことができる時代が近づき、今後はもっと多くのMakerが登場してくる。この一連の流れを、テクノロジー関連の書籍を出版するオライリー社が「Makerムーブメント」と呼称し、「Maker Faire」は2006年カリフォルニアから始まった、Makerたちの展示発表の場。

■家族で楽しめるMakerムーブメントのお祭り

多くのお客さんで混雑する会場

SENSORSでは、昨年の11月に行われた「Maker Faire Tokyo 2014」にも訪問したが、その時との大きな違いは、夏休み時期の開催により小学生のお子さんと同伴して参加する「親子」が圧倒的に多かったことだ。

マインドストームを使ったワークショップ

夢中になってパソコン画面を操作

「スカイクリュー」という工作キットを利用してプロペラとゴムの飛び物づくりをする

親子をターゲットにした展示も多く目立った。モノづくりワークショップの開催や、子ども向けのハンダ付け体験、高いところから卵を落としても割らないようにする方法を考える実験できるコーナーなど、実際のMakeを体験できるもの。その他にも、ラジコンのようにロボットを操作できる展示や、センサーを活用したオリジナルのゲームが体験できる展示などにも多くの子どもが集まっていた。

夢中になっている小学生に話を聞いてみると、ハキハキとした口調で、

「自由研究のテーマを探しに来ました。工作が大好きなので、新しくてスゴイものを作って友達や先生をびっくりさせたいんです!」

他にもお話を伺っていると、どうやら純粋に遊ぶ目的に加えて、小学生の夏休みの宿題「自由研究」の題材探しを兼ねて来場している方が多いようだ。

今どきの小学生の自由研究とはいかなるものなのか。それぞれのブースに来ている小学生に尋ねてみた。

■全国大会出場を目指したサッカーの戦術研究

「自由研究どうするの?」と聞くと、 「何をやればいいかわからないから、それを探しに来たんだよ!」という答えがほとんど。それでも、明確なテーマを持つ少年と出会った。

Atelier Beta

彼は自分の所属する少年サッカーチームで全国大会に出るために、戦術の研究をしているという。小学生ながらスポーツサイエンスの世界に憧れ、Maker Faireに来場したという。その少年と出会ったのは、「Atelier Beta」が展示するサッカーボードゲームの中継・リプレイシステム。

このシステムは、本物のサッカー中継のように、ゴールの瞬間をリプレイしてくれるというもの。Raspberry PiとWEBカメラでボードを撮影、ボードに設置したセンサーでゴールを検知する仕組み。

サッカーボードゲームの必勝法を生み出すことで、実際のサッカーの戦術にも応用させるという方法を思いついたようだ。

「お父さんと毎日ボードゲームで試合をしてデータをとって分析します!」将来は日本代表の監督になりたいと目を輝かせていた。研究自体がMakeなものというわけではないが、小学生ながらデータと数字に基づいて科学的にサッカーを研究するその視点に驚いた。

■家にある素材だけで「最強のロボット」をつくる

ヘボコン制作風景

日用品を組み合わせて水上でロボットをつくる。ゴキブリホイホイでつくる人も...

会場の片隅で行われていたのは、デイリーポータルZが展示協力をする技術力の低い人限定ロボコン「ヘボコン」。ミニ四駆で有名なタミヤが提供するモーターなどを利用して、その場で提供される材料だけを使って即席ロボットをつくる。つくったロボットをプールに浮かべて、コイン運びレースで対決をする。技術力が低い人限定の参加なので、高度なテクノロジーがロボットに使用された場合は罰則が適用されるルール。そもそも与えられた材料だけで水の上に浮かべること自体が難しそうな様子。

小学生の参加者が目立ち、自由研究のお話を伺ってみると「最強のロボットをつくりたい」という少年に出会った。残念ながら少年がつくったロボットは早い段階で敗退をしまったが、それでも他のロボットのすごいところも取り入れようと食い入るように研究している点が印象的だった。

「家にある素材でもスピードのあるものがつくれる」「丈夫で軽いものがレースでは有利」というのが最大の発見の発見だったようで、この発見をもとに「最強のロボット」をつくるようだ。筆者(91年生)が小学生だったころ、プラモデルやラジコンは豊富にあったものの、オリジナルのロボットをつくるといってもそれはハードルがすごく高いことのように思えた。タミヤの開発キッドしかり、SONYのMESHしかり、子どもでも容易に電子工作を楽しめる時代がやってきていると実感すると同時に、当たり前のようにロボットを作ってきた子どもたちが大人になった時に何をつくるのだろうかともワクワクする。

■ロボットの気持ちになって物語を書く

DALEK 5

Oculus Riftを使用した遠隔操作ロボット「DALEK」にも多くの小学生が集まっていた。ロボットを一人称で操縦するので、自分がロボットになったり、憑依したような感覚を体験できる。操縦者には接触がないのに大きな衝突を感じることができる実験や、ロボットの視点なのに恐怖を感じる実験ができる。

体験した小学生に話を聞いてみると「自分がロボットになったらこんな感じなんだ!」と感想を漏らしていた。彼の学校でも自由研究はあるようだが、何をやるのかはまだ明確には決まってはいない様子。アニメや映画が大好きで何か物語や小説を書いてみたいとも言っており、DALEKでのロボット疑似体験を通じて、自分がロボットになった一人称でSFの物語を書いてみることに挑戦する意欲を見せていた。子どもの想像力もさらに進んだものになってきているようだ。

Maker Faireは「地上最大のDIYの祭典」を謳っていることもあり、技術力が高くない人でもモノづくりを楽しむことができる導線がいたるところに引かれていた。そして、それは大人だけでなく子どもでも楽しむことができるものでもあった。そして、彼らにとってロボットや科学、モノづくりは既に日常的なものになりつつあるようだ。Maker時代の子どもの想像力からどんな未来が生まれるのだろうか。

取材:石塚たけろう

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、EIR(=客員起業家)として複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi

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