【ロングインタビュー】 オモチャの未来が変わる 世界が注目「Moff Band」

2014.10.10 20:00

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取材時の高萩氏&Moff Band


 

腕時計型のウェアラブルおもちゃ「Moff Band(モフバンド)」。世界最大規模のクラウドファンディングサイト「Kickstarter(キックスターター)」で目標金額2万米ドルをわずか48時間で達成、さらに目標の4倍の支援額7万8000米ドルを達成し、日本国内のみならず米国やフランスなど世界中で話題になっている。手首に装着し腕を振ると、腕の高さや角度に合わせて様々な効果音が鳴る。「刀を振る音」「電子銃」「ギター」「ドラム」・・・子どもの想像力を無限大に引き出すことがきるガジェットだ。「最新のテクノロジーを使って画面を見ずに新しい遊びの体験を提供したい」と語るMoff代表の高萩氏に、Moff Bandとウェアラブル端末の未来について聞いた。


開発のきっかけは、
子供たちが遊ぶ姿だった


−−Moff Bandを開発しようと思った動機は?


高萩:最近の子どもは、スマホとかタブレットが出てきて、画面に向かって遊ぶ時間が長くなっていますよね。最新のテクノロジーを使って、画面を見ずに新しい遊びの体験を提供したいという思いで作ったのが、このMoff Bandなんです。


Moffの使い方が分かるコンセプト動画
http://vimeo.com/87380174


データでは分からない、現場だから生まれるアイデアがある。


−−アイデアはどうやって思いついたのか?


高萩:アイデアを思いついたのは、子どもたちが遊んでいる姿をひたすら観察したからなんです。保育園で遊んでいる姿を観に行ったり、自分が一日保父さんになったり、学童保育に一日中入り浸ったりとか、繰り返しやってみた結果、子どもって体を動かしてコミュニケーションをとっている時が一番楽しいんだ、ということが分かって。


−−子供を観察しようと思った理由は?


高萩:一般的なデータや聞いた話だと、どうしてもよくあるものになってしまうので、現場で見て感じて観察し続けるしかないと思ったんです。子どもたちが遊んでいる姿を見たら、本来それがあるべき姿なんじゃないかと思ったし、センサーとセンサー解析技術とアプリケーションがあれば、これは出来るなって、見た瞬間に思いました。


おもちゃは「買う」から「体験をダウンロードする」時代へ。


高萩:コンセプトの一つとしてあるのは、アプリケーションを通じて無限に遊びが追加されるという点です。今まではひとつのモノを買ったら、機能が限られていて、その機能を遊び終わったら捨てるということを繰り返していたんですけど、これからはどんどん遊びが追加されていく、というのをやろうと思っています。具体的には音楽とか楽器、まずはそういうものの比重を増やしていこうかなと思っています。


--音楽や楽器を重視する理由は?


高萩:アメリカ、ヨーロッパ、日本と、いろんなところで展示会とかをやってきたんですけど、普遍的な遊びってなんだろう、普遍的なコンテンツってなんだろうって思った時に、やっぱり楽器とか音楽って世界中どこを見渡しても、みんな楽しいと思うコンテンツなんです。ただ、音楽とか楽器って、普通の人はなかなか弾けないので、ただ聴くだけという風になっていると思うんですけど、別に弾けなくても、友だちとか家族みんなでエアバンドが出来るとか、もっと音楽や楽器が身近になってくるといいなと思っています。


−−コミュニケーションツールにもなりますね。


高萩:そうですね。結構僕らがやっていて楽しいなと思うのは、公民館を借りきって、子どもたちを集めたら、全然知らない子同士がMoff Bandで超楽しそうに遊んで、はしゃぎまわっていて。そういう姿を見ていると、すごくいいなあと思うので。Moff Bandをきっかけにして、みんなで集まって、体動かして楽しく遊ぼうぜ、みたいなことになればいいなと。


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取材時の高萩氏


代表・高萩氏が見つめる
Moff bandとウェアラブル端末の未来


−−Moff Bandの技術を応用すると、将来どんなことが出来るようになると考えていますか?


高萩:メディカルな部分でいけば、リハビリケーションだったり、あとは老人向けのエクササイズに使えたり、さらには身体障害者の方々に使ってもらうということも考えています。あとはエンターテインメントの分野でいけば、バーチャルとリアルの遊びの体験を組み合わせたゲームにすることも可能です。


−−今後ウェアラブル端末はどうなっていくと思いますか?


高萩:今はまだガジェット感があるというか、着けているという感じがあると思うんですけど、最終的には、着けていることが分からないようになって、コンピューターと人が意識せずにコミュニケーションするようになると思います。


−−具体的には?


高萩:いま流行の言葉に、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)というのがあって、このIoTの魅力を説明するのに「コンテキスト認識」というのがあるんです。過去にこの人がどういうことを考えて、どういう行動をしてきて、という所から推計して、今後この人はこうするだろうとか、ああするだろう、というのをコンピューターの側から推計して提案していく。人間がコンピューターに対して指示することが無くなるというのが最終形と言われているんですけど、その場合に何が必要になってくるかというと、人間の行動・習慣、それから過去・現在についてのあらゆるデータが必要になってくるんですね。そこには位置情報もそうですし、生体情報も必要になってきますし、この人は今何をやって、動作はどういう動きで、ということも必要になってくる。そうしたあらゆる情報の中のひとつとして、人間に関わる身体的な部分のデータを、僕たちが担うことができればいいなと思っています。


<文:SENSORS編集部>

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