フォロワーと事業を創る次世代型プロジェクトの作り方--菅本裕子 × 箕輪厚介「新しい働き方」の先駆者たち

2018.03.13 16:00

「あたらしい、はたらきかた」をテーマに行われたSENSORSサロン。"日本のシリコンバレー"を目指し4月オープン予定の「EDGEof(エッジ・オブ)」を会場に、公開収録形式で行われた。

4回にわたってお届けする第3弾記事では、ライブコマースで"1人勝ちする"菅本氏が「成功のカギはコミュニティづくりにある」と語り、ゲストとMCそれぞれのコミュニティ=オンラインサロンの特徴について意見が交わされた。それぞれのコミュニティがモチベーションに溢れる理由とともに、MCとゲスト自身のモチベーションの源泉についても探っていく。

※当記事は2018年2月に行われたSENSORS公開収録の内容を再構成したものです


■ 「ゆうこす一人勝ち」の理由は"フォロワー目線"の情報発信

「ゆうこす」の愛称で女子中高生、女子大生から絶大な支持を得ている菅本裕子氏。彼女の主な活動拠点の1つがライブ配信で商品を紹介し販売する「ライブコマース」だ。

菅本裕子(以下、菅本):
2016年からライブコマースを始め、ほぼ毎日配信しています。今でこそライブコマースのアプリはたくさんありますが、当時はツイキャスで商品紹介をしていました。
箕輪厚介(以下、箕輪):
以前、動画メディアを運営する企業の社長とお話する機会がありました。その方は「ライブコマース業界は盛り上がっているように見えて、実はゆうこすさんくらいしか商品を売れない」と言っていたんです。いろんな方がライブコマースに参入してきているなかで、実際に購買に結び付けられる人とそうでない人の違いはどこにあるんでしょうか。
菅本:
知名度の高さよりも、フォロワーに信頼されているかどうかです。自画自賛のようになってしまいますが、私は圧倒的にどのインフルエンサーよりもフォロワーから信頼されおり、エンゲージメント率も非常に高いです。

--フォロワーから信頼されるために、どんなことに気を配っていますか?

菅本:
ライブコマースは「コメントができるテレビショッピング」です。一方的にこちらから商品を紹介するのではなく、呼びかけをしたり、なるべくコメントに返信したり、フォロワーの立場になって考えています。

また、タレントさんがAmazonで売られている商品をライブコマースで販売しても、購買には結び付きません。自分の作った商品を自分の言葉で直接届けられることに価値があります。なので、私は自分でプロデュースした商品や、自分が良いと思って買い付けてきた商品しか販売しません。最近は、自分で立ち上げたスキンケアブランドの打ち合わせ風景を生配信し、フォロワーの皆さんの意見を聞き入れつつ商品を作り上げて販売する新しい試みも始めました。

--ちなみに、ライブコマースをすることでどれくらい売り上げが上がるのでしょうか?

菅本:
以前、ホディクリームをTwitter上で販売したときは1時間で200個ほどの売り上げでしたが、同じ商品をライブコマースで販売したところ、20分ちょっとで500個以上の売り上げを記録し完売しました。書籍を出した際にも、フォロワーの質問や悩みに対して本の内容を朗読して答えるような配信を行ったら、数万部売り上げが上がったんです。
齋藤精一(以下、斎藤):
ゆうこすさんの配信はたくさんの人が見ていると思います。その中で、同じようにライブコマースを始める人もいるのでしょうか?
菅本:
何人かいます!私の活動のメソッドを教えるオンラインサロンも運営していますよ。

■ 会社よりも強い推進力「オンラインサロン」がこれからの時代の歯車になる

new_way_working3-2.jpg

齋藤:
落合さんも箕輪さんもオンラインサロンを運営されていますが、かなり数も増えているのでしょうか?
落合陽一(以下、落合):
僕のオンラインサロンは、大学の研究室ほどのコミットメントでないにしろ、学び直したい層に対して、面白かった論文などの情報や議論する場を提供しています。「情報シェア」と「セミナー」タイプのサロンです。箕輪さんのサロンは、みんながコミットしてプロジェクトを進める「アクティビティ型」でしょうか。
箕輪:
はい。僕のサロンは会社の代替、落合さんのサロンは大学の代替ですね。「アクティビティ型」サロンの良い点は、モチベーションの低い人間がいないことです。僕のサロンは月6,000円の会員制なんですが、「お金を取る」こと自体がキュレーションの機能を持っています。やる気がないのに6,000円払って残り続ける現象は起きないので、アクティブ度の違いはあっても、参加者全員が純度100%のモチベーションを持っています。
齋藤:
ゆうこすさんのサロンはいかがでしょうか?
菅本:
無料と有料のコミュニティがありますが、箕輪さんのおっしゃる通り有料会員のモチベーションはものすごく高いです。最近本を出させていただくことになったので「ゆうこす本編集チーム」を作りました。どういうことを書いてほしいか意見を聞いたり、編集してもらったり、フォロワーと一緒に本を作るプロジェクトです。

■ 「走らざるをえない」モチベーションの源泉はどこにある?

new_way_working3-3.jpg

--オンラインサロンの会員は自らお金を払い、高いモチベーションで参加されてます。みなさんのモチベーションの源泉もお伺いできますか?

落合:
変な話ですが、僕の大学教員としての原資は自分の会社から出ています。自分で稼いだお金で研究をしている、いわばボランティアです。でも、教育はやりたくてやっていることなので、給料が0円でもいいかなと思っています。趣味に本気になることは楽しいので、その趣味でいかにしてお金を稼ぐかを考えていますね。
齋藤:
「作りたいものを作る」のはモチベーションとしてありますが、クライアントの問題でも世の中の問題でも、なにか深刻な問題を解決したいんです。誰にも解けなかった「知恵の輪」を解きたい気持ちがモチベーションになっています。
落合:
すごく分かります。そもそも研究者は全世界で分からなかったことを少しずつ分かるようにしていく、知恵の輪を解く仕事です。論文を読むなかで、宇宙で誰も気づいていないようなことに気づく瞬間があります。
菅本:
私はモチベーションが下がらないんです。オン・オフの切り替えがなく、ご飯を食べている時間さえお仕事になります。言ってしまえば、生きていること自体が仕事なんです。
箕輪:
僕はモチベーションをあまり意識したことはないです。いいニュースであれ良くないニュースであれ、世の中がワッと沸く瞬間や出来事の裏には、いつも箕輪がいるとなっていたいと感じます。また、今の僕を動かしているのはモチベーションや熱狂などではなく、旗を立ててしまったから走らなきゃいけないという責任感です。

落合さんや堀江さんに会うと、会話の中に「宝」が見つかる瞬間があるんです。自分に興味がないことでも、そこに宝があると分かったら掘りたくなる。「よし!宝を見つけたからみんなで掘るぞ」って旗を立てたら、周りが動く。そうしたらもう逃げるわけにはいかない。旗を立てて走り、また旗を立てて走っての繰り返しですね。

続く最終回では、「ビジネスの現場で生き残る人」をテーマに、異なる領域で事業を展開するMCとゲストが議論を交わした。会場からの質問に対しても、それぞれの実体験と成功体験を踏まえたアドバイスが送られた。

構成:半蔵門太郎

長野県佐久市出身。千葉大学では文化人類学を専攻。
テクノロジーやインターネットの影響で様々な「境界」がなくなっていく動きに関心を持つ。
Twitter:@hanzomontaro

編集:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。修士(東京大学 学際情報学)。
Twitter:@_ryh
Mail: ry.h0508[アット]gmail.com

写真:松平伊織

最新記事