笹崎アナも挑戦!「ニコニコ超パーティー2016」の目玉、MMD・ボーカロイドライブ制作の舞台裏に潜入

2016.11.02 17:00

11月3日、文化の日にさいたまスーパーアリーナで開催されるライブイベント「ニコニコ超パーティー2016」。
会員数5000万人超を誇る日本最大級の動画サービス「niconico」最大のライブイベントだ。この舞台裏にSENSORS MCの笹崎里菜アナウンサーが潜入。実際に制作現場を体験した。

なかでも注目なのがMMD(ミクミクダンス)によるライブパート。初音ミクをはじめとする人気ボーカロイドたちが3D映像で出演する大人気ステージである。
まるで本当の人間のようなリアルな動きで見る者を楽しませてくれるMMDだが、その裏にはどんな技術が使われているのか。同イベントを主催するドワンゴによるMMD制作の現場を取材した。

■niconico最大のライブイベント「ニコニコ超パーティー」

まずは「ニコニコ超パーティー」について説明しておこう。

同イベントは、2012年からドワンゴが幕張メッセで開催しているニコニコ動画最大のリアルイベント「ニコニコ超会議」と同日開催されていたライブイベントである。

ニコニコ動画には「歌ってみた」や「踊ってみた」「演奏してみた」といったカテゴリがあり、多くのユーザーが歌やダンスなどの動画をアップしている。
中には一つの動画で数百万回も再生されるほどの人気ユーザーや、動画投稿がきっかけでメジャーデビューを果たしたアーティストまでいるのだ。

そうしたユーザーが百人以上も集結し、パフォーマンスを行うライブステージが「ニコニコ超パーティー」というわけだ。
主役はユーザーだが、イベントの演出はプロの専門チームが手がけていることもあり、メジャーアーティストのライブにも劣らない迫力満点のステージが繰り広げられている。

さらに昨年から、ニコニコ超パーティーはニコニコ超会議から独立。会場をさいたまスーパーアリーナに移し、7時間にもおよぶ公演を成功させた。今年は2回目となるさいたまスーパーアリーナでの開催となる。

そんなニコニコ超パーティーのステージパートの中でも、特に高い人気を誇るのがボーカロイドステージである。

ニコニコ動画で人気に火がつき、今や世界にその名を知られるようになった初音ミクを始め、人気のボーカロイドキャラクターたちが10名以上登場し、ステージ上で歌やダンスを行うのだ。

驚くべきは、3DCGであるボーカロイドたちの動きが非常にリアルということ。
まるで本物の人間かのようなその動きは、いったいどんな技術で制作されているのだろう。

その秘密を探るべく、ボーカロイドパートの制作を行っているという都内のスタジオに足を運んだ。

■ボーカロイドの動きはニコニコ動画で活躍する踊り手が担当

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六本木・ニコファーレ。
ふだんはニコニコ動画関連のイベントなどを開催する他、企業への貸出も行っているドワンゴ所有のライブハウスである。

メインフロアへ足を踏み入れると、そこには機材とスクリーン、そして中央には黒い服を着てダンスをしている女性の姿があった。これはいったい何をしているところなのか。

ニコニコ超パーティーのステージ演出を手がける水津大氏に話を聞いた。

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水津:
こちらはニコニコ超パーティーでのボーカロイドライブのモーション、つまり動きをとっているところです。
ボーカロイドライブのことを「MMD」ライブといいます。MMDとは「ミクミクダンス」の略で、ボーカロイドの初音ミクを始め、様々なキャラクターが歌って踊るライブ企画のことです。
MMDのダンスはアクターさんの動きをデータにして、それをキャラクターに当てはめるやり方で制作しています。

「MMD」(ミクミクダンス)は、もともと樋口優さんという方が個人で開発された3DCGムービー制作用ソフト。
最初は初音ミクを動かすためのソフトとして発表されたが、その後は様々なユーザーの協力を得てどんどん性能を高め、現在では初音ミク以外にも様々なキャラクターを動かすためのソフトとして広く活用されている。もちろん、ニコニコ動画に発表されている動画にもMMDを使った作品が多い。

ニコニコ超パーティーのボーカロイドライブでも、このMMDが使用されるが、キャラクターの動きはプログラミングではなく、人間のアクターが演じている。その理由はいくつかあると水津氏は言う。

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水津:
今、ちょうどアクターさんが動きのデータをとっているところですが、アクターさんは皆さん、ニコニコ動画の「踊ってみた」カテゴリに動画を投稿されている踊り手さんなんです。
超パーティーはニコニコユーザーが主役のイベントですから、踊り手さんにデータの形でもステージに上がってほしいという気持ちがあるんです。それに、見ている方としても「あの振り付けは踊り手さんがやっているんだ」という楽しみ方ができます。

ニコニコ超パーティーは、ユーザーによるユーザーのためのイベント。だからこそ、その中で使われる技術や演出は、ユーザーが作り上げてきたものを尊重したいという思いがあるのだ。

実際にMMDの"踊り手"を演じた二人、仮面ライアー217氏と、さっちゃそ氏は、MMDについて次のように語る。

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仮面ライアー217:
最初に(MMDを)見たとき、すごく感動したので、その中身をやれるというのは光栄なことだと思います。
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さっちゃそ:
3次元じゃできないことが繰り広げられるので悔しいけど、人間にはできないことができちゃうっていう面白さが魅力だと思います。

ニコニコ動画では、人気のボーカロイド楽曲が登場すると、それを歌い手と呼ばれるユーザーが人の声でカバーした「歌ってみた」動画が投稿されたり、踊り手がオリジナルの振りをつけた「踊ってみた」動画が投稿されたりと、様々な形でのコラボレーションがごく自然に生みだされている。

そういう意味で、「MMDの中身を踊り手が演じる」という超パーティーの演出もまた、ニコニコ動画らしいコラボレーションの一つといえるのかもしれない。

ところで、自分の動きがデータとなり、MMDに反映されるというのはどんな感じなのだろうか。

ここで、SENSORS MCである笹崎里菜アナが実際にMMDの"踊り手"を体験してみることになった。

■笹崎アナが踊り手役に挑戦!

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専用の黒い服に着替えた笹崎アナ。

まずは笹崎アナの体のデータを計測する「キャリブレーション」という作業を行う。
スタジオの周囲を取り囲むように設置されたカメラで、体全体をあらゆる角度から撮影し、腕や足、膝や肘の位置などをソフトに記憶させるのだ。

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データがとれたら、次はいよいよ音楽に合わせて動きをつけていく。
レクチャーしてくれるのは、制作チームで演出を手がける橋口雄樹氏。

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笹崎アナが今回挑戦するのは、楽曲のつなぎの部分で行われる寸劇。ボーカロイドキャラクターがハンマーを振り上げるシーンで、笹崎アナはハンマーを防御しようと両手を振り上げる動きを担当することになった。

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果たしてうまくいくのだろうか。

音楽がスタートし、タイミングを見計らって橋口氏がハンマー(実際には紙)を振り上げる。それに合わせて笹崎アナもすばやく両手を上げてガード!

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音楽とのタイミングはばっちりだったように感じたが、実際にデータとなった動きを見てみると、「もうちょっとこうした方が......」という箇所が出てきた。

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納得のいくまでアクションを繰り返す笹崎アナ。自分の動きがモーションデータとして映像に即反映されるのが新鮮なようだ。

何度か挑戦するうちに慣れてきた様子の笹崎アナ。橋口氏からも「やめて! という感じがよく出ているので、これでいきましょう」とお墨付きが出た。

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こうしてキャプチャーされたデータをキャラクターに当てはめ、細かく編集することで、音楽とシンクロする迫力たっぷりのライブステージが出来上がるというわけだ。
笹崎アナによるこの挑戦は実際当日の演出としても使用予定。是非会場で楽しんでほしい。

■ユーザー目線での演出にも注目

MMDダンスの動きに目を奪われそうになるが、超パーティーの見どころはそれだけではない。
楽曲のアレンジや、ステージで展開されるストーリーも注目すべきポイントである。

水津:
演出チームとしては、この演出をしたらユーザーさんはどう思うだろうかとか、この曲を歌わせたら喜んでくれるだろうかとか、そういったことを重視して演出を作っています。
チームにはユーザー出身のメンバーもいるので、そういった人の意見も聞きながら進めています。ただ、それで100%ユーザー目線になれるかというと、そうではありません。メンバーの意見も聞きつつ、今の時代に合った答えを出すというのが、僕らが大事にしているところです。

ボーカロイドライブは、7時間の超パーティーの中でも40分弱の尺を占める重要なパートだ。会場、そしてニコニコ生放送で視聴しているユーザーからの反響がもっとも大きいであろうステージということもあり、制作チームのプレッシャーも相当なものだろう。

それでも水津氏は、「皆さんも期待しているところだと思うので、期待に応えたい」と自信をのぞかせる。

さいたまスーパーアリーナという最高の舞台で、初音ミクらバーチャル・シンガーたちはどんなステージを見せてくれるのだろうか。「リアルチケット」(会場)はSOLD OUTだが、発売中の「ネットチケット」では生放送から楽しめる。

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取材・執筆:山田井ユウキ

フリーライターとして、IT・エンタメ・料理・BLなど幅広いジャンルで執筆。著書に『サイバー戦争』(マイナビ新書)『ネット歴12年のぼくがブロガー⇒ライターになったワケ』(eロマンス新書)など。Twitter:@ cafewriter

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