エキスパートに聞くInstagram活用術〜クリエイティブディレクター ナカヤマン。編

2015.10.14 10:00

2015年9月、ユーザー数が4億人を突破したInstagram。Twitter(3億1600万人/2015年第2Q)のユーザー数をも超えた。今年は日本での広告取り扱い開始も話題に。開設5周年(2015年10月)を迎え、企業・個人ともに活用の人数・幅が広がり、注目が集まっている。SENSORSでは、Instagram活用のエキスパートと言える方々に話を伺った。

Instagram活用術インタビュー・第一弾は、株式会社 ドレスイング 代表のナカヤマン。(文中「NKYMN」)さん。特設サイトにInstagramの投稿をまとめてECに直結、多い時にはマスブランドGUのオンライン売上げの2割を担うまでに成長している話題のキャンペーン「GU TimeLine」など、メゾンブランドからリアルクローズブランドまで数々のマーケティングコミュニケーションを手がけている。今様々な企業が注目する理由や、Instagramを使いこなすユーザーの意識などについて語って頂いた。
聞き手は、「編集者」目線での発信を模索すべく自身でもアカウントを活用中、タレント&エディターの坪井安奈。

■プリクラ帳のSNS化が、Instagram

坪井:
今Instagramが注目されている理由はなんでしょうか?
NKYMN:
キーワードは二つあると思います。
一つ目は「フォロー」。ブランドには、ファン構造を可視化する非対称の関係が必要です。それが「フォロー」ですね。
二つ目は「写真」。これだけたくさんの情報があると、どれだけひとつの情報を早く消化するかが大事です。そんな中、写真はだいたい0.5秒で情報の消化ができると言われています。Instagramにはこの両方があります。
instagram1.png
坪井:
そうなると、どういった写真を投稿するかが大事になってきますよね。どういった写真が良いでしょうか?
NKYMN:
届けるターゲットによって変えた方が良いですね。トレンドを見せる、コーディネートを見せる、インフルエンサーを見せるなど、ターゲットによってやり方は変えています。もちろんどんなケースでも写真のクオリティは担保したいですが。
坪井:
視覚的要素が強いということは、やはり「ファッション」の分野は親和性が高いでしょうか?
NKYMN:
そうですね。やはりファッションは、相性抜群です。あと、クライアントには「プリクラ帳のSNS化が、Instagramである」という話をよくします。「ただの写真SNSと考えると分からなくなりますよ」と。自分の写真を当たり前に友達に見せるのがプリクラ帳。ある意味では「自己顕示欲や、承認欲求の塊」です(笑)。その行為をSNS化していろんな人とつなげるようにしたのがInstagram。どれだけ「盛れる」かを競い合い、楽しんでいるのです。プリクラだと目を大きくしたり、顔の構造を変化させて盛ります。 Instagramの場合は写真のフィルターで盛ることから始まり、コーディネート、オケージョン、ライフスタイルも含めて盛るところまで進化を遂げています。 
坪井:
写真自体のクオリティが問われるとなると、ファッション関連のイベントのような華やかな場なども相性が良いですよね。
NKYMN:
そうですね。レセプションの企画も写真をアップされることを前提に構築され始めています。いくつ写真が上がるか、誰がアップするか、どう写るか、その辺りを想定して作っていくことはもう一般化していますね。
insta2.png

坪井:
他にはどんなジャンルと相性がいいと思われますか?
NKYMN:
生活の中でビジュアル化出来るものはおおよそ可能です。家具だったり、料理だったり、テーマパークだったり、公園だったり。そういったマーケットは取り入れられると思います。
坪井:
活用例としてはどのようなものがありますか?
NKYMN:
購入までの導線を作ったという点では私もご一緒させて頂いたGUさんのGU TimeLineですね。購入ではなく、興味喚起に集中した意味ではIKEAさんの事例は面白いです。例えば椅子と棚とテーブルがあるという写真から、椅子だけアップされているアカウントと、棚だけアップされているアカウントと、テーブルだけアップされているアカウントにリンクが張られているんですよ。立体的なカタログとも言えます。
坪井:
Instagramを使ったマーケティングでは、どのような点を意識していくべきですか?
NKYMN:
一つ目は、リーチの向上です。フォロワー数が多い人を巻き込んだりとか、最近トレンドになりつつあるRegram、いわゆるTwitterで言うRTで拡散させることもリーチの向上にあたります。
二つ目はクオリティの向上。例えばハリウッドスターやスーパーモデルを絡めたり。いわゆる一枚の写真へのロイヤルティを高める工夫です。
三つ目はスキームの向上です。Instagram「を」どう使うか。例えばGU TimeLineの様に、Instagramの機能を生かしつつも「買える様に変化」させるという意味です。
坪井:
企業やブランドのTwitterアカウントのフォローとInstagramのフォロー、違いはありますか?
NKYMN:
ファン意識の表れという意味では大きく違いはないです。ただファッションブランドのファンは、Instagramでは、セールの告知画像よりも、そのブランドの雰囲気や世界観を見たいと思います。
坪井:
「世界観を表現する」というと、例えば雑誌にも近い部分もあったりするんでしょうか?
NKYMN:
雑誌はまず雑誌のブランディングがあって、それ自体にファンが付いています。ブランドAでもブランドBでも、その雑誌のフィルターを通してブランドを見せるのが雑誌です。
逆にそのフィルタをすっ飛ばすと何が見えてくるのかが、Instagramの一つの面白さだと言えます。
insta3.png

■Instagramを使いこなす世代こそが「SNSネイティブ」

坪井:
個人のブランディングとして積極的にInstagramを活用している方もいらっしゃいますよね。
NKYMN:
写真を見せた瞬間にXXに行ってたんですねとか、XXを食べたんですねとか、ライフスタイルが一目でわかりますよね。Facebookの友達とは違う意味で、もっと自分をカルチャー的に知ってもらえるのかなと思います。それがある意味、名刺代わりになるのかもしれない。
坪井:
若い方でも使っている方が増えているというのは、彼らが文章より、写真を好むということもあるのでしょうか?
NKYMN:
若者が長文を読まないとネガティブな意味でよく言われるじゃないですか。僕はむしろ退化ではなく進化だと思っています。社会の情報量の増加に適応して、膨大なショートコンテンツの取捨選択に十二分に適応している。その逆の行為がロングコンテンツを読まないという行為なだけ。5年後には彼女たちの方がスタンダードですよ。
坪井:
Instagramをごく自然に使っているような世代に、どのような可能性を感じますか?
NKYMN:
ある意味、ここからがSNSネイティブかなと思っています。
坪井:
「デジタルネイティブ」とはまた違う「SNSネイティブ」...?
NKYMN:
そうですね。デジタルネイティブというのはある意味変化するデバイスと、そこに最適化された閲覧、要は「ツールへの適合」の意味合いが強い気がします。 SNSネイティブは、個人発信も当たり前な時代の膨大な情報量に対応した人種。情報の流量が急激に上がっても、当たり前の様にさばいてしまう適合能力を、最近のインスタグラマーを見ていて感じます。オジサンは世代交代を覚悟した方が良いですね(笑)。 

次回は、アパレルブランド「FIG&VIPER」クリエイティブディレクター 植野有砂さん。積極的な投稿を通して海外との接点を広げている植野さんのInstagram活用術とは?(近日公開予定)

聞き手:坪井安奈

タレント&エディター / SENSORS Fashion Editor
学生時代はNYでの出版社インターンを経験。新卒で小学館に入社後、ゲーム会社・グラニにてIT業界誌『グラスタ』編集長。編集者としての活躍のみならず、番組やイベントMC、映画やMV出演等のタレント活動を行う。SENSORSでは" Fashion Editor"として「ファッション×テクノロジー」の現場を取材。
Twitter:@anchuuuuuuu
Instagram:@tsuboianna

構成:市來孝人

SENSORS WEBエディター
PR会社勤務ののち、かねてより旅行でよく訪れていたロサンゼルスに在住。帰国後、福岡やシンガポールのラジオDJ、東京でのMC・ナレーター、ライターとして等の活動を経てメディアプランナーとして活動中。また、タレント・企業トップなど個人に特化したPR・ブランディングにも携わっている。

Twitter:@takato_ichiki
Instagram:@travelling_la

最新記事