IT企業勤務から旅作家に転身し世界50カ国へ・小林希さんが見る景色

2016.04.06 20:45

先月、『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』を上梓した、作家・小林希(こばやし・のぞみ)さん。実は小林さんは、作家としての活動の前はIT企業の出版事業で編集の仕事をしていたという経歴の持ち主。小林さんが作家として活動するようになったきっかけや、世界を回って感じていること、旅先で本当に役立つアプリ・サービスまで、お話を伺いました。

小林希(こばやし・のぞみ)さんは新卒でサイバーエージェントに入社し、アメーバブックスにて多くの書籍を編集。2011年末に退職し、その夜に一眼レフカメラとバックパックを背負って一人旅へ。その後アジア〜ヨーロッパを中心に一年間世界を周り、うちアジアを旅した三ヶ月の模様が描かれた『恋する旅女、世界をゆく―29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫・2014年)で作家デビュー。 IT企業に就職したのちに独立し"旅作家"へと転身したその理由と、世界約50カ国を回って感じた便利なサービスなどのtipsまで、お話を伺いました。

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--退職して、旅に出ようと思った理由は何ですか?

小林:
20代は7年間のOL生活を楽しみ、仕事もある程度色んなことをやらせて頂いて、職場も仲が良くて、満たされてはいました。ただ、29歳を前にして「このままでいいのだろうか」という気持ちが募ってきました。とにかく周りに流されるように生きていたと思うんです。充実した生活の中心が空洞みたいな気がしました。そんな時、同期女子三人でチュニジアに旅行する機会がありました。バックパックを背負って回るその時間が心から楽しくて、「空洞」を埋めてくれるような「確かさ」がありました。一度生き方を変えようと思ったのが旅に出た大きな理由だと思います。
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小林さんは中学生の頃に父親がフィリピンに赴任になり、何度か現地を訪れていたといいます。その時の光景が「世界はこんなに違うんだ」と強く印象に残り、「"つまらなかった"小学生時代から、世界を知ることで人生に彩りを感じられるようになりました。なので、旅に出るのは自然のことだったのでしょう。その"出る"と決めた時が2011年の29歳の時だった」と語ります。

■書くことで、旅の意味を消化する

デビュー作『恋する旅女、世界をゆく―29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫・2014年)を含め、これまで出版してきた著作は4冊。そして、2016年3月、新作『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)を上梓。これまで50カ国ほど回ってきた中の14ヶ国で体験した、22の実話を綴った一作です。

--元々、旅先での様子は書籍の出版が決まる前から書き記していたのですか?

小林:
バスや電車での移動中に、最初はスケッチブックで描いていたんですが、アウトプットする時間がインプットに追いつかなくなってPCで書くようになりました。写真も撮っていたので、日記とあわせるとかなり思い出されます。

--カメラやPCなど、機材へのこだわりはありますか?

小林:
カメラは一眼レフだけど、最近は動画も写真も高画像で撮れるLUMIX GH4を使っています。Wi-FiでiPhoneにも飛ばせて、旅先からInstagramにアップしたりするので、臨場感があっていいなと思います。パソコンは書くこと重視なので、やはり軽くて打ちやすいMacBook Airをずっと使っています。
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--旅の経験を書き残していく意義、という点はどのように考えていますか?

小林:
旅を消化させて、いっそう旅の意味を深めてくれる作業だと考えています。ただこれまではそれで満足していましたが、今はたくさんの方が本を読んだ感想をくださって、その度に自分の旅をもっと伝えたい、旅によって得られる感動や発見を皆さんにアウトプットしてお届けしていきたいと思うようになりました。

--新作『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』への思いを聞かせてください。

小林:
今作では色んな国での人との些細な出会い・出来事を綴っています。私が旅に出るのは何か大げさな理由があるわけじゃなく、様々な人間ドラマに触れたくて、旅をしているんですよね。人の優しさに触れたり、世界は捨てたもんじゃないなと思ったりすることで、自分の中で泣きたくなるような感情がでてきたりします。そのとき、生きている実感を感じるんですね。そんな体験が旅先には溢れているんです。
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■世界50カ国を回って感じた、本当に便利なアプリ・サービスは?

小林さんは、旅の間は現地で見える景色を焼き付けるべく、Instagram(@nozokoneko)以外は頻繁にSNSやブログを更新することはないそう。PCやモバイルの出番は、情報のシェアというより、もっぱら現地の情報収集。世界約50カ国を回る中で重宝したアプリやサービスとは?

小林:
一番使っているのは、オフラインでも見ることの出来る地図アプリ「MAPS.ME」です。何ヶ国も回っていると通信環境に苦労することが多いので、オフラインで見ることが出来るという点がすごく大事になってくるんです。例えば、宿泊先などの情報を比較出来る「トリップアドバイザー」はバルセロナやパリなど、一部の都市によってはオフラインで閲覧出来ますよ(編注:オンライン環境で事前に情報をアプリにダウンロードしておく形)。

「旅先で出会った猫」に特化した本を出版するほど猫好きの小林さん。滞在先での猫との触れ合いも重要なポイントだそう。

小林:
最近はAirbnbをよく使っていますが、物件で「猫がいるかどうか」を書いているユーザーがすごく多いので、重宝していますね。「ペット」欄に「猫」と書いていれば、間違いないです。たまに、猫の写真を載せているホストもいます。
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そんな小林さんが今欲しいアプリ・サービスは現地の言葉やコミュニケーションに関するものだそう。ローカルに足を踏み入れるという旅のスタイルなので、やはり「言語の壁をとっぱらいたい」とか。 彼女の旅先で見る景色を一緒に楽しみたいという方は、Instagram(@nozokoneko)も要チェックです。

写真提供:小林希さん

取材・文:市來孝人

SENSORS.jp 副編集長
PR会社勤務ののち、かねてより旅行でよく訪れていたロサンゼルスに在住。帰国後、福岡やシンガポールのラジオDJ、東京でのMC・ナレーター、ライターとして等の活動を経てメディアプランナーとして活動中。また、タレント・企業トップなど個人に特化したPR・ブランディングにも携わっている。
Twitter:@takato_ichiki / Instagram:@takatoichiki

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