「フェイスブックポリス」作者 "かっぴー"に聞く、執筆のきっかけと伝えたいメッセージとは

2015.10.27 14:30

ソーシャルメディア界に彗星のごとく現れた漫画「フェイスブックポリス」。「めも」や「あとで読む」として記事をシェアするだけの投稿を、本を買って読まずにしておく様に例えた「積ん読」をもじって「罪名 ソーシャル積ん読」としたり、アーリーアダプターがシェアした記事を、さも自分が見つけた記事のふりをしてシェアする投稿を「罪名 虎の威のまた借り」とするなど、Facebook上でのあるあるネタを斬っていく。

現在この漫画のシェア数は10,000に迫る。さらにWEBメディア・kakeruにて「SNSポリス」として連載がスタート、サントリー「金麦」のキャンペーンに起用、ファッション誌「CHOKi CHOKi」公式ブログで連載がスタートと、「フェイスブックポリス」公開から一ヶ月程度にして、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
そんな中で、そもそも何故「フェイスブックポリス」を描くことにしたのか。そのきっかけが知りたくなった。作者の"かっぴー"さんこと、伊藤大輔さんは、実は面白法人カヤックでWEBディレクター・プランナーとして働いている。カヤックのオフィスにお邪魔し、お話を伺った。

■自分が見た・体験したネタだけを描いている

--まず「フェイスブックポリス」を描くことにしたきっかけは何ですか?

伊藤:
会社で全社員に宛てに日報をメールするんですが、転職してきたばかりだから覚えてもらおうと思い、勝手に漫画を添付して送り始めたんです。そうするとウケて、「これ公開した方がいいよ」と言われるようになったのがきっかけです。

--元々、漫画はよく描かれていたんですか?

伊藤:
小学校の頃にルーズリーフに描いて、友達に回して見せていた位です。どちらかというと映画の脚本を作りたいと思っていました。就活の時は「話を作る」という軸で放送作家と広告代理店で迷って、広告代理店にアートディレクターとして入り、その後カヤックに転職したというのが経緯です。

--作中に出てくるネタは「あるある」と思える、具体的なものですよね。どうやってネタを選定しているんですか?

伊藤:
自分が見たもの・体験したものだけを描いています。「みんなにとってあるあるになるか分からない」というものをどこまでビビらずに出来るか、ということには挑戦していますね。ネット上のまとめや2chを見たりして、どんどん「みんながわかることだけにしよう」とビビっちゃうと面白くないですし、趣味でWEBに漫画を出すようになったという経緯からの、攻めの姿勢は忘れないようにしたいなと思っています。

--家入一真さん、イケダハヤトさん、はあちゅうさんなど、ネット界の有名人の方もどんどん登場させている点も、話題になっていますよね。

伊藤:
カズキ(カズワタベさん)など、元々仲良い人も出ているんですが、実はほとんどの方を直接は知らなくて。でも皆さんのファンなんです。リアルでの絡みがない方を登場させることはどこかためらいがあって...でもはあちゅうさんとはすごく対談したいと思っています(笑)。やっぱり人って会ったらまた違う引き出し方があるじゃないですか。

そもそも、ネット界の有名人、例えばはあちゅうさんも、電車で前に座っている人もそう。ずっと「人」に興味があるんです。

■「人」への興味と、大学時代に挫折した経験

--「人」のどういう点に興味があるのでしょうか?

伊藤:
人の行動を見て、突っ込むのが好きで。実は僕自身SNSめっちゃ詳しいわけでもないですし、「フェイスブックポリス」というのもSNS漫画というより、人のあるある漫画なんですよね。「営業の若手がいいね!を一杯押しちゃう」とか。

人に興味がある中で、特に人のカッコ悪いけどでも憎めないところが好きですね。SNSの世界って、カッコつけようとしてカッコ悪くなっている最高峰の存在だと思っています。だから面白い。そういったSNSからから浮き彫りになる人のカッコ悪いところがすごく好きで、本質的な人間の奥深い部分だと思うんですよね。もちろん、僕自身もカッコつけちゃうし、そのカッコつけることはダサいということが分かっているからこそ描ける。自分がダサい限り、続けられる内容です(笑)。

--そういった、ダサさを認めることを出来るようになったきっかけはありますか?

伊藤:
大学1、2年生の頃、かなりの挫折をしまして...美大生によるフリーマガジン「PARTNER」を編集長として創刊させたのですが、全然うまくいかなかったんですね。

--うまくいかなかった、というのは?

伊藤:
雑誌としてはとても良いものが出来たんですが、当時、僕のやりかたがわがまま過ぎたんですね。「全部俺がやるから」というタイプで、あまりメンバーのことを汲み取れなかったんです。そのときは本当にへこみましたね...それまではいきって「もう俺、結構美大では名が知れてるからさ」という感じだったんですが、参加してくれたメンバーが優秀だったからこそ出来た。そこで自分がダメだということを素直に認められるようになったというか。

多分、誰でも勘違いってすると思うんです。自分の場合はそれを勘違いと分かるタイミングが大学生という遅いタイミングだったから、その分相当なインパクトがあったんですね。「うわー、ダサかったな」って強烈に思いました。それからは誰よりも自分のことをダサいと思っているんですよ。

「フェイスブックポリス」に込めた思いとしては、どんな人もダサいエピソードを持って生きている。でもそれを見ないようにしている人もいる。でも、それを敢えて直視してギャグにして笑い飛ばせると、なんか楽しいじゃないですか。そんなことなんです。

--では、漫画に出てくる行動をしている人をけなしたい、というわけではないんですね。

伊藤:
そうです、むしろ「このダサさってかわいいですよね」と伝えたいんです。だから、SNSで反応をチェックしていて一番ショックなのが「マジわかる、こういうの超嫌い」みたいな反応ですね(笑)。本気で捉えるのではなく、そういうダサさが好きなんです。

ホントにディスっちゃうと笑えないんですよ。実は「めっちゃキレる人伝説」という漫画を「フェイスブックポリス」の前にアップしていたんですが、こちらは例えば「飯の最後の一口を食べている時にすっとお皿を下げられる」とか、僕が本当に怒っていることをネタにして描いているんです。本当に怒っているから、これは面白くなくて(笑)。やっぱり本気で怒るのではなく、ダサさを認めることの方が、漫画としても面白いんだなと。

fb4.JPG"かっぴー"さんこと、面白法人カヤック WEBディレクター・プランナー 伊藤大輔さん

■漫画が有名になることで、今後のキャリアにどう活きていくか

--「フェイスブックポリス」で一躍脚光を浴びて、色々な仕事のお話が来たりというタイミングだと思いますが、伊藤さんご自身の今後のキャリアに、今回の漫画はどのような意味合いを持ちそうですか?

伊藤:
「漫画が面白い」という印象から、「かっぴーが面白い」と言われるように頑張っていきたいですね。自分自身がコンテンツとして面白い存在と思ってもらえると仕事にも活きますし。母校でもある武蔵野美術大学の卒業生でリリー・フランキーさんがいらっしゃいますが、彼は俳優だしイラストレーターだし小説も書いているし、でも、肩書きって何だろうって考えた時に「リリー・フランキー」なんですよね。次元は違いますが、目指すべくはそんな「なんか分からないけれど面白い」という存在になりたいですね。

今回、「金麦」プロモーションサイトでのタイアップや連載のお話も頂く中で気づけて良かったのは、お題があって、そのお題に対してあるあるネタを思い出して構成していくという作業は、本業の広告も、漫画も、共通することだなということです。

--今後こんなことをやってみたい、というものがあれば是非教えてください。

伊藤:
これから実際に取り組みたいと思っているのが、映画の脚本になるような漫画を描くことです。映画一本分がその漫画で言うとどのくらいの量になるかを計算して、かつ泣ける話を書き始められたらと。

その他にも、やっぱり「人」や、「コミュニケーション」をネタにするのが好きなので、そういったテーマでの漫画はもちろん、アウトプットとして僕自身が想像もつかないようなお題を振って頂いたら、是非応えられるように頑張りたいと思っています。

伊藤さんの「けなしたいのではなく、そのダサさが好き」という価値観と、その考えに至った背景を伺った。「フェイスブックボリス」を読んで、自分や周囲の行動で「あるある」と思った方も多いはず。それを笑い飛ばすことで、またちょっと日常(SNS上も含めて...)が豊かになるかもしれない。
「SNSポリス」連載など、伊藤さんの新作情報はTwitterアカウント「かっぴー(SNSポリス)」@nora_itoでも要チェックだ。

取材・文:市來孝人

SENSORS Managing Editor
PR会社勤務ののち、かねてより旅行でよく訪れていたロサンゼルスに在住。帰国後、福岡やシンガポールのラジオDJ、東京でのMC・ナレーター、ライターとして等の活動を経てメディアプランナーとして活動中。また、タレント・企業トップなど個人に特化したPR・ブランディングにも携わっている。

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