チームラボ・猪子寿之氏に聞く テクノロジー×アートは、未来に何をもたらすか

2015.01.17 19:28

プログラマエンジニア・数学者・CGアニメーターなど様々な分野のスペシャリストが集まるウルトラテクノロジスト集団、チームラボ。現在、日本科学未来館(東京)では、これまで発表してきたアート作品と遊園地を一度に体験できる世界初の企画展『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』を開催している。
テクノロジー×アートの世界で話題を集めるチームラボが目指す未来とはなんなのか。その展望を、代表である猪子寿之にSENSORS編集部が迫った。


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子どもの創造性を高める「学ぶ!未来の遊園地」


■アートは最も不要なものであり、最も人生を豊かにしてくれるもの


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チームラボ 代表 猪子寿之氏 


-- 子どもの創造性を高める「学ぶ!未来の遊園地」というのが企画展の中にありますが、そもそも猪子さんが教育に興味を持ったのはどうしてでしょうか?

猪子:きっかけは、2012年に国立台湾美術館で大きなチームラボ展をやった時のこと。権威的な美術館なのに、子どもがワー!って騒いでいた。聞いたら、実はアジアの多くの美術館は週末になると子連れだらけになるらしいんです。それは多分、親が、子どもにアートに触れて欲しい想いがあるんじゃないかって。


アートは世の中にとって最も不要なものだと思うし、何の役割も果たさない。けれども、最も人生を豊かにしてくれるものだとも思う。どうせ、今の小学生が僕と同い年になった時には、僕らが絶対想像しないような仕事が
いっぱいになっている。だったら、今はアートに触れて騒いでいいし、それがきっと、社会の未来につながると思うんだよね。


■"街 一個がアート"をつくりたい。


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昨年9月にハウステンボスとコラボした作品。運河沿いの木の近くを人が通ると、それをセンサーが察知し、光の色が変わり、音が鳴り響く。各照明はコンピューター制御されており、自身の状態を他の照明に伝えて光をコントロールする。


-- 今後創ってみたいモノとかあるのでしょうか。

猪子:とにかく大きいものを作りたいよね。お台場全部くらいの大きさの。街 一個がアート作品みたいな。


都市の中にアートがあるのではなく、都市の"ある部分"が"そのままアート"ということがデジタルによってあり得る。公園の中に彫刻があるのではなく、公園そのものがアート。ハウステンボスとコラボしたものは、運河が一個のアート。運河の機能はそのまま。それが延長すると街が一個、街の機能を持ったまま一個のアートになる。そういうのをやりたい。


■人類の未来をオリンピックで展示する


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猪子氏のオリンピック構想。聖火が近づくと、それぞれが持つライトが連動し、光がカラフルに彩る。デジタルの力で東京の街全体が一つの大きなアートに変わり、世界に向けてオリンピックを街ぐるみで盛り上げることが出来る。更に競技の様子は、街中に実物大で中継され、選手の跳んでいる高さをリアルに感じられるという。


-- 猪子さんはよく世界各地で展覧会を行いますが、なにかそこで感じることはありますか?

猪子:アジアに行くと「Japan is past. 」と言われる。


2020年にオリンピックがあるのであれば世界中が注目する訳でしょ? その時にやっぱり「日本は終わった国だ!」「20世紀の国なんだね!」と全員が認識したら2020年以降、本当に終わった国として扱われると思う。


だから、人類の未来をオリンピックで展示すべきだよね。そうすれば、リスペクトしてくれるし、日本はまだ未来だと思ってもらうことができる。大好きになってくれるし、今後も付き合おうとしてくれるよね。



今までアートは、なかなか一般人には理解出来ない高尚なモノのように思っていた。しかしながら、理解できなくて役に立たなくても、「人生を豊かにしてくれるモノ」というのは真実であり、それだけでいいのだと、猪子氏のインタビューを通して感じた。

かつては「技術大国」と呼ばれ世界を圧倒してきた日本。来る2020年、今度はその技術がアートや日本文化と融合し、再び世界中の人々を魅了していくのだろう。


(SENSORS編集部)


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