新聞社からベンチャーへ 「Repro」マーケター 伊藤直樹に聞く世界のアプリ市場

2016.04.28 09:30

アプリ分析・マーケティングツール「Repro(リプロ)」は先月3億円の資金調達を行い、米国進出を目指している。今回話を聞いたマーケター・伊藤直樹氏は、Reproにジョインする前まで朝日新聞に勤めていた。大手企業からベンチャーに飛び込もうと思ったきっかけ、『朝日新聞デジタル』ディレクター経験が現在どのように生かされているのか、現在注力しているオウンドメディア『グロースハックジャーナル』について話を伺った。

Google Analyticsをはじめとした分析ツールやプッシュ通知を行うことができるマーケティング支援ツールは国内外に多数存在する。「Repro」の強みは定量・定性的な分析、さらにはプッシュ通知までをワンストップで提供することだ。①アナリティクスでアプリから離脱したユーザーをターゲティング、②ターゲットに応じたプッシュ通知やアプリ内メッセージを作成、③メッセージを送って定着率や課金率を改善する3ステップでグロースハックを下支えする世界唯一のツールだ。

伊藤直樹氏:新卒で朝日新聞社に入社。デジタル部門で朝日新聞デジタルのディレクターを2年半務めたのち、2016年1月よりReproにジョイン。

■朝日新聞から「Repro」マーケターへ

--前職は朝日新聞ということですが、どういった経緯でReproにジョインされたんですか?

伊藤:
もともと『朝日新聞デジタル』のディレクターとして、サイトやアプリの改善を行っていました。最初に「Repro」を知ったのも業務でアプリ分析のツールを探していたときなんです。自分が感じていた課題を解決するプロダクトだと思いましたし、最初から世界を目指している方向性も魅力に感じました。

--「Repro」ではどういった仕事をしているのですか?

伊藤:
メインのミッションはオウンドメディア『グロースハックジャーナル』の運営を通じたReproの潜在顧客開拓です。現在は海外のモバイルマーケティングに関する記事の翻訳コンテンツが多いですが、今後はReproが持つノウハウを伝えるオリジナルコンテンツを増やしていきます。

伊藤氏が中心となって運営されている『グロースハックジャーナル』。モバイルマーケティングの最新情報を発信している。

--『グロースハックジャーナル』は現状どういった目標を設定しているのですか?

伊藤:
オウンドメディアなので主な目的はReproの潜在顧客にリーチし、彼らをリード顧客にすることなのですが、メディアそのものでいうとモバイルマーケティングでいう『ferret [フェレット]』さんのような存在を目指しています。『ferret』さんはWebマーケティングに関する情報を体系立てて発信されているのですが、Webマーケターの多くがチェックするメディアになっています。僕らも『グロースハックジャーナル』を通じて、モバイルマーケティングの大衆化を目指していきたいです。

■コンテンツマーケティングのプロとして、世界のアプリマーケティング市場に挑む

--『グロースハックジャーナル』でも扱う「グロースハック」について、伊藤さんはどのように捉えていますか?

伊藤:
「マーケティングとどう違うのですか?」とよく尋ねられるのですが、僕の中での答えは"データドリブン"か否かと、プロダクトの改善も含んでいるか否かが大きな違いだと思います。何かを改善するにしても、まずは最重要となる指標を(KPI)決め、プロダクト自体の改善も含めて施策を考えるのが「グロースハック」。一方で「マーケティング」はブランディングのためにイベントを開催したりキャンペーンサイトの最適化をするなど、プロダクトの仕様変更には踏み込まない場合が多いです。
整理するとマーケターは全体から入ってプロダクトのブランドポジショニングを決め、ユーザー獲得やエンゲージメントを高めるアプローチをとるのに対して、グロースハッカーはプロダクトの現状の数字を細かく見た上で、最大のインパクトが生まれる箇所から改善していきます。

--モバイルマーケティング市場はどういった概況になっているんですか?

(資料提供:Repro株式会社)

伊藤:
現在モバイルマーケティングの市場規模は1兆円ほどなのですが、2019年には約2倍の1.8兆円規模になるだろうと予想されています。既存の競合サービスとの違いとしては、Reproは新規ユーザーを獲得するよりも既存ユーザーをロイヤルユーザーにすることにフォーカスしています。

--伊藤さん自身はどういった役割を担っていきたいと思っていますか?

伊藤:
コンテンツマーケティングのプロフェッショナルを目指しています。『朝日新聞デジタル』のディレクターをしていたときも、無料会員をいかに有料会員にコンバージョンさせるかということにチャレンジしていました。もちろん前職あっての今なのですが、当然違いも大きいです。ニュースメディアは事実があって、それをどう加工するかが問われる。一方で、コンテンツマーケティングはターゲットがあって、そのターゲットにどう届けるのかが焦点となります。

--最後に、大企業からベンチャーに飛び込むには相当決心が必要だったのではないでしょうか?

伊藤:
最後はロジックじゃなくて、迷ったら楽しい方に飛び込む方が良いという直感ですね。前職の方や家族には反対されましたが、自分で決めました。本気で世界一を目指す会社で自分がどこまでできるか試してみたかったのも大きいです。

誰もが知る大企業である朝日新聞を三年で飛び出し、アプリマーケティングの世界へ飛び込んだ伊藤直樹さん。
『朝日新聞デジタル』でディレクターを務めていた際に、アプリのDL数やDAUなど大まかな数字を確認することしかできずに頭を抱えていたという。「大企業・ベンチャー問わず、こうした課題を抱えるアプリ担当者は少なくないのではないか」と語る伊藤さんは、「Repro」という新たな会社に身を移し、今度はそうした人々の課題解決に奮闘している。 メディア自体としても認知度を広げつつある『グロースハックジャーナル』に注目をしつつ、「Repro」がアメリカ進出を果たした後、再び話を聞いてみたい。

取材・文:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。『SENSORS』や『WIRED.jp』などで編集者/ライター。『PLANETS』では構成を行う。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。東京大学大学院学際情報学府にてメディア論を研究。最近は「人工知能」にアンテナを張っています。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh

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