東京育ちの社長が起業の地に沖縄を選んだワケ『琉球インタラクティブ』

2015.12.09 15:45

「日本を代表するインターネット企業になる」

そう高い志のもと、このインターネットベンチャー企業は2009年に「沖縄」の地で立ち上がった。クリエイティブやテクノロジーを強みに、沖縄で次々と新しい取り組みを行っている「琉球インタラクティブ株式会社」。

設立当初は、クライアントへのクリエイティブ支援やシステム開発を事業の主軸としていたが、今となっては、沖縄の特産品を集めたECサイト「沖縄特産品本舗」や、「10万いいね!」を獲得する沖縄のファンサイト「沖縄Likes」、フル3Dで本格レースを楽しむことができるスマホゲーム「ダービーコロシアム」、県内企業に特化した求人メディア「ジョブ アンテナ」などの自社サービスも積極的に展開している。デジタル上のサービスだけでなく「紅芋とちんすこうのフローズンちいずケーキ」というスイーツまで開発しているという。

琉球インタラクティブ WEBサイト(http://www.ryukyu-i.co.jp/ )より

まさに総合クリエイティブ・カンパニーともいえる琉球インタラクティブ社を立ち上げた臼井隆秀(うすい たかひで)さんは、実は北海道生まれ、東京育ち。彼はなぜ沖縄に移り住み、起業をしたのだろうか。

■東京の人材獲得競争より、地方の優秀な人材を

琉球インタラクティブ株式会社 代表取締役社長 臼井隆秀さん

臼井さんは2001年にサイバーエージェントに入社し、インターネット広告事業を牽引してきた経歴の持ち主。当時の日本の「インターネットベンチャー・ブーム」を肌で体感し、その流れの中で活躍してみたいという強い思いがあった。そんな臼井さんが沖縄で起業をした理由を次のように語る。

臼井:
サイバーエージェントに入社したのも将来起業をする上で、もっとも成長できる会社だと思ったからです。その狙いは大当たりで、急成長するインターネット業界のど真ん中で、言葉で表すことができないほど濃密な経験をさせて頂きました。仕事に熱狂していて起業の予定が後ろ倒しになりましたが、30歳が近づいた時にそろそろ自分でも挑戦しなければという思いが芽生えました。どのようにして事業を成長させていくかを考えた際、インターネット分野では「優秀な人材」をいかに獲得できるかが大事になると考えました。東京で起業をすると、もちろん優秀な人材にリーチすることはできますが、GoogleやYahooといった他のベンチャー企業とも人材を取り合うことになります。自分を育ててくれたサイバーエージェントとも商圏がバッティングしたくなかったという思いもありました。

優秀な人材をいかに獲得するか。そう考えた時、東京以外で起業するという選択肢が浮上しました。各地域に点在する優秀な人材と一緒に事業をやりたい。当初は、札幌や仙台でも検討していましたが、「素直で人のよい若者が多い」ところに惹かれて、沖縄で起業することにしたのです。

琉球インタラクティブ社は宜野湾に本社オフィスを構えるとともに、宜野湾市の情報産業振興施設「宜野湾ベイサイド情報センター」の指定管理者として、ライブラリーカフェやシェアオフィスを運営。その他、石垣市に支社を開設し、琉球大学内にも産学連携の拠点としてオフィスを設置している。

■行政や琉球大学との起業家育成プログラム運営

Ryukyu Startup Challenge WEBサイト(https://www.ryukyustartup.jp/)より

琉球インタラクティブ社は沖縄の「起業家支援」にも積極的な取り組みを行っている。その一つとして琉球インタラクティブ社と琉球大学、沖縄県の産学官連携による起業家育成支援プログラム「Ryukyu Startup Challenge」。学生に対してプログラミングやデザインを習得できる講座を開いたり、過去にはクラウドワークスの吉田浩一郎氏を招いた講演会を開催している。経済産業省の平成26年度「先端課題対応型ベンチャー事業化支援等事業」の支援者チームとしても採択されている。琉球インタラクティブ社が起業家支援に乗り出す理由を臼井さんは次のように語る。

臼井:
沖縄の若者は公務員志望など安定志向が多く、起業家志望の学生はまだまだ少ないです。起業家支援をやっている目的はその状況を打破し、自分の人生は自分で決めるという起業家精神を育むことにあります。さらに、僕らが「面白く働くことができる環境」を僕ら自身でつくっていきたいという思いもあるんです。

琉球インタラクティブは沖縄に根ざしたベンチャー企業です。地域の方に支えられてきたので、地域の役に立ちたい。沖縄に起業家が増えて、新しい事業やサービスが立ち上がってくれば、沖縄自体ももっと活性化してくるし、何より沖縄で働く僕らにとっても刺激的な環境ができるんです。

まだまだ起業家の数自体は少ないというが、App Storeでの人気1位を複数回獲得したことがある「リア充絶滅(爆発)しろ!」というアプリ制作者えださとみ氏を例に、沖縄の起業家は「天才肌」が多いという。

■東京一点よりも、地方が盛り上がった方が日本は面白くなる

琉球大学で講演を行う臼井さん

臼井さんに琉球インタラクティブ社の今後を訪ねてみた。

臼井:
起業家がどこで起業をしようとも、狙うマーケットが変わらないものがあります。インターネットが当たり前になった今ならば、東京だけでなくて、もっといろんな選択肢が増えるといいと思うんですよ。沖縄には、満員電車も無く、穏やかな人が多くて、余計なプレッシャーやストレスが無く、事業に集中できる環境があるんです。

私たちは、日本中そして世界中で使われるサービスを本気でつくっています。地方で面白いベンチャーが活躍して、上場したり、誰もが知っているサービスをつくるような会社がもっともっと出てきたら、東京に一極集中している状態よりも絶対に日本が元気になる!もっと面白くなると思うんですよ。そうしたモデルケースで自ら築いていきたいですね。

沖縄を起業の地に選び、沖縄を積極的に盛り上げようとする臼井さんの目線の先にある大局観。沖縄に新しい風が吹き始めている。

取材:石塚たけろう

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。現在は面白法人カヤックにて新規事業開発に従事。@takerou_ishi

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