【さえりさん:ことばとわたしたち】#1「文章を書く仕事につきたいんです」

2016.02.04 18:45

1ヶ月でフォロワー1万人増!編集者「さえりさん」妄想ツイートの裏側にある"優しさ"」で取材を実施した、ライター・編集者 さえりさん。お話を伺う中で強く印象に残ったのは、過去も今も、"ことば"に対して丁寧に向き合っていること。そんなさえりさんが、今どのように"ことば"に向き合っているのかを探るべく、ライター・編集者として工夫していること・将来に向けて描いていることを綴る連載をスタートします。

初回は昨年末に「ライター募集の学生を1名募集することになった」というお話がテーマ。その募集を通して、"ことば"に関わりたいけれどどうしたらいいか...と考えていた、過去の自分を思い出したそう。そこで、さえりさんが今の仕事に就くまでを振り返って頂きました。


こんにちは、さえりです。
「ことばとわたしたち」という連載を始めることになりました。

初回、何を書こうかと考えていた最中...
こんなツイートをしたら、かなりの反響があって驚いた。


「文章を書くのが好きなんです」
「将来は、文章を書く仕事がしたいです」
「......でも、何をやったらいいかわからなかったんです。そこでさえりさんのツイートを見ました」

厳しめの条件を書いたにもかかわらず、たくさんのメッセージが届いた。


この時に思い出したのは、わたしもかつては表現したい。伝えたい。言葉が好き。書くのが好き。----そんな、「文章が好きな学生」だった、ということだった。

あのころ文章を書く機会といえば、日記や、その延長線上であるブログで書くことだけ。あとは拙い言葉ながら自分の心を、ぽつりぽつりとTwitterで綴っていたくらい。"言葉本"と謳う詩集を作って売ったこともあった。

ならば、仕事としてどう文章に関わるか? と考えた時に、「専業作家になりたいか?」と問われたら、そんなに簡単な道じゃないということくらいわかっていたから夢をみることさえしなかった。

「ライター」という道も頭によぎった。でもその考えはすぐに打ち消した。だって「ライター」と名乗る人たちが何をしているのか、ちっともわからなかったから。

......散々思考を練り回したのち、「"書く"を仕事にする」ことを諦め、いわゆる一般的な就職活動にも、すっかりやる気をなくした。

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Photo by さえり

何をやったらいいかわからないだけでなく、知らない世界に飛び込むことがどこか怖かったのだと思う。

転機が訪れたのは、とある出版社の社長が声をかけてくれたことだった。Facebookやブログでの投稿を見てくれていた社長から「Webメディアを立ち上げる予定だから、何か書かないか」という、ありがたいお誘いをもらった。

結局、会社の事情で「Webメディア」は頓挫したけれど、わたしはそのまま流れるように編集職についた。そこに広がっていたのは、「仕事」としての文字の世界。

----思っていたのと、全然違う。

たった1年しかいなかったけれど、毎日、人の文章を読んだ。もっと人に届けられるためにどうしたらいいかを初心者なりに頭をひねった。

そこでふと気付いた。
「わたしとことば」ではなく、「ことばと受け手」を考えていることに。

今までは、好きに書いたあとで、受け手についてようやく頭が回るというか。自分の感覚をどんな言葉に変換するのが適切か、を考えていた学生時代。
それががらりと変わっていく。
伝えたいことを相手に届けるにはどの言葉が最適かと考える時間がすごく増えた。

「必要としている人の元に、最適な形で、情報を届けたい」
"仕事としての文章"って、これが基本なんだ。

それなら頑張れる。誰かに届ける為に考えるなら、きっと昔よりはうまくやれるはず。

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Photo by さえり

その後、もっと受け手の反応を近くに感じられるWebの世界に入って、出版社時代よりももっと受け手を意識するようになった。本を手に取ってくれるかもしれない誰か、から、隣に座っている彼らへと対象が移れば、考えることも少し異なった。

彼らがどんなことを考えながら、どんな場面でこの文章を読むのか。読了後にどんな気持ちになって欲しくて、どんなコメント付きでのシェアが欲しいのか。

出版社の時とはまた違う意識が少し芽生えた。受け手を身近に感じることで、より具体的に想像する機会が増えたように感じる。

編集者として走り出したばかりのわたしに、何ができるのかまだわからないけれど、募集をかけて、熱意のある想いのこもったメッセージを読んでいるうちにわたしが伝えていける微々たる知識を少しでも伝えていけたらいいなと思った。

ライターは、好きなことが書けるわけじゃない。
主語が「わたし」ではないこともある。
でも、人に伝える為の仕事は楽しいから。
わたしもまだまだ手探りだけど、少しでも文章の周辺に居られることを、幸せに思う。

まるで"過去のわたし"...つまり、文章が好きだけど、どうしていけばいいか。そんなことを考えている人がいたら、伝えたい。
文章を書くことを諦めないで。自分の内に秘めておくだけじゃなく、外にしっかり表現していけば、きっと道は開けるはず。思った通りじゃないかもしれないけれど、『伝える』作業は思ってるよりもずっと、たのしいよ。
まずはできることから、少しずつね。

文:さえり

ライター/編集者。出版社勤務を経て、Web業界へ。人の心の動きを描きだすことと、何気ない日常にストーリーを生み出すことが得意。好きなものは、雨とやわらかい言葉とあたたかな紅茶。
メール:i.like.being.on.my.own[アットマーク]gmail.com
Twitter:@N908Sa

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