ウケるコンテンツを作る秘訣は"リアリティ"〜SENSORS SALON #6「コンテンツマーケティングの今と未来」 (2/4)

2015.06.26 20:57

6回目の開催となるSENSORS SALONのテーマは「コンテンツマーケティングの今と未来」。WEB広告においては、ターゲティングなど効果・効率を重視し成長してきた時代から、スマホならではの表現手法や、ソーシャルでのユーザーの自発的な拡散といった環境の変化を捕まえたユーザーと広告主の関係づくりを行う「コンテンツマーケティング」の可能性に注目が集まるようになってきている。今回は、様々な形で「コンテンツ」を扱うゲストの方々に、「コンテンツマーケティング」をテーマにじっくり語って頂いた。

第6回SENSORS SALON

メンバーは、LINE株式会社 チーフプロデューサー 谷口マサト氏、株式会社グライダーアソシエイツ COO 荒川徹氏、ブロガー 鳴海淳義氏、BBDO J WEST コンテンツプランナー/インタラクティブプランナー 眞鍋海里氏。モデレーターはクリエイター おいかわのりこ氏。今回の記事では、コンテンツマーケティング成功のための秘訣について伺った模様を紹介する。前回記事近づく"コンテンツ"と"広告"の距離〜SENSORS SALON #6「コンテンツマーケティングの今と未来」 (1/4)も合わせてどうぞ。

■コンテンツマーケティングにおける「リアリティー」の扱い方

--続いて、「コンテンツマーケティング」が成功するための要素について、伺いたいのですが...

谷口:
そうですね、「ウケる(かどうか)」という話と「(商品に)落ちる(かどうか)」という話が重要な点だと思うんですね。 「ウケる」話はやはりリアリティーがありますよね。「雪道コワイ」もユーザーが撮っているような話ですし、生放送で「いきなりBAN」というのもニコ生風じゃないですか。その点どう意識されているか、眞鍋さんに伺いたいです。
眞鍋:
ネットの世界は、リアルが圧倒的に強いんです。普段ユーザーがネットで見てるものってニュースだったり、友達のSNS上の近況だったり、動画などもYouTuberや一般の人が投稿してきたものでめちゃくちゃ面白いものだったりするじゃないですか?なんで、企業の広告を見てもらうためのネットに溢れてるリアルな表現を隠れ蓑的につかうというか。それと、めちゃくちゃカッコいいものとか、めちゃくちゃ作りこまれたものって、つくるのに「お金がかかる」んですよね。(笑)「雪道コワイ」は予算がほとんど無かったので、あえてプロじゃなく素人が撮ったようにしようと思ったんです。 ユーザー側からしたら、素人がたまたまハンディで撮ってた時に起こったハプニング動画を見ているという感覚ですね。
谷口:
前半がリアリティーから入って、後半、商品に落ちるためにフィクションに移っていくという手法を使われているなと思いました。眞鍋さんが手がけられた動画を拝見して我々も同じようなことを意識しているなと思ったんですよね。スマホユーザー、特に若いユーザーはその限りではないのですが、古参のユーザーといいますか、PCユーザーは時にリアリティーしか受け付けないこともある。フィクションっぽくするとはてなブックマークでの数もすごく低くなるじゃないですか。なので、出来るだけリアリティーを入れて、後半はフィクションにしていくというパターンが、私が担当している記事でも多いですね。
眞鍋:
ネットの世界だと「広告は邪魔なもの」という意識がとても強いので、最初から広告っぽいとそこで無視されてしまうんですよね。
谷口:
「作り物っぽい」と見られちゃうと、そこでまずパスされるんですよね。
眞鍋:
(そういったものは)無意識にスル―されちゃいますね。なので導入部分はあえて広告っぽくない佇まいにしてるんです。その為にリアリティーを使うという。
salon6_2_2.JPG

おいかわのりこ氏(左)、鳴海淳義氏(中)、眞鍋海里氏(右)

谷口:
一回、キリンの模型の長い首にGoProカメラを付けたコンテンツを作ったんですが、結構スベって...(笑)。出来が良すぎて、作り物感が出たんだなと後で自分で反省しました。いわゆる「B級感」というものもリアリティーの一つだと思います。だからみんな無意識なのか意識的なのか、そこは気にしていて。ユーザーって「自分側」なのか「あっち側」なのかと分けて考えているので、まずは「あなた側」にいますよと入っていかないと間合いをつめられないんですね。
鳴海:
同じように僕もブログでも何でも、記事を書くときはデジカメを使わず全部iPhoneのカメラで写真を撮っています。カメラで綺麗に写真を撮ると普通の人にとって、逆に宣伝っぽくなっちゃうんですね。「綺麗すぎて受け付けない」というユーザーの感覚はあると思います。
谷口:
謎が解けました!鳴海さんずっとグルメの記事を書いているのに、写真がちょっとな...と(笑)。
鳴海:
綺麗に撮ると、シズル感が出ないんですよ。逆にスマホで撮った感がある方がちょうどいいと思うんですよね。
眞鍋:
もしかしたらそれは「広告って嘘をついている」という受け手の感覚があるせいかもしれないですね。無意識に「広告って嘘を綺麗事のように語っている」みたいな感覚があって、だからむしろiPhoneでパシャっと撮った写真と記事を書くことで「これはリアルなんだ。本当のことを言ってるんだ」みたいな。
荒川:
(iPhoneの写真は)日常で見慣れているものだから、ユーザーとしても入りやすいんですかね。
鳴海:
僕もユーザー目線だと、食べログとかを見ていて「写真が綺麗過ぎるな」と思うとお店側からの提供写真だなと思って、そこでカットしちゃいますね。ちょいちょい下手くその方がレビューを読みたくなるんですよ。
谷口:
この間、ARuFaさんという有名なブロガーさんが「いかに汚くグルメの写真を撮るか」という記事を書いていて面白いなと思いましたね。いかに「低解像度で撮るか」という。

■商品とユーザーを繋げるコンテンツの役割

--様々なコンテンツを扱うAntennaさんとしてはいかがですか?

荒川:
色んな角度で、長いスパンで、コンテンツをユーザーに出し続けることが重要なのかなと思っています。眞鍋さんの「雪道コワイ」も、続編を色々出されているじゃないですか。そのように定期的に触れている方が、企業名を覚えていくようにはなるのかなと。Antenna内でも広告でもよくタップされる企業さんがあるんです。弊社でも、2年くらい出稿を続けて頂いているような企業さんに対してのブランドイメージなどをユーザーに調査する事があるのですが、すごくイメージが積み上がってきているといいますか、その企業の色んなサービスのことも理解されているんですよね。長い時間をかけて積み上がっていくものなのかなとも思っています。コンテンツの出し方・届け方についても、バラバラにあるコンテンツを上手く並べたり結びつけたりする事で意味合いが生まれて、自然とユーザーが入っていけるようになることもあるのでは、と思います。
谷口:
最近面白いのは、一つのコンテンツをニュース配信して終わりではなくて、そのコンテンツを経由してブランドサイトに行くという変換装置のような役割を求められるということです。その場合は長期間、そのコンテンツに誘導するネイティブ広告が配信されます。(これまでの)バナーから直接ブランドサイトに飛ぶんじゃなくて、少しでもユーザーに気持ち良く見てもらうという、その役割としての可能性があると思っています。
salon6_2_1

谷口マサト氏(左)、荒川徹氏(右)

--コンテンツによって相性の良いユーザーはいますか?

谷口:
livedoorの場合だと、男性ユーザーがメインなので自分が「面白い」と思ったままやれば比較的良いんですが、LINEだとまた違ってくるので、そこはちょっと考えを使い分けていますね。
眞鍋:
僕は基本的に、ユーザーのパワーを使って広げてもらうという考え方です。ネットの住民の方やSNSをよく使う方に、あえてウケるように作っている感じですかね。基本的にはオールターゲットで、みんなが面白いと思ってもらえるものを作りたいとはもちろん思っていますが、特に「広げてくれる」方々が反応しやすいポイントを入れていくことを意識して作っています。
谷口:
「雪道コワイ」は普遍的な要素がありますよね。「閲覧注意」なものは怖いもの見たさとしてやはり引きがあるのではないかと思います。我々もワンビジュアル・ワンタイトルで、どうクリックしてもらうか、タップしてもらうかかという点は、すごく計算します。タイトルを考えるのが、一番時間かかるんですよ。中身も最後に企業に落ちるということが多いので、飽きずに最後まで見てもらえるように、すごく考えます。
鳴海:
動画だと、得意な尺とかあるんですか?
眞鍋:
ユーザーの時間を奪っていくという意味では、短いに越したことはないとは思っていますが、そこはその時にある課題次第です。クライアントが抱える課題が短くても解決が出来るならその方が良いんですけど、もちろんそうじゃない場合もあるので。オートウェイさんでも、「雪道コワイ」は40秒ぐらいの尺ですが、去年の冬に制作した動画「ラバー」は5分弱くらいです。(「雪道コワイ」から一年経って)社名の認知はある程度取れたので、次のステップとしてもう少し深いコミュニケーションをしていきましょうという話をして制作しました。どこまでユーザーの意識レベルに浸透していけるか?が課題でした。このように役割によって時間の尺も変わってくるのかなと思いますね。一概に短ければ良いわけでもなく、何を伝えたいかと、どういう感情に刺さっていくのかというところで変わってくるのかなって。
谷口:
記事でも2ページ目まで読んでくれると、必ず最後まで読んでくれる印象がありますね。興味深いのが、PCよりスマホの方が読んでいる時間が長いんですよ。昔、「携帯小説」が流行ったこともありましたが、結構読んでくれるものなんだなと。
荒川:
最初の空気を作ってくれる、シェアしてくれるようなユーザーについて、男性・女性や世代の傾向など感じますか?
鳴海:
僕の場合は、自分と同い年位の男性頼りですね。TwitterやFacebookを通してネットをよく使う男性を頼って広まって、そのあと女性にという...そこまで広がると結構(バズとしては)デカいですよね。若い女性の嗜好は読み切れないというか。いずれにしても、まずは周りの友達や知り合いが評価してくれないと、そこから先には広がりづらいなと思っています。例えば自分のダイエットの記事をやった時は、やはり男性向けでスタートして、最終的には女性にも広がっていったんですが、いきなりは(女性には)広がらないですね。
salon6_2_3.JPG

SENSORS SALON#6 メンバー

谷口:
ターゲットに関してで言うと、今LINEの記事を考えているので、「子供向け」をどうするのかっていうのは課題なんですよ。

--そういったユーザー層が多いんですか?

谷口:
もちろん大人も多いんですが、子供のユーザー層もいるので。アニメ風にしてしまったり、情報量を減らして分かりやすくしたりといったところを今挑戦しています。
鳴海:
何歳ぐらいのイメージですか?
谷口:
できれば4歳ぐらいからです。その位の年齢でも分かるようなものではないといけないので。例えば写真ばっかりだった記事に、今後はキャラクターをもっと使っていこうとしたり。 キャラクターの力って強いと思うんですが...ネットってなんで単発記事が多いのかなと考えると、それはキャラクターが立ってない記事が多いからだなと。キャラクターが立つ記事が増えれば、ちゃんとシリーズ化出来ると思うんですよ。今コンテンツを作るにあたって問題なのは制作費の安さと連載感がないという点ですから、それをこれからどう増やしていくかが課題ですね。

さらにこの後、コンテンツのこれからの「表現方法」についての話題に。その模様は次回記事でお届けする(記事3/4に続く)。

構成:市來孝人

SENSORS.jpエディター
PR会社勤務を経て、東京を拠点に「SENSORS」等のWEBメディアでのライター・エディターとして、また、MC・ナレーターとしても活動。福岡でラジオDJとしても活動中。

最新記事