秒速で消費されるコンテンツ、ユーザーの心を動かす秘策とは?〜SENSORS SALON #6「コンテンツマーケティングの今と未来」 (3/4)

2015.07.05 12:00

6回目の開催となるSENSORS SALONのテーマは「コンテンツマーケティングの今と未来」。Web広告においては、ターゲティングなど効果・効率を重視し成長してきた時代から、スマホならではの表現手法や、ソーシャルでのユーザーの自発的な拡散といった環境の変化を捕まえたユーザーと広告主の関係づくりを行う「コンテンツマーケティング」の可能性に注目が集まるようになってきている。今回は、様々な形で「コンテンツ」を扱うゲストの方々に、「コンテンツマーケティング」をテーマにじっくり語っていただいた。

第6回SENSORS SALON

メンバーは、LINE株式会社 チーフプロデューサー 谷口マサト氏、株式会社グライダーアソシエイツ COO 荒川徹氏、ブロガー 鳴海淳義氏、BBDO J WEST コンテンツプランナー/インタラクティブプランナー 眞鍋海里氏。モデレーターはクリエイター おいかわのりこ氏。今回の記事では、コンテンツマーケティング成功のための秘訣について伺った模様を紹介する。

 

■一瞬で移り変わる!?バズる記事タイトルのトレンド

--コンテンツの表現方法は、どのように進化していくでしょうか?

谷口:
「0.5秒以内で分かるようにする」と考えています。パッと考えついた企画ではないとユーザーと時間がずれちゃうといいますか...考えて作ったものって全然ウケないんですよね。中身に関して作りこみは考えるんですが、やっぱり特に表紙とタイトルは、時間が短くても分かるものが良いですね。
眞鍋:
そこで判断されて中身が面白ければ読んでくれるといいますか、そこの掴みをどれだけスピーディーにするかですよね。
鳴海:
谷口さんがおっしゃられたように、本当に今は一瞬で「この記事は面白いか」と判断されますよね。その時間というのは本当に1秒ないくらいだと思います。確実に目に入るような表現方法をするために、どんどん歌で言えばサビが上の方に来るようなことが起きているのではないでしょうか。またタイトルもとても大事ですし...タイトルが良くないとAntennaさんでもクリックされない、なんてことはありますか?
荒川:
メディアさんが工夫されている見出しが、Antennaの中でどういったものがどのようにウケているかは毎月検証しています。ユーザーが慣れてくるのか、傾向が変わってくるんですよね。例えば昨年は「死ぬまでに見たい絶景」といったものがウケていたのが、今年は具体的に「この宮殿がどこなのか」と分かるものや、「海外のこんな場所の雰囲気が、日本のここだと味わえる」とか、嗜好が変わっていくんです。なので「こういうものがウケ続ける」という鉄板のようなものは、なかなか難しいですよね。
鳴海:
すぐに(嗜好が)切り替わっちゃうんですよ。一瞬ですね。
谷口:
一回ニュース記事で「激怒」という見出しが流行りましたよね。なんでも「激怒」になっちゃって、みんな怒ってるみたいになって(笑)。なので「タイトルに激怒を使うの禁止」としたメデイアもありました。
鳴海:
1回ウケると、次も使っちゃうんですよね。
荒川:
Antennaでもタイトルのキーワード分析をしていますが、とても面白いです。月ごとに急にこんなキーワードが増えて、またこれ減っているぞとか。例えばイベントの記事、バレンタインだと、大体正月休みが明けたら(小売店で)どこでもバレンタイン特集が始まるじゃないですか。でも記事としては直前に増える。ただ、実はバレンタインの記事がすごくタップされているのは、(実は売り場が出来始める)正月明けだったりして。そういう時期もすごく早まっているんだろうなと思ったり。
鳴海:
常にイベントがある感じですよね。
荒川:
メディアさんが届ける供給のタイミングと、ユーザーが見たいタイミングに乖離があったりもして。
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SENSORS SALON#6 メンバー

■動画コンテンツは生き残れるのか?適切な使い方とは?

--テキストや動画など様々な表現方法がありますが、どういったものが、どういった順で受け止めやすいものなんでしょうか?

鳴海:
何でもいいと思います。物によって文字で表現した方が伝わるのであればテキストを入れるし、動きのあるものは絶対に動画じゃないといけないし。動画の中でもYouTubeでもいいし、Vineでもいいし、Instagramでもいいし、一番向いたものを選べばいいのであって、何でも良いと思いますね。
谷口:
テキストと写真とアニメgifと動画、その中でもどれが一番早く伝わるかを考えるのが良いなと思っています。例えば映像がイライラするのは映画を見ていて、状況説明を役者が延々と話していること。そういう場合はテキストの方が早いですし、一方、アクションは映像の方が伝わるので。

--動画はなくなりはしないですか?

谷口:
無くなりはしないでしょうね。
鳴海:
むしろ、ちゃんと適切に使えないと困っちゃうかもしれないですね。最近Facebookで動画が自動再生されるじゃないですか、あれだと見ます。ついつい。
谷口:
私も紙芝居形式の記事を書いていて、部分的には動画の方がやっぱりウケますよ。
荒川:
全部が動画だとそれはそれで重いなと思ったりもするかもしれないですね。
鳴海:
10分全てを動画で見るのはきついですけど、前後をテキストとか動画を織り交ぜて、演出してくれると分かりやすいものがあるのかもしれないですよね。
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谷口マサト氏(左)、荒川徹氏(右)

--眞鍋さんは動画コンテンツが多いですけれども、どのように感じていらっしゃいますか?

眞鍋:
実はワンコピー・ワンビジュアルみたいなものが一番強いなと思っています。僕も「ストーリーを作る事が出来る」動画が今多いですけど、ポスターを作ったり、コピーを書いたりもしますし、必ずしも動画が一番いいのかというのではないと思います。その課題によって手法は違うんだろうなと。動画だと、色んなところにシェアされやすい点・メディアさんに取り上げてもらいやすい点があります。
谷口:
すごいなと思う所は、動画は保険がかけにくいところですよね。記事だと保険をかけるんですけど、例えば保険をかけるというのは、1匹のかわいい猫だけじゃなくて、10匹を見せれば流し見する中でどれか一つは引っかかるという。

--「守り」の部分はどうされているんですか?

眞鍋:
とりあえず(公開前に)色んな人に見せてどう思うかという意見はもらったりするんですけど、出しちゃったらあとは自分の手を離れて「さよなら!」って感じですね。
荒川:
動画だとすぐ変えることは難しいですよね。
眞鍋:
なので、企画段階からローンチするまではずっと考えて最後の最後までブラッシュアップするみたいな。
谷口:
その勇気がすごいなと思って。私も最近まだバズっていない動画をバズらせてくれというオーダーが増えていて「う~」って考えます(笑)。
鳴海:
拡散請負みたいなものですかね。
谷口:
バズる・バズらない、というところから離れたいですけどね。
荒川:
でもいわば「命を吹き込んでくれ」って言われているようなものですね(笑)。

■スマホ時代のコンテンツで"感動"は生まれるか

--これまでは「じっくり映画を観て感動して」ということもありましたが、コンテンツが短くなればなるほど感動も薄れたりするのではという懸念もあると思うんですが、いかがですか?

鳴海:
小さい感動がたくさんあっても良いんじゃないですかね。毎日映画を見るわけにはいかないし、スマホで1分くらいでちょっとだけ笑顔になれれば十分じゃないかと思います。
谷口:
ネットの記事(を読む時間)が短いっていうのは偏見だと思っていて、実際に調べてみると10分くらい、じっくり読んでいる方がいらっしゃるんですよね。今までウェブ記事って一つの記事に猫が10匹いるような(盛りだくさんにしてしまう)無理がすごかったんですよ。ただ、ちゃんとストーリーをつけて作ると結構読んでくれますね。なので、記事でも感動などの感情は届けられると思います。
荒川:
以前、谷口さんとお話した時に「短いもの」も「長いもの」も観られるかもねというお話が挙がったのですが、現在Antennaでは10分ぐらいのショートフィルムを水曜と土曜に定期的に配信していまして、そうやって配信をしているうちに固定客がつき、しっかり見てくれるんだなということが分かりました。長いコンテンツでも、出し方次第で工夫できるのかなと思ったりします。
眞鍋:
どんどん早くなるからこそ、深く伝えたいという思いもあります。バズるコンテンツがどんどん現れて、すいすい流れていくので、どれだけ定着させるのかという所がとても難しいところです。 例えばオートウェイさんで「雪道コワイ」の一年後にやったキャンペーンは、ミュージックビデオという体裁をつけたんです。ドライブシーンを描いている動画で、オリジナルソングもつくって、さらにユーザーのiTunesの中に入っちゃおうと、楽曲を無料でダウンロード出来るようにしました。動画自体は5分くらいあって、それをいいなと思ってくれたユーザーがスマホに持ち替えた時に、音源を持って帰ってもらってずっとどこでも接触してくれるといいなと。どこまで定着して、浸透してくれるかということは今挑戦しています。音楽って脳に定着するなという考えは、ずっとあって。
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おいかわのりこ氏(左)、鳴海淳義氏(中)、眞鍋海里氏(右)

谷口:
音楽、一番やりたいですね。この文書だったらこの音楽みたいな。「聴きながら読むとこの記事さらに面白いですよ」...って、本当になるかどうかわからないですけど(笑)。
眞鍋:
音楽はモードをすぐに切り替えられるので、ネットと相性がすごくいいなと思っています。ネットでの動画コンテンツはスマホだったりパソコンだったり、テレビと違って一人で見るので、そこに音楽を入れるとのめりこんでくれて、世界感に一緒に共有出来るんですよね。
谷口:
Webの世界ってまだまだ音が少ないので、これから結構「音」が来ますよね。

--ユーザーとの関係については、どのようにお考えですか?

谷口:
最近面白いなと思ったのが、Webの記事だと「こんにちは。××です」のように、ライターがあいさつをするじゃないですか。このことって、よく考えると不思議だなと思っていて、例えば雑誌で同じような記述を見るとちょっとおかしいじゃないですか。これはやはり(ユーザーと書き手の)距離が近いということですよね。あいさつもしかり、その辺をどんどん近づけていくのが一番かなと思っています。もっと制作者の色が前に出てきてもよいのかもしれないですし。
鳴海:
何となく読者の方が期待しているようなことを何度も何度もやってあげて、ちょっとずつ裏切って新しいのを見せて、その繰り返しをしていくといいのかなと。ずっと同じだと飽きられちゃいますし。
谷口:
やっぱり「裏切ること」をやっているんですね。
鳴海:
そうですね。たまには「らしくない」ことをやらないとと考えています。
谷口:
私、本当は泣かせたいんです(笑)。笑いから入って感情の振れ幅が多いほど刺さると思いますので、笑いから泣きに広げていった方が良いんですよ。ただまだ笑いしか出来なくて、まだ泣きまで行っていないんですけど。その挑戦はしています。
鳴海:
超まじめな記事を書いたら、すごく話題になりそうですね。「どうしたんだ?」みたいな(笑)。
眞鍋:
ユーザーが普段思っている「分かる、分かる」というところをすくって、商品に繋げてあげるというか、「こういう人には、こうしたらいいじゃないですか」みたいな。ユーザーの共感ポイントを探すということがハブとなる関係作りの上で大事になってくるかなとは思っています。「分かる」という点は、シェアされる上でも一つの大きな要素になるので、どこに共感を覚えるかというところは考えるようにはしています。商品からというより、ユーザーサイドから企画を考えるという、これまでの広告の企画の仕方とはある意味逆流した考え方かもしれないです。

サロンはいよいよ佳境に。最後に「コンテンツマーケティングの未来」について語り合う模様を、次回記事でお届けする(記事4/4に続く)。

構成:市來孝人

SENSORS.jpエディター
PR会社勤務を経て、東京を拠点に「SENSORS」等のWebメディアでのライター・エディターとして、また、MC・ナレーターとしても活動。福岡でラジオDJとしても活動中。

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