挑戦者への賞賛が日本のクラウドファンディングを加速する ~第5回SENSORS SALON クラウドファンディングの魅力と明日を語る(3/4)

2015.06.15 12:00

5回目の開催となるSENSORS SALONのテーマは「クラウドファンディング」。前回(#2)では運営者、支援者、実行者それぞれの立場からラウドファンディングのプロジェクト成功のコツや、クラウドファンディング市場そのものが抱える全体な課題について触れた。#3では、日本でクラウドファンディングという仕組みをそのものを根付かせていくために必要なことを語る。

第5回SENSORS SALON

■そもそも「相性」の良いプロジェクトは?

#2では運用面でのノウハウが語れたが、クラウドファンディングを利用するにあたってそものもの「相性」は存在するのだろうか?

三枝:
クラウドファンディングで掲載するプロジェクトの相性の良し悪しってありますか?
米良:
これが出来たことで「2年後にこんな面白いものになっているかも!」って期待感を感じさせること。ちょっと切り方が新しいとか、そういうのが相性がいいんじゃないかなって思います。
中山:
男性であれば、居酒屋でつい人に見せてたくなってしまうもの。女性であれば、女子会とかでこれ知ってる?って言いたくなってしまうもの。もしくは、特定のお店で使える「会員券」だったりとか、自分の名前がエンドロールに入っている映画だったりとか、人についつい言いたくなってしまうものっていうのは相性いいですよね。ユーザーの痒いところに手が届くような感じで「そうそう!こういうのが欲しかった!」って、思い起こさせてあげるような商品・コンテンツだったり、お店はクラウドファンディング向きだと思います。
米良:
クライドファンディングって初期に支援してくれる方って、一緒に新しいものを成長させていくワクワク感も大きな価値だと思います。「俺、最初のファンだよ!」って言えることも支援する理由なのかなって。
中山:
今はニッチなことでもネットで広まりやすくなっているので、かき集めれば市場になって、そこに熱量が生まれる。ちょっとした熱量がそこにあると、日本人はミーハーだと言われるので、周りの人たちが「あんなに流行っているものだったら面白いんじゃないかな」ってどんどん広がっていく。日本はニッチな商品が作りやすいんじゃないかと思います。
小西:
僕らはハードウェアをB2C向けにやろうとはしているんですけど、何を売ったらいいかわからない。でも、とりあえず作れるから、何発か打っていこうよっていうことで「tsumikii」っていう取り組みをしています。tsumikiiでは、玩具のようなものをたくさん作っているんですよ。つくったものが駄目だというのであれば角度を変えて再度試せるの状態を整えただけで、相性が良い悪いというのまだはっきりとはわかっていない状態です。

■「クラウドファンディング」を日本で浸透させる具体策

日本でも億超えの調達を実現するプロジェクトを誕生させるには、マーケットそのものの拡大が必要だ。そのことはSALONメンバーも感じているが、具体的な施策としてどのようなことが必要になってくるのだろうか。

三枝:
日本のクラウドファンディングのマーケット拡大のためには何が必要だと思います?
中山:
「大ヒット」を生み出すこと。個人が作りたいってことにフォーカスされがちなんですけど、それを享受する支援者、お金を出す側がどう楽しいかという話ををした時に、圧倒的に面白いプロダクト・コンテンツが次々に生まれてくるという事が非常に重要なんだなと思います。これはプラットフォームだけではなくて、アメリカで1億円以上を集めているプロジェクトは、そのプロジェクトがあるってことだけで価値がある面白いものなんですよ。そういったもをどう発掘をしてクラウドファンディングで利用していただくか。アメリカのKickStarterを見ていて、手に取ってさわれるものが半分以上資金を集めているというデータがあって、そこのニーズってすごく高いんだなって思います。ユーザーは新しいものを生まれてくるってことをすごく楽しんでいるんだなって。Makuakeもそういうところを強めていて、結果として数千万を集めるプロジェクトが次々と出てきているんです。
三枝:
ヒットを生み出すにはプラットフォームの中のキュレーションが大事ということですか?
中山:
それだけではダメかなと思っています。例えば最近だと、モノづくりが活性化してきて、DMM.makeさんだったりとか、色んなインキュベーション・オフィスや製造系の大企業がオープンイノベーション・プログラムを打ち出して外部とコラボしていく動きがどんどん活性化してきています。モノづくりの波自体が、新しい形で来ているなと感じるので、その波と僕たちがコラボレーションをして、日本から次々と世界がびっくりするような新しいものを満たしていく気運を作っていくか。
米良:
地域っていうのも大事なキーワードです。地域に眠っている伝統だったりとか、そこでしか手に入らない昔からあるものを使って、世の中に問う事。そしてそれを応援したいと思っている人たちがたくさんいいます。地域創生とか国の文脈もありますし。東京にいると、新しいものが好きな方だったりとか、そういう事にチャレンジしようっていう気運があったりするのですけど、地域に行くと、新しいことをどういう風に始めて良いのかとか、どういう風に自分を伝えたらいいのかまだまだギャップがあります。地域の良いものってたくさんあるので、世界中に対して、良い伝統だったり、文化を届けていくっていうのはすごく大きな可能性があるのかなと思います。
神森:
世界中から支援を受けられるようなプラットホーム、今後国内のクラウドガンディングのプラットフォームが海外のプラットフォームとどういう風に連携が進んでいくのかなってすごい注目していますね。
中山:
もう1個やらないといけない信念があるんですけど。「チャレンジした人はかっこいい!」っていう空気感を日本に作っていかないといけない。僕らはMakuakeというプラットホームに挑戦してくれている人はヒーローになってもらおうと思っています。失敗したとしてもその挑戦を「ナイス トライ!」って言ってあげること。成功した人には、僕たちも全力でサポートしてあげて、スーパーヒーローにしていく。チャレンジした人はかっこいい!ていう空気を日本の津々浦々まで浸透することができれば素晴らしい国になるんじゃないですかね。
米良:
それこそアメリカとかY Combinatorとかベンチャーキャピタルとか、「失敗した経験は何ですか」とか「何個会社をつぶしましたか」とか会社をつぶしたことの回数で評価されたりするんですよ。クラウドファンディングってAll or Nothingの方式でやっているとなんもリスクがないんですね。お金がかかるものではないので、やってみたいことをチャレンジして、駄目だったらどこが悪かったんだろうって、お金を出してくれた人とかに駄目だった理由を聞いてみて、それを修正してまた挑戦するっていうことを繰り返していけばそれ自体もその人のストーリーになっていく。苦しんだ経験がある人ほどファンを集めていくので、早いスパンでどんどんトライしてもらう。そうすると精度が上がっていくと思います。
中山:
ボストンに視察に行ってきたんですけど、いたるところにインキュベーション・プログラムだったり、産学連携プログラムのようなものがありました。そこに参加するスタートーアップは、プロトタイプの後に必ずクライドファンディングを使っていました。どうして使うか聞いたら、「ブーストするからだよ!」って。自分のアイデアがイケてるって証明にもなるし、応援してくれる人がソーシャルで広めてくれるから、まったくプロモーションコストをかけることがなく一気に自分の新しいアイデアがワープしてヒット商品になる。こんないいサービスを使わない理由がないって。クラウドファンディングではアメリカでは当たり前化されていました。お話を聞いた男の子は、コーヒー豆を使って、タバコをリプレイスするような、ちょっとした休憩時につまむ中間菓子を作っていました。そのプロジェクトではアメリカのクラウドファンディングで数万ドル集めていて、それをすることで、色んな流通業者さんからの問い合わせがあったそうです。新商品のアイディアだったり、新しいアイデアのブースト装置になっているんだなって思いました。
米良:
本当に使う側とっても学校側との連携はすごく良いことです。日本ってビジネスコンテスト・ブームがあったと思うんですけど、本当に企画書のままで終わっちゃうというか。「世界を変えるぞ!」とか言ってるけど実はまだ何も踏みだしていませんという事が多々あります。アイデアだけだったら他の人たちがどんどん真似していくので、アウトプットを出すっていうことが大事。私がREADYFOR?にプロジェクトを掲載してくれる人を実行者って呼んでいるのも、何か「アクション」をする人が一番評価されて欲しいという思いからです。カッコいいことを言うだけじゃなくて、それをやりきるってことが評価される世の中になってほしい。それこそ学校とか、もはや小学校のプログラムに入っていいぐらいで、ともかく自分がやりたいと思ったことをしっかりとアクションをするところまでを評価するようになっていくべき。クラウドファンディングは資金調達だけではなくて、色んな人たちの行動に繋がる可能性があると思います。

挑戦すること自体が一つのコンテンツとなり得るようなプロジェクト。そしてそれを実際に挑戦する人、実行する人。そして、その人たちの挑戦を賞賛する文化。それがクラウドファンディングの拡大に必要な要素ともいえ、逆にクラウドファンディングがつくりだす世界観ともいえる。傍観者ではなく、当事者として活動すること。SENSORS自身も今後ただ事象をとりあげるだけでなく自らが「当事者」となって活動を展開していく。(#4へ続く)

文:石塚たけろう

石塚たけろう:ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、EIR(=客員起業家)として複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi

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