近づく"コンテンツ"と"広告"の距離〜SENSORS SALON #6「コンテンツマーケティングの今と未来」 (1/4)

2015.06.20 00:01

6回目の開催となるSENSORS SALONのテーマは「コンテンツマーケティングの今と未来」。Web広告においては、ターゲティングなど効果・効率を重視し成長してきた時代から、スマホならではの表現手法や、ソーシャルでのユーザーの自発的な拡散といった環境の変化を捕まえたユーザーと広告主の関係づくりを行う「コンテンツマーケティング」の可能性に注目が集まるようになってきている。今回は、様々な形で「コンテンツ」を扱うゲストの方々に、「コンテンツマーケティング」をテーマにじっくり語っていただいた。

第6回SENSORS SALON

今回のメンバーは、LINE株式会社 チーフプロデューサー 谷口マサト氏、株式会社グライダーアソシエイツ COO 荒川徹氏、ブロガー 鳴海淳義氏、BBDO J WEST コンテンツプランナー/インタラクティブプランナー 眞鍋海里氏。モデレーターはクリエイター おいかわのりこ氏。

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SENSORS SALON#6 メンバー

■それぞれの立場からの「コンテンツマーケティング」

--まずは自己紹介も兼ねて、どのような形で「コンテンツ」に関わっているか教えていただけますか?

谷口:
私はLINEで広告タイアップを担当しています。主にlivedoorニュースが多いですが、最近はLINEのタイアップ企画も多いです。livedoorニュースでは「全力コラボニュース」という、全力でバカバカしいことをする企画を担当しています。例えばドライヤーのタイアップで「薄毛男子がモテている」、パンツのタイアップで「こんなワインに合うパンツはこれで、これを履けばよりワインが美味しくなる」などという企画をしています。パラレルで企画を走らせて多い時で月13本やったんですけど、最近は質と単価を上げて本数は絞っています。最近だとLINEのスタンプについて記事に出来ないかとも相談を受けていまして、スタンプから商品にどう繋がるのかというストーリーを記事として書けないかと考えています。
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全力コラボニュース

眞鍋:
九州から来ました。コンテンツプランナーという肩書で、広告領域で主に映像を作っています。2年前に手がけた、「雪道コワイ」という北九州にあるオートウェイさんというタイヤの通販会社さんのCMが日本だけではなく海外でも話題になりました(YouTubeで約1000万回超の閲覧)。この時は(企業の認知度として)タイヤを買う時に選択肢として入ることがそもそも少ないので、まずは選択肢の一つに入るためにネットで話題になるようなことをしましょうというプレゼンをして、この動画を作りました。それ以降、動画のオファーを多くいただいて、CMからミュージックビデオまで様々な映像作品に関わっています。例えば西日本新聞さんで、最速の自転車を作って新聞を届けると思わせて実は電子版のCMという「世界最速の新聞配達」という企画をしたり。 一方的に広告として投げつけるんじゃなくて、比較的人から求めて「面白いから見る」とか「タメになるから見る」とか、生活者側から寄ってきてくれるようなものを作っていきましょうという考え方で取り組んでいます。
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雪道コワイ

荒川:
グライダーアソシエイツは、キュレーションマガジン「Antenna」を運営している会社です。私自身はAntennaのシステム以外を統括しています。テレビ局さん、出版社さん、ウェブ媒体さんなど400メディア以上から記事をお預かりして、それをAntenna内でどう表示させるかというコンテンツマネジメントは、Antennaの中でも特に重要なものと位置づけています。メディアさんからコンテンツをお預かりする際、もともと良いクリエイティブのコンテンツ、きれいな映像や良い写真であれば、出来るだけそのままで届けたいと思っています。「メディア・of・メディア」(あらゆるメディアのハブとなる)をスローガンに、Antennaというスマートフォン上のインフラプラットフォームを通してその先のユーザーに適切に届けるという役割を担いたいと考えています。 そういったコンテンツが流れている中に企業の広告も入っていまして、現在は700社以上のクライアントさんに使って頂いています。ラグジュアリー系も多いのですが、最近はビールや化粧品やお菓子など、普段買うようなものも増えています。 広告だとどうしても「邪魔なもの」という概念があるところを、美しいクリエイティブ・良いクリエイティブで見せていけば広告でもやはりタップされるのではと、動画でシズル感を表現したり様々な取り組みをしています。
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Antenna

鳴海:
Blog @narumiというブログをやっています。ご飯の記事が結構多いですね。ブログの中でもタイアップ記事も過去に16本やらせていただいています。食べ物や、オーダーシャツのサービスについてご紹介したりとか。こういうことを個人のブログでやっている人はあまりいないかもしれません。他にはNAVERまとめも作っていまして、一番読まれたのがダイエットまとめです。1カ月で10.5kgのダイエットをしたという記録をまとめると3000万PVぐらいになり、これの企画を元に「やせたいならコンビニでおでんを買いなさい」という本も出しました。仕事ではイベントや動画をテキスト化して色んな人に楽しんでもらうというログミーというサイトの編集をしています。
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Blog @narumi

■ユーザーにどう届けるか、ユーザーの力をどう借りるか

--「コンテンツマーケティング」の魅力については、どのようにお考えですか?

谷口:
ネットって、コンテンツを作る文化ってなかったと思うんですよ。私も「(記事の)写真をちゃんと撮っていてすごいね」と言われるんですけど、雑誌とかテレビとかでは当たり前な話ですから、今までが異常だったんじゃないかと思っています。ここ数年で(コンテンツを作る文化が)とても広がってきて、ネットでもそういう余地が出てきたなと感じられて面白いですよね。

--ネットだと、コンテンツの消費が早いですよね?

谷口:
早いですね。私が記事を手がける際に考えているのは「時間」です。平均して6分位、長い記事だと10分位と、意外に読んでいただく時間は長いんですよ。(様々なコンテンツと)時間の取り合いだと思っているので、その時間をいかに伸ばすかという点を意識しています。
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谷口マサト氏(左)、荒川徹氏(右)

--映像という面からの、コンテンツマーケティングの面白さは?

眞鍋:
ユーザーが求めているものと企業さんが発信しているものとの間をコンテンツでつなげる、毎回そこを導き出すのに相当時間がかかるというか、果たしてそこが繋がるのかという不安と戦っていますね。
谷口:
ユーザーにウケるかというのと、商品に繋がるかという、2つの面を持つ企画を考えないといけないですからね。
眞鍋:
(そのコンテンツ自体を)「話題にする」ということはシンプルなんですが、その商品が最後にちゃんと主役となることが大事ですから、その点はとても考えています。 BBDO J WESTに入った時から、デジタル出身だったので媒体費・メディア費を大きくかけられず、そういった費用をかけられないのなら皆に広げてもらうしかないと思っていたので、当時からどうしたらユーザーが口コミしてくれるかと、よく考えていましたね。
谷口:
広告でもユーザーの力を借りることが、今一つのキーワードになっていますよね。

--ユーザーの力を借りる分、コントロールが出来なくなることはないですか?

眞鍋:
基本的にコントロールが出来ない前提で、こうしたらこう広がるかなというのを読む感覚です。
谷口:
コントロール出来ないということは、保証が出来ない面と、ユーザーにどんどん広めてもらえるという面があるので、どっちを取るかですよね。
眞鍋:
クライアントさんに対して担保できないという面もありますよね。オーダーで結構「バズらせてください」というお題を頂くこともありますが、最初に0か100か、どちらにもなる可能性があって、それは担保出来ないけれどやりますか?という話は事前にするようにしています。
鳴海:
コントロール出来なくて大変だったことはありますか?
谷口:
炎上はまだないんですよ。やはり防火対策はします。例えば薄毛特集だったら薄毛の方に出てもらうとか、ご当地ネタだったらご当地その人に行ってもらうとか、ちゃんと当事者の方に出てもらうようにしています。他には、突っ込まれそうな所はあらかじめ書いておくとか。
鳴海:
やっぱりエクスキューズは入れます。突っ込んでくる方は絶対にいるので想定されるところには必ず触れておくというか、こういう考慮の上でやっていますよと一言入れています。
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おいかわのりこ氏(左)、鳴海淳義氏(中)、眞鍋海里氏(右)

--鳴海さんはコンテンツマーケティングの魅力についてどのようにお考えですか?

鳴海:
広告主とか企業が何か広めたいという時に、今まではどうしても間にメディアや第三者が入らざるをえなかったのが、今は本当に読者目線の良い物を作れば、シェアされて広まる可能性が出てきましたよね。シンプルな関係性になって、より良くなるのではないでしょうか。ただ一方課題としては、コンテンツを作れる人は増えていないという点があると思います。やりたい会社は増えていても、作れる人は急に増えるわけじゃないので。
谷口:
どこでも今「良いライターはいませんか」というのが合言葉になっています。ネットでコンテンツを作る文化がなかったので、まだ安くやるというイメージがあったり、制作費に回せなかったりする例が多くて、ちゃんとお金が回っていないのが課題です。 もともとは「バナーを見せれば良い」と、コンテンツと広告が分離されていて、コンテンツは何でもいい、じゃあどんどん安くしていけという方向だったので。今後はコンテンツと広告の距離がある程度近くなれば制作費も回せますし、単価も上がっていくのではと思います。

--様々なコンテンツを配信していくという荒川さんのお立場からはいかがですか?

荒川:
色んな動画や記事が流れる中で、難しいなと思うのがタイミングですね。様々なコンテンツを、いつどういうタイミングでユーザーに届けるべきかという点を意識しています。例えばテレビで話題になり始めているときにAntennaでも近しい情報が流れているとタップされやすいとか、週の前半と週の後半、また時間帯でも、ウケる記事が違うとか。見ているモードが違うんですよね。例えば(出勤する)月曜の朝にハワイの記事を見ても「ふーん」となってしまうわけです。
鳴海:
配信のタイミングは人力なんですか?
荒川:
システムと人の手が半分です。巷で流行っているから選ぶというのもありますし、まだ流行ってないけどピックアップしてみようということも結構やっていて、それが結果的にすごくウケて企業さんからもメディアさんからも喜んでいただける事もあります。 また、最初ヒットしなかったものでも、半年前とか3カ月前の記事でも面白いと思ったら設定してみたりするんですよ。そうすると結構ヒットすることもあったり。たまたま受け取るタイミングで流行ったりすることがあり、時期や文脈としてどう出すかでユーザーの反応も変わってくるので、その点は我々も注力し同時に科学しています。

SALONは「コンテンツマーケティングが成功する為の秘訣は?」をテーマに、ネットでウケるコンテンツを作る為の秘訣についての話へと移っていく。その模様は次回記事でお届けする(記事2/4に続く)。

構成:市來孝人

SENSORS.jpエディター
PR会社勤務を経て、東京を拠点に「SENSORS」等のWebメディアでのライター・エディターとして、また、MC・ナレーターとしても活動。福岡でラジオDJとしても活動中。

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