「先進国こそ"シェア"を活性化せよ!」 - Uber×スペースマーケット対談

2017.07.03 18:00

「シェアリングエコノミーの可能性」をテーマに行われたSENSORSサロン。ゲストに髙橋正巳氏(Uber Japan)と重松大輔氏(スペースマーケット)を迎え、MCの落合陽一×齋藤精一がシェアリングエコノミーの現在と展望をディスカッションした。

4回にわたってお届けする第1弾記事ではUber Japanとスペースマーケット、二つのシェアリングサービスが日本でどのようなビジネスを展開しながら、社会課題の解決にアプローチしているのかを伺う。

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「シェアリングエコノミー」は、個人・企業が持っている遊休資産の貸し借りを仲介するサービスを指す。遊休資産が内包するのは稼働していない物や場所から、人やスキルまで幅広い。

落合陽一
(以下、落合):
たとえば、服や靴なんて遊休資産の代表例ですよね。だって、服は基本的に1日1着しか着られないから、家にたくさん余る。遊休資産は特に先進国に多い。発展途上国だと、ぼろ切れのような服を1ヶ月ずっと着たりしていますからね。それはもう遊休資産ゼロの状態。先進国では反対に、遊休資産がどんどん溜まっていくので、余った資産の価値を目減りさせずに増やしていくのがおそらく僕らの課題になります。
齋藤精一
(以下、齋藤):
いま問題になっている流通も、シェアリングエコノミーで解決できる部分があるかもしれないですよね。たとえば今から僕が新橋に移動するとして、何かを一緒に持っていってもいいわけですから。人・時間・スキル・場所などの余っているものを活用していくのは日本をはじめとした先進国の課題になるはずです。

今までは「いけいけドンドン」でモノをたくさん作ってきたじゃないですか。今後は作る時代から使う時代へもっと変化していくべきで、その意味でシェアリングエコノミーはすべての根底にあると思っているんです。
落合:
個人的に究極なシェアだと思うのが、株式投資。よく言われることですが、日本には多くのタンス預金があると言われます。お金を眠らせておくのは無駄なので、あの資産をいかに共有しながら経済活動に再投入するのか。

MCの二人が「シェアリングエコノミー」について抱く理解や期待を述べたところで、Uber Japanの執行役員社長 髙橋正巳氏とスペースマーケット代表取締役CEO 重松大輔氏をゲストに迎え、ディスカッションが行われた。


■「uberPOOL」は渋滞の緩和、CO2の排出量削減にもつながる

--まずはどのようなサービスを展開されているのかも含め、自己紹介をお願いできますか?

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髙橋正巳氏(Uber Japan株式会社 執行役員社長)

髙橋正巳
(以下、髙橋):
簡単にいうと、Uberはスマホボタンから車を呼べるサービスです。創業者のTravis KalanickとGarrett Campの二人がパリに行った際、雪のためにホテルに帰る交通手段がなかったことが、サービスを思いついたきっかけだといいます。ポケットに入ったスマホから車を呼べれば、便利だし、クール。そんなコンセプトの元、サンフランシスコに帰って作ったのがUberというアプリです。

一番最初は彼らの友達100人限定でサービスを開始し、徐々に口コミで広がっていきました。Uberのドライバーさんも同様に、好きなときに好きなだけ働けるメリットが話題となり、プラットフォーム上の需要と供給が両方広がっていくことで、使い勝手が良くなっていきました。現在は世界450以上の都市で利用可能で、どこに行っても設定を変えることなく使えることがポイントとなっています。

--世界と日本でサービスの違いはありますか?

髙橋:
都市によって提供している内容は異なります。日本ではいわゆるハイヤーやタクシーの配車サービスを提供していますが、海外ではライドシェアリングが非常に一般的です。これは地域の住民があらかじめ登録しておくことで、空いている時間にドライバーとして参加できる仕組みになっています。台数も多いため、呼んでから本当に3〜4分で車が来てくれてかつ、安いコストで移動できるような仕組みです。

さらに普及が進んでいる地域では、同じ方向に向かう人同士のマッチングも行っています。これは「uberPOOL」と呼んでいるのですが、目的地に割り勘で行けるようになりますので、コストもそれほどかからないんですね。

--渋滞の緩和にもつながりそうですね。

髙橋:
はい。今まで3台必要だった台数が1台になるように、このサービスは需要を束ねます。結果的にラッシュアワーの渋滞が軽減されたり、CO2の排出量削減にもつながるんです。特に東南アジアのような渋滞の酷い地域では、自治体とも連携しながらデータ提供も行っています。

--ちなみにMCの二人はUberを利用したことは?

落合:
僕はめっちゃ使います。たとえば、空港でバンを呼び、スーツケースを積んでもらって移動することが多いです。海外に住んでいるときには、Uberで通勤したりしていました。
髙橋:
行き先もアプリ内で入力できるため、言語が分からない地域でもカタカナでホテル名を入れることで、ドライバーさんには現地語で伝わります。決済も登録済みのクレジットカードで自動で行われるため、土地勘がないところでも安心して使えるんです。
齋藤:
僕なんかの世代だと、スマホがなかったときにはホテルまでの地図をプリントアウトして、ドライバーに見せたりしていました。最近でもGoogleマップを見せながら説明したりして苦労していたのですが、Uberではそういったことが全くない。行きたいところにピンポイントで行けるのは、とても良いですよね。あとはドライバーの方が水をくれたり、飴をくれたり、サービス自体も向上したと思います。
髙橋:
その裏には評価の仕組みがあるからですね。乗車が終わると、乗客とドライバーは相互に評価する仕組みになっています。それが良い意味の緊張感を生み、車内の同じ空間を共有する者同士が心地よく居られるようになる。そうすると、おのずとサービスレベルが上がっていくんですね。


■結婚式場から島まで、あらゆるスペースの価値が再発見される

--つづいてスペースマーケットの重松さん、お願いします。

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重松大輔氏(株式会社スペースマーケット 代表取締役)

重松大輔
(以下、重松):
スペースマーケットは、あらゆるスペースを簡単に貸し借りできるプラットフォームのサービスを展開しています。具体的には一般的な会議室から結婚式場、映画館やカフェ、さらには寺や廃墟ビル、島まであらゆるスペースが登録されています。サービス開始から3年になりますが、現在は1万以上のスペースを取り扱っている状況です。

--島はすごいですね。

重松:
コスプレイヤーの撮影会など、実際に何度か使われているんです。平日の午前中に猿島までわざわざ100人近くが来たり。
齋藤:
まだ利用させていただいたことはないのですが、実はよくスペースマーケットさんを検索しています。企業さんのイベントをやる際に、「一度誰かにやられた場所ではやりたくない」という声をいただくことが多いんですね。そのため、「こんなところでイベントができるんだ」というような、いわゆるユニークベニューと呼ばれる場所を探すのに使ったりしていました。

たとえば、今おっしゃっていた島やお寺でやりたい場合、これまでは直接交渉するしかなかったんです。それがスペースマーケットを介して借りられるとなれば、非常に嬉しいことですよね。
落合:
そこに市場原理が働くので、価格もちゃんとコントロールされます。僕も基本的には普通の場所でやりたくないので、今ヤフーさんでやらせていただいている展示会もそんな感じなんです。「ここはどうやったら借りられるんだろう?」という場所は少なくないので、これがどんどん拡大されると嬉しいですよね。
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(写真、左から)齋藤精一氏(ライゾマティクス代表取締役社長/クリエイティブディレクター)
落合陽一氏(筑波大学学長補佐・助教/メディアアーティスト)

齋藤:
僕も2015年に「六本木アートナイト」をやらせていただいて、街をあげてイベントをやるのに使える場所が限られていることを感じました。それでも、「ここにも、あそこにもある」と見つかるものを繋げることで、一つの街がお祭り騒ぎになったんですね。

--スペースマーケットはどのような形で利用されることが多いですか?

重松:
パーティーやイベントが半分、ミーティングが4分の1、残りは撮影ですね。もっとも多いパーティーですが、子連れで行われることも少なくありません。子供をレストランに連れて行くことは難しいですが、貸切のクローズドな空間だとお母さんたちもお酒を飲めますし、子供たちも楽しめます。

あと、この春に流行ったのが「インドア花見」。ビジネスマンたちは基本的に、平日の夜に外で花見をやりますよね。ただ、やってみると寒いし、トイレは汚いし、食事はすぐに冷めるしで、ぐちゃぐちゃになってしまう残念な体験になりがち。そこで、あえて部屋で花見をやる「インドア花見」が流行ったんです。このような、ありそうでなかった需要があるのが面白いですね。

--アイデア次第でいかようにも使えると。

重松:
手垢のついた場所でやりたくないということで、古民家のような場所で結婚式が行われたりします。ホテルのバンケットでやるよりかなりリーズナブルということで、社員総会やセミナーでも使われることがありますね。
落合:
取り壊し前のビルとかって、アーティストからするとかなり重要なんです。取り壊し前の期間は今まで何も活用されていなかったのですが、アーティストからすれば壁に穴を開けたり、自由に使えるので貴重な空間なんですよね。

続く「自転車も冷蔵庫も。シェアリングサービス海外動向」では二人が「シェアリングエコノミー」に携わるようになったきっかけ、海外のシェアリングエコノミー事情と注目すべきサービスについて語っていただいた。

【シェアリングエコノミーの可能性】
「先進国こそ"シェア"を活性化せよ!」
自転車も冷蔵庫も。シェアリングサービス海外動向
地方経済を活性化するシェアリングエコノミーの可能性
シェア"が解決する過疎、高齢化、人材活用課題

構成:長谷川リョー

SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。修士(東京大学 学際情報学)。リクルートホールディングスを経て、独立。複数媒体で編集・ライティング、構成、企画、メディアプロデュースなど。『WHITE MEDIA』企画顧問。『木曜解放区』レギュラー出演中。夢は馬主になることです。

Twitter:@_ryh
Mail: ry.h0508[アット]gmail.com
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