最優秀賞は「触っちゃダメ」!〜落合陽一らが"触覚の可能性"を審査!ショッカソン2015

2015.11.11 20:00

ダンボール型HMDやOculus RiftでVRがどんどん身近になってきている。そして、VRが私たちの生活に溶け込んでいくにつれ、従来の視覚や聴覚に訴えかける方法だけでなく、仮想世界の中で「触覚」でも現実世界と同じように体験できるようにする取り組みが始まっている。

会場の様子

「触覚」をテーマに、「触文化」のさらなる認知拡大・普及促進を目的としたハッカソン「ショッカソン(Shock-a-thon)」がスパイスボックス、富士ゼロックス、一般社団法人 T.M.C.N主導のもとデジタルハリウッド大学で開催された。昨年に続いて今年で2回目の開催である。審査員を務めるのは、SENSORSでもこれまで取材などで関わりのある落合陽一氏や市原えつこ氏に加え、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の南澤孝太氏、NTTコミュニケーション科学基礎研究所の渡邊淳司氏、MakersHubプロデューサーの多田羅理予氏。

参加者たちは協賛企業から提供される「触覚」に関する最新デバイスを使用して、アイデアを2日間で実装していく。その最終発表会のに訪問した。

■遠隔キス、頭を撫でられる、触覚を刺激する斬新なプロトタイプの数々

ショッカソンで開発するプロトタイプでは「振動」にどういった意味や価値を付与するかという視点が大事になってくる。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科が提供する身体や物体の触覚を記録し再現することができる「TECHTILE toolkit」を活用して、こんにゃくゼリーでキスの感覚をつくろうとするチーム。

名古屋工業大学が提供する小型超音波集束装置をつかって、ディスプレイ上の赤ちゃんのほっぺを触っているようになる感覚をつくろうと試みるチーム。

ヘルメットに振動端子を入れて、VRの中の女性に頭を撫でられている感覚をつくるチーム。これがリアルに頭を撫でられる感覚にとても近い。

こちらは、電車の吊革に仕込まれたセンサーで体調の悪さを判定し、目の前に座っている人の座席を振動させ、それを伝えるというもの。プロトタイプの時点では、吊革を握っている人の手の温度を感知する仕組み。

この他にも創意工夫を凝らしたプロダクトが多く開発されていたが、実際に体験をしてみると、想像以上の振動や電気で、痛かったり、ビックリしたりして、自分の身体を強く意識するようになる。触覚に着目したハッカソンならでは醍醐味だろう。

■最優秀賞は「嫌な触覚」に着目したプロダクト!

「触っちゃダメゼッタイ!」

審査は、実際の体験と開発チームによるプレゼンテーションの2つに分けて行われた。最優秀賞を受賞したのは、チーム「触っちゃダメゼッタイ!」。彼らの開発した「触っちゃダメ Glass BOX」と「誰かいるDoor」の評価が審査員の中で高かった。

「触っちゃダメ Glass BOX」は、例えば美術館の展示品を保護するガラスケースに装着すれば、そのケースに触った瞬間にケース全体が振動し、触ってはいけないことを知らせる。 「誰かいるDoor」はドアノブに振動端子を装着し、ドアノブを握った瞬間にガタガタ!と振動し、ドアの向こうに誰かがいるかのように感覚に陥る。

人をワクワクさせるという方向よりも、人をイヤな気持ちにさせることに触覚を活用したのが新鮮であり、ユニークであったというのが最優秀受賞の理由だ。

■落合陽一氏「触覚が持つ本質的な意味を考えてほしい」

プロダクト体験中の落合氏

審査員を務めた落合陽一氏にショッカソン全体の感想を訪ねてみた。落合氏はプロダクトの体験中、嬉しそうに「気持ち悪い」を連呼している姿が印象的だった。

落合:
「気持ち悪い」触覚が良いわけではないけど、「気持ち悪い」のほうが「気持ち良い」より遥かにだしやすいと思う。そしたら、気持ち悪さに注目して、体験をデザインしていくのは悪くない。今回、「触覚」というのが本質的にはどういう意味を持つのか、物質的な意味を持つのか、感覚的な意味を持つのか、感情的な意味に根差すのかをもっとしっかり考えてほしかったとは思う。そういうところまでデザインの範囲を大きくすれば面白いものができあがったと思う。ただ、そういう考える習慣はやればやるだけ伸びる。今後に期待します。

■市原えつこ氏「言語を必要としてない流用性の高さ」

審査中の市原氏

市原えつこ氏に総評を訪ねてみたところ、印象に残ったのは「嫌な感覚」であったという。

市原:
これまで「触覚」と聞いて思い浮かぶの「エロ」とか「カワイイ」とかっだけど。「嫌な触覚」というのが新鮮だった。触覚自体に意味が付与されれば、それは言語を必要としなくて、外国の方でもわかるので、「触っちゃダメ絶対!」チームのプロダクトは流用性が高いと思いました。

■企業も興味を持つ「ショッカソン」

今年で2回目になるショッカソンであれば、運営をリードするスパイスボックスの山崎晴貴(やまざき はるき)氏によれば、昨年のスポンサーが学術機関が中心であったのに比べ、今年はYahoo! JAPAN をはじめとした一般企業のスポンサーが格段に増えたという。参加者に中でも、触覚を広告として活用できないかと考えていたチームも少なくないようだ。触覚・ハップティクスの分野は、「圧」を駆使しすることはできるものの、水を触ったときのぬめり具合や木の表面のざらつきといったざらつきといった「質」を出すことはまだ難しい。触覚を活用した取り組み・表現が今後私たちの生活をどのように変えていくのだろうか。

取材:石塚たけろう

ベンチャーキャピタルやデジタルマーケティング企業複数社での業務を経験後、EIR(=客員起業家)として複数の大手企業、スタートアップの新規プロジェクトに参画。Webデベロッパー。@takerou_ishi

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