アジア最大級の広告祭「スパイクスアジア」に見た、広告におけるコミュニケーションの変化とは

2016.09.29 15:30

アジア最大級の広告祭「スパイクスアジア」が9月21日- 23日にシンガポールで開催された。29回目を迎えた今年のスパイクスアジアにSENSORSは公式メディアサポーターとして参加。アジア全域の広告業界の変貌を現地からお伝えする。

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スパイクスアジア、メインセミナーステージ © Spikes Asia

■いかに質の高いコミュニケーションを取るか

アジア全域から1,850名以上の参加者が集まり、3日間にわたって63つのセミナー、ネットワーキング、授賞式が行われた。 今年のスパイクアジアのセミナーは「国境の越えたディスカッションを創り出す」をテーマに、全セミナーが構成された。

セミナーを通してみても、アジアにおける広告業界が大きく変革し始めていることが感じられる。これまではいかにデジタル時代の中で消費者とのエンゲージメントを高めるかということが多く語られていたが、今年のスパイクアジアではすでにデジタル上で多くのコンタクトポイントを消費者と持ち、これまでにないほどに"超コネクティング"しているSuper Social Media時代の中でいかに質の高いコミュニケーションを消費者ととるには?ということが多く語られていた。そのコミュニケーション手法として、ストーリー性が高いコンテンツ動画、VR、 ARなど挙げられた。

その中でも今年Advertiser of the Yearにも選ばれた、Marsグループ社はスーパーソーシャルブランドを作り上げるには1)人間愛を高める、2) 目的を商品化する、3)思いやりコミュニケーションを見える化する、と3つの要素が必要と言い、ストーリーを軸とした事例を紹介した。

Marsグループ社がBBDO社とオーストラリアで行った"思いやり"を見える化したストーリーコンテンツ:「Who would you most like to have dinner with? | #MakeDinnertimeMatter | MasterFoods」

Marsグループ社、ブラジルのコンテンツ作品ではあるが今年多くの広告祭で受賞している同社ストーリーキャンペーンとして紹介:「Pedigree - First Days Out」

合わせて、別セッションでは周りに合わせるようにデジタルシフトをすることが最優先になっており、消費者に対して伝えたい本来の目的が大きくズレてしまっているとManulife社は言う。一度立ち止まる勇気を持ち、元々のブランドのコンセプト、消費者に本来届けたいメッセージを改めて考える時期に入り、再度ゼロベースから消費者個々に届けられるマーケティングプロモーションのあり方考え方を見つめ直すこともブランド企業の動きとしてあるのではないかと話をしていた。

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Brand Breakfast powered by Edelmanに登壇したManulife社とtwitch社

■一番ホットな中国市場へのアプローチ

また、今アジアの中で一番ホットな中国市場へのマーケティングアプローチについても多く話されていた。
ジョンソン・アンド・ジョンソン社は中国消費者にアプローチする上で日常の中で人々が感じている不安や問題にどうブランド企業として関係性を持たせることが出来るかが鍵となると言う。
事例として、今日、中国の妊婦さんが抱えている問題に「昔からのことだから」と無視するのではなく、きちんと向き合い解決ソリューションを提供することで社会的活動の変化を生み出し、ストーリーとして中国全土の女性へのアプローチを成功させたという。

Johnson $ Johnson社とJ. Walter Thompson Shanghai社がローンチした「Elevit: All for That First Hello」

全セミナーを通して見ても、共通することは従来型の"広告キャンペーン"ではなく"コンテンツストーリー"の重要性だ。消費者の頭にイメージとして残り、どうココロに響くか、ということだ。以前から世界のスタンダードとしてあったことと言われるかもしれないが、これまでアジア市場ではデジタルの従来型プロモーションキャンペーンを行って来ていた中で、改めてブランド企業がリスクを冒してでも伝えたいメッセージや想像もしなかったストーリーを届ける新しい手法を模索しているということが見えたスパイクスアジアのセミナーであった。

次回のレポートではスパイクスアジアの受賞作品から見えるアジアの変貌についてレポートする。

ライター:中村寛子

大学を卒業後、グローバルデジタルマーケティングカンファレンス、ad:tech/iMedia Summitを主催しているdmg::events Japan株式会社(現Comexposium Japan)に入社。 ad:tech tokyo 2010より、主にコンテンツプログラムの責任者として従事。 また、東京開催以外にもad:tech kyushuやiMedia Brand Summit, Data Summitなど8つのカンファレンスローンチを展開。2015年11月にmash-inc.を設立し、現在グローバルPRチャンネル制作をしている一方で企画プランニングなどプロジェクトベースで携わっている。

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